“提督”たちが本物の艦船を手に入れた!? 横須賀鎮守府に潜入取材!【週刊艦これ 特別編】

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更新日:2013/10/8


 毎週、艦これに関する記事をお届けしている【週刊艦これ】。今回は“特別編”と題するとおり、超ベリー・エクストリーム・アルティメイテッドな記事をお届けする!!

 なにが特別かは後ほどお伝えするとして、まずは今回のレポーターをご紹介。


 セーラーがかわいい猫丸ちゃん(左)は、提督レベル45のヘビー『艦これ』ユーザー。そして白スーツがキリリとお似合いの璃波ちゃん(右)は初心者提督である。
 さて、彼女たちはなぜこんな格好をしているのか? それは少し回りを見てからお答えしよう。

 彼女たちが立っている背景には、なにやら海らしきものが見える。そして頭上をあおげば、見えてくるのは……、アンテナ!? かなり高く伸びているぞ。


 そして、目線を正面に移すと、大きなゲートのような口が二つ!? ここはいったい……。


 船のようだが……。
 よく見ると我々に向かって敬礼してくださっている方々がいる。その前には、木製の看板。


なになに? 「護衛艦 てるづき」!?

“護衛艦”だと??


 そう、ここはなんと、海上自衛隊横須賀基地。その埠頭に接岸している「護衛艦 てるづき」の上なのである!!
 『艦これ』に熱中するあまり、艦船への愛が高まった我々は、リアル艦船を見学させてもらうことができたのだ。

 本物の艦船はデカイ、隊員さんカッコイイ、最新鋭の機器スッゲェ〜〜〜!!
 小学生並みの感想しか発せられないのだが、それくらい本物の迫力は圧倒的だ。
 擬人化された艦娘もカワイイが、実物の艦船を目の当たりにすると、その勇姿に魅了されるはずだ。海上自衛隊さん、撮影のご許可をいただきありがとうございます!

「最近は読者のみなさんのような、ゲーム・アニメ好きの方から海上自衛隊に感心を持っていただいているようですね。私どもは10月から放映されるアニメ『蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ』のオープニングテーマ『SAVIR OF SONG』の撮影協力もさせていただきました。もちろん『艦これ』人気も存じております。作品はフィクションではありますが、これをきっかけに我々の活動について御理解を深めていただけると幸いです」とは、横須賀地方総監部広報さん。
 シワひとつない制服のごとく、ビシっとご回答いただいた。


 ちなみに、記事冒頭のふたりの制服についてご説明を。猫丸ちゃんが来ているのが「海士」の第2種夏服。おおむね入隊後5年くらいまでの隊員が着る制服である。本来は男性のみが着用するものだが、特別にご許可いただいた。読者のみなさん、セーラーを着るのは、男性ということをお間違いなく。

 一方、シャキッとした璃波ちゃん着用のスーツは、海上自衛隊女性自衛官(WAVE)の第1種夏服。なぜか1等海尉の階級章が肩についている。ということは、1等海士の猫丸ちゃんより、8階級も上ということか! 璃波ちゃん、いつのまに出世したんだい?

「私の方が上官なのですね! では猫丸ちゃん、今日は私がボスですよ!」とご機嫌な璃波ちゃん。さっそく艦内探検へ向かった。そして猫丸ちゃんは渋々あとを追うのであった。


■リアル鎮守府で護衛艦を見学!

 ここ横須賀基地は、日本帝国海軍のころから艦隊の後方支援をする拠点として129年の歴史を誇る。関東を含む東日本を統括し、護衛艦隊・第1護衛隊群も所属。護衛艦「ひゅうが」「はたかぜ」「むらさめ」「いかづち」などの母港でもある。

 かつては、鎮守府と呼ばれ、東日本の軍港の中でも要的存在なのはご存じのとおり。
 だからといって、旧称・横須賀鎮守府を略して「ヨコチン(横鎮)」などと不敬な呼び方をするのは、断じてならんのである!


 今回、見学させていただいた「護衛艦 てるづき」は、「あきづき」型の2番艦として今年3月に就役したばかり。従来の護衛艦に比べて対空戦闘能力が高まった、最新鋭の艦船である。「てるづき(照月)」とは「照り輝く月」の意味で、同名の艦船を旧海軍時代から数えると三代目にあたる。
 全長151mもある大きな船をさっそく案内してもらうことに。

 一行がまず向かったのは、艦首方面へ。
 通路は数多くの防水扉で区切られている。ここで「てるづき」を案内してくれた応急長 鈴木信昌1尉から艦船でのルールを教えてもらった。

「船内の通路は狭いので、右肩を斜めにしてすれ違うのがマナーです。また、防水扉の“敷居”は、絶対に足をかけません。昔からの慣習ですが、それだけではなく、敷居にゴミが付くと扉と壁に隙間が生じて、水漏れをしかねないという理由もあるからです」
 海の男の所作を教えていただくと、なんだかいっぱしの乗組員になった気分になってきたぞ。

 広い甲板が見えてきた! っと思ったら、ハッチから顔を出しているのは、猫丸ちゃんではないか。いったい何をしている?


「驚かそうと思って先回りして待っていました。隊員たるもの召集を受けたのち、素早く集合するのは務めです!」と張り切りの表情。
 このハッチは居住区につながっているもので、どうやら下の階層から追い越してきた模様。
 それを見た璃波1尉が一喝! 「貴様、なにをふざけているか! まじめに働け〜!!」


 ということで、甲板でのお仕事、もやい綱の引き上げ作業に従事させられているのであった……(実際には2〜3人で作業します)。

 そんな鬼士官ごっこも楽しいが、甲板はものすごく広い! 2人が飛び跳ねても、豆粒にしか見えないこの大きさ。どれくらい大きな場所か理解していただけただろうか?


 もちろん船なのに、揺れもまったくなし。ここが海の上だということを思わず忘れてしまいそうだ。


■“ラッタル”で「ラッタッタ〜♪」!?

続いてはなにやら階段を上った場所へ移動。


 艦船の階段は“ラッタル”と呼ばれる。狭い艦内を無駄なくつかうために、およそ20度の急勾配で1段1段がとても狭い。
「しっかり両手で捕まって昇ってください」と応急長さんに注意をうながされた。おっかなびっくり、上り下りする我々を尻目に、隊員の方々はスルスルと降りて行かれた。
 あんなみごとな身のこなしができるようになるには、いかほどの時間がかかることやら……。「ラッタッタ〜♪」と鼻歌交じりで優雅に行きたいところだが、そうはいかない!

 甲板からけっこうな数のラッタルを昇ることしばし、なにやら機器の多い部屋へたどり着いたぞ。


 そしてとても見晴らしがいい。ここはいったい……?


■艦船の要、ブリッジへ

 水平線がくっきりと見晴らせるこの部屋こそ、艦橋ことブリッジだ。艦船の中枢といわれる通り、操舵・操縦装備、海図などがあり、船の航行を司る部署である。


 猫丸ちゃんがちゃっかり座っているのは、「電気式舵制御装置」、つまり操舵席である。

 応急長さんいわく、「席の前の丸い輪が艦のハンドルです。自動車とあまり大きさは変わりませんが、これを左右に動かすことで艦が舵を切ります。前方にある羅針盤をたよりに進行方向を決めます」とのこと。

 猫丸ちゃんも、いっちょまえに指さし点呼しているが、ブリッジで艦の操艦号令をかけることができるのは、幹部のみ。つまりエリートのみが艦艇を操艦できるのだ。

 そんなブリッジに、ひときわ派手な物体を発見! 操舵席からみて右側に、目にも鮮やかなブルーとレッドのカラー。これはいったい……?


「そこは艦長席です。そこから指揮を執ることもあります」と応急長さん。
 さすが艦長クラスともなると、特別感のある席が用意されているのか! ちなみに操舵席をはさんで反対側には、第1護衛隊群司令のお席も用意されているとのこと。ここが艦の中枢というのは本当であった。

 と、感慨にふけっているうちに……!?


 恐れ多くも、璃波ちゃんが、艦長席に座っている!!
「今日だけ特別ですよ」と応急長さんが苦笑いしていたが、それを尻目にビシッ!!とポーズを決めちゃっている。座り心地はどうだい?

「遠くまでよく見通せます!」とのこと。さらに「提督、砲雷撃戦に入ります!!」と、なりきり艦娘でご満悦の様子。
 いやいや、敵艦なんて見当たりませんから!! ましてや海上自衛隊はそんな軽率な行動は断じていたしませんよ!!


 広い艦船のたった一部だが、なぜこんなにも気分が高揚してしまうのだろうか。モデルのおふたりも大満足の様子。
「隊員のみなさんがきびきび動いていらっしゃるのが印象的でした」とうっとりする猫丸ちゃん。璃波ちゃんも「艦首から艦尾までが遠くてビックリしました」と興奮気味。

 ひととおり艦内を見学させていただいた訳だが……。なにかが足りない。
 そう、護衛艦とはタダの船ではないのである! 敵襲から防御するのが本来の役割。では、いかに防御するのか……?

 次回は、てるづきの装備・兵力をご紹介!(後編へ続く)


■泳げない“提督”も臆すること無し
海上自衛官へ応募してみよう!

 海上自衛隊では、艦艇・航空・陸上と様々な勤務形態が用意されている。泳げないキミにも応募資格はある!
18〜27歳まで応募できる「自衛官候補生」(特別職国家公務員)は、男子であれば随時応募可能(女子は年1回の採用)。3ヵ月の基礎教育訓練後、2等海士(任期制自衛官)に任官される。そのほか「一般曹候補生」「予備自衛官補」など様々な募集種目がある。興味があれば、自衛官募集ホームページをのぞいてみよう!

◇自衛官募集ホームページ
http://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/


■艦船を見学するなら10名以上で申し込みを

 横須賀地方隊では、艦船見学を受け付けている。10〜40名の団体のみ応募可能。詳しくは横須賀地方隊のホームページを参照。

◇海上自衛隊横須賀地方隊
http://www.mod.go.jp/msdf/yokosuka/

<取材協力>
海上自衛隊横須賀地方総監部、護衛艦「てるづき」 

(構成・文=武藤徉子 撮影=山本哲也)