超レア! 実写『惡の華』上映会&トークショーレポート

アニメ

更新日:2013/10/24


アニメのトレース元となった実写版では、仲村がオニ怖だった件!!

 原作無視、リアルな画像が怖いと賛否両論のアニメ『惡の華』。この作品の関連イベントが、4月27日銀座で開催された。その名も「惡の華~ハナガサイタヨ会~」。上映会&トークショーには、原作の押見修造先生をはじめ、長濱博史監督や出演者などが登場し大いに盛り上がった。

 やはり話題に上ったのは、ロトスコープという技法。『惡の華』では、まず役者がシーンを演じて、その映像をデジタルトレースして動画を作り出している。実写がベースのため、人物の動きや表情が非常にリアルで今までにないアニメに仕上がっている。

 長濱監督いわく、「この作品に取りかかる際に、絶対にロトスコープしかないという確信がありました。押見先生もそうだって言っていましたから。だから、放送が始まって、原作と違うって聞いて、アレ?って思いました」

 原作を愛する人たちからの反応に戸惑ったという監督。加えて、これなら実写で放映すれば良かったのではないかとの声に、ロトスコープへのこだわりを語ってくれた。


左より/主人公春日を演じた、植田慎一郎さん。原作の押見修造先生。
熱弁をふるう長濱博史監督。録音調整の名倉靖さん。

「実写で作品を作ったら、春日や仲村ではなくなってしまう。(春日役の)植田慎一郎君や、(仲村役)佐々木南さんになってしまう。僕はフィルムのなかでしか存在しない人にしたかったんです。実写版・佐伯役の三品優里子さんの姿だけではなく、日笠陽子さんの声と合わせて、佐伯奈々子という人物をつくりあげたかったんです」(長濱監督)

 理想の人物像を追求した結果、姿の演者と声の演者を分けて、実写でもアニメでも存在できないキャラクターを作り上げたという。

 また原作の押見先生も、ロトスコープならではの効果をこう語る。
「時間の伸縮が自由ですよね。スローモーションになったり、停止したり。これこそが、ロトスコープの意味ではないでしょうか」

 主人公春日の心情に合わせて、動画のスピードが変化する演出は、確かに写実を超えたリアリティを感じさせる。
 仲村の声を演じた、伊瀬茉莉也さんも「この作品は、単純にジャンル分けできない深みをもっています。だから、アニメでも実写でもないロトスコープで良かったと思っています」と発言。

「熱量がハンパない」制作現場と言われるだけあって、監督も出演者も作品への熱い思いが終始語られる会だった。


左より/コミカルな山田役を演じた松崎克俊さん。
「仲村役に人生を懸けた」という声優の伊瀬茉莉也さん

 そんななか、未だ世間に出ていない実写版の上映が始まった。第三話、図書室で仲村が、春日に無理やり盗んだブルマを履かせ奴隷契約を結ぶ、緊迫した回である。

 実写の映像は、モノクロで作られており、音声はオンエアーされたものと同じ、アフレコ版を使用している。  上映が始まり、まず驚いたのが、小道具までもがすべてアニメの通りなのだ。スタジオで撮影し、背景を合成したのではなく、背景までも忠実に準備し撮影され、それを丁寧にトレースされているのだ。
 コップや、雑然と置かれた本まで、すべて現物を用意し撮影されていた。

 正直、こんなに丁寧に作り込んでいるのに、実写版を世に出さないのは、〝もったいない!!〟と思わせるクオリティだった。演者の表情ひとつひとつは、アニメよりもさらに真に迫っている。

 驚愕したのは、仲村役を演じる、佐々木南の表情。トレースされたアニメ版では、いくぶん抑え気味の表情だが、実写ではそれのさらに上をいく。
 迫真の演技に、寒気すら覚えてしまうほどのインパクトだった。あの表情で、迫られたら、確かに奴隷契約をしてしまうかもしれない……。  貴重なものを目の当たりにすることができ、会場中が息をのんでいた。


この風景も群馬県桐生市で撮影したのちトレースしている。

 最後に監督は、我々に意味深な予告をしてくれた。

「最終回は、とんでもない仕上がりです。俺はこんな最終回見たことない!!これこそロトスコープでしかできなかった作品です。」

 衝撃の最終回まで目が離せなくなりそうだ!!

(取材・文=武藤徉子)

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TOKYO MXテレビほか全国で放送中

惡の華 公式HP
http://akunohana-anime.jp/

Webラジオ「クソムシラジオ」が5月13日より隔週で配信開始。
http://www.onsen.ag


ドラマCD『惡の蕾』には仲村の罵声トラックが収録されている。
5月22日発売。3150円


(ダ・ヴィンチ電子ナビ アニメ部)