ねんどろいどでお馴染みの「グッスマ」に潜入!【オタクの社会科見学】

アニメ

更新日:2014/4/11

フィギュアの中でも絶大な人気を誇る「ねんどろいど」シリーズ。デフォルメされた姿が非常に愛らしいフィギュアだ。その「ねんどろいど」は、どのように、 またどんな会社が制作しているのだろうか? 今回は「オタクの社会科見学」と称して、「ねんどろいど」の企画・発売元である株式会社グッドスマイルカンパニーさんに潜入した。

株式会社グッドスマイルカンパニーの所在地は東京都墨田区にある東京スカイツリーイーストタワーだ。以前は千葉県松戸市が本社であったが、2012年7月に移転。現在は東京スカイツリーがまさにお隣さん状態のビルである。


17階にあるグッドスマイルカンパニー(以降グッスマさん)に到着。
エントランスまで出迎えてきたのは、グッスマさんのキャラクター「ぐま子」とうーさーのその日暮らしの「うーさー」、そして、グッスマ星人を抱いているのはブログ担当の「カホタン」さん。新卒二年目で企画部に在籍する笑顔がとってもかわいいお嬢さんだ。


カホタンさんの詳細が大変気になるところだが…、まずはエントランスのご紹介から。他社とは一線を画する個性的なデザインが施されている。なんでも社長の知り合いで、ロス在住のアーティストが手掛けたのだとか。こんなステキなエントランスだったら、毎日の通勤も楽しみになりそうだ。


フィギュアやグッズ以外にもレーシング事業も立ち上げているグッスマさん。
エントランスには我らがアイドル・初音ミクさんの姿も。初音ミクGTプロジェクトキャラクター「レーシングミク」が施されたボンネットも展示中だ。見た目の華麗さだけでなく、実力も抜群。2011年度のSUPER GT300では、シリーズチャンピオンになったほどである。


グッスマさんは会議室も楽しい。
写真は「オレンジ」の会議室。3つある各会議室にはそれぞれにカラーがあり、内装も異なる。クリエイティブな発想が次々と浮かび上がりそうな場所だ。夜にはステキな夜景も楽しめるとのこと。



そしていよいよ皆さんが働く社内に突入!
広々としたワンフロアで、全ての社員が集結している。それぞれの机は自社製品のフィギュアやグッズでいっぱい!ここで働く全てのメンバーが、いかに自社製品を愛しているかが分かる。


仕事をするスペースの展望も抜群。
東京スカイツリーがただの「鉄塔」に見える職場はなかなかないだろう。同フロアに休憩スペースもアリ。取材班が訪れたのはお昼はすぎていたのだが、楽しそうに談笑をしながらランチをしているグループもちらほら。社内の雰囲気の良好さが伝わってくる。


さて、少々遅れてしまったが、グッスマさんの事業内容についてお話しよう。
現在グッスマさんには大きく分けて3つの事業を手掛けている。まずはホビー事業。今回案内してくれたカホタンさんが所属している企画部が携わっているのはこの部署だ。造形美を追求した「スタチューフィギュア」、デフォルメ可動・おなじみの「ねんどろいど」、ねんどろいどより一回り小さい「ねんどろいど ぷち」を企画・制作している。

もう1つは「カフェ事業部」。
カラオケチェーン店「カラオケの鉄人」とコラボした「グッドスマイル&カラオケの鉄人カフェ」を展開している。秋葉原のカフェに行ったことのある読者も多いだろう。最後の1つは「レーシング事業」。冒頭で紹介した「グッドスマイルレーシング」を展開している。

ここがカホタンさんのデスク。 ブログに更新する写真を撮影している最中のようだ。普段はほんわかしているカホタンさんだが、仕事になると集中。真剣なまなざしだ。ちなみに今撮影しているのは2014年2月発売予定の「ねんどろいど 黒木智子」(アニメ・私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!)。実はこの「もこっち」、カホタンさんの企画なのだ。これは後ほど詳しく話を聞こう。


ここで早速、フィギュアのできるまでをご説明しよう。
まず、版権元とグッスマさんの企画部が打ち合わせをするところからスタートする。グッスマさん側から「このキャラクターのフィギュアを世に出したい!」とお願いするケースもあれば、版元さんから提案されるケースもあるのだとか。

この工程がグッスマさんの企画力を試されるところ。
実際にフィギュア化が決定し、発売されるまでは、約1年ほどかかる。案内がスタートしてから、量産されるまでは5か月~6か月。つまりは新作アニメの「ねんどろいど」の企画をしようとした場合、アニメ本放送をすべて観ることができないのだ。版権元の資料や原作から付属パーツや顔パーツを考えなくてはいけない。後から「なんであの顔が入ってないの?」という声を回避するため、念入りな打ち合わせと試行錯誤が行われるそうだ。

企画が固まったら、実際にフィギュアの制作に入る。
下にあるのは制作部にて原型を制作している図。
写真は今年新卒で入社した男性。期待のエースなんだとか!
入社して間もないと思えないほど、しっかりとした手つきで作業をこなしていく。


また、原型を制作する際に3Dソフトを用いることもあるという。
3Dデータをある程度まで作成したらボリュームや形状の確認をするために3Dプリンターで出力する。取材も忘れ、じっくりと見入る取材班。


この場合、さらに高性能な3Dプリンターによってプリントされ、それを手作業で仕上げて原型を完成させる。グッスマさんでは立体物としての見え方を大事にしているため、試行錯誤に手作業が必須となるそうだ。


原型が出来上がれば、原型を複製した樹脂に彩色を施していく。
フィギュアの出来を左右されるともあって、制作部からは緊張感がこちらにまで伝わってくる。

原型、デコマスを元に版元さんと企画部が監修。
すべてOKとなった原型・デコマスは中国の工場へ。工場からあがってくるサンプルに製造部門のスタッフの厳しいチェックが幾度も入る。綿密に何度も何度も……我々が求めるフィギュアになるまで、リテイクを重ねていくのだ。

そして実際の発売へ向けての宣伝活動へ。
単純に発売日に売り出すだけでなく、どうやって売り出すのか?も非常に重要だ。「どんなプロモーションをかけるのか?」など、宣伝部門やWEB制作部門のスタッフが企画部と共に戦略を練っていく。「告知をするためにニコニコ生放送をやろう!」など、新しいことにも積極的に挑戦しているそうだ。他にも、女性だらけの華やかな事務・経理部門など、さまざまな人たちが関わっている。まさに全社一丸となって、素晴らしいフィギュアを開発しているのだ。

中で働いているのはどんな人なのだろうか?

ここで社内を案内してくれたカホタンさんが登場。アニメ部取材班のインタビューに快く応じてくれた。カホタンさんは新卒2年目。グッスマさんが新卒採用を開始するようになった際の第一期生だ。


──まずは商品のお話しから。今いちばん売れている商品は何ですか?
「ねんどろいどぷち 初音ミク セレクション」です。トレーディングの要素もあるので人気です。特に、「ロミオとシンデレラ」の寝そべっているミクさんが珍しいと評判です。




──今一番おすすめのフィギュアはなんですか?
「ねんどろいど 黒木智子」です。これは私が企画しました! もこっちの魅力を引き出すパーツとして、狂乱顔や電動マッサージ器、破いたパンツなどありまして……。社内でも「これはアリなの?」と賛否両論でした。

ネット上でも『(良い意味で)酷い!』と評されている、我らが「ねんどろいど もこっち」の企画者がカホタンさんだったことに驚きを隠せない取材班……!


──思い出に残っているお仕事はありますか?
「うーさーのその日暮らし ねんどろいど りん&うーさー + メカウーサー」ですね。これは、私が入社して初めて企画したフィギュアなんですよ。見てください……他の「ねんどろいど」よりもパーツが多いですよね(笑) どうしてもこのキャラに水着を着せたくて、もう一つ身体パーツをセットにしました。入社したばかりで右も左も分らなかったのですが……勢いで企画しました。

この商品が発売されたのは2013年6月。新卒二年目のカホタンさんは、入社して1年足らずで企画したことになる。カホタンさんの高いポテンシャルはもちろん、企業のチャレンジ精神にも感服するばかり。



──もし「俺の嫁をねんどろいどに!」と思ったらどうしたらいいのでしょうか?
実際、数多くのリクエストはいただいています。ただ、本当に数が多くて……すべてにお答えできていないなと申し訳なく感じています。新規ではありませんが、「再販」は何度か行っています。反響が大きかったフィギュアは、随時再販を検討しています。他にも、創業10周年企画として「再販アンケート」を行いました。実際に上位に入った商品は再販が決まったんですよ。

──ファンの方は知りたいと思うのですが……フィギュアのお手入れ方法は?
細かな部分はホコリが溜まりやすいので、こまめにお手入れした方が良いですね。パソコン周りを掃除するブラシでお手入れするのがオススメ。汚れてしまったら、薄めたアルコールで優しく拭いてあげるといいですよ。私はウエットティッシュで拭いてます。

──フィギュアは箱から出さずに飾った方が良いのでしょうか?
できれば購入したら箱から出して欲しいですね。パッケージのままですとブリスターに癒着する原因になります。せっかく購入されたフィギュアですから、箱から出して実際に手に取っていただきたいです。

──話は変わって……カホタンさんはなぜグッスマさんに入社されたのですか?
エンタメ業界に就職したくて、新卒サイトで「エンタメ」と打って検索したんです。そこで、弊社の募集ページを見つけて説明会に応募。
こんなことを言っていいのか分からないのですが……私、弊社の事業内容をあまりよく知らずに説明会に参加しました。募集ページには「世界に向けて発信する」という内容が書かれていただけで、説明会に参加して「初音ミクのフィギュアなどを作ってるんだ~」と知りました(笑)
私は大学で日本美術を専攻していて、以前から「日本の美を世界に発信したい」と考えていたんです。グッドスマイルカンパニーも私も「世界に向けて発信したい」というところがマッチしていたので、エントリーしました。

──「フィギュア大好き!」みたいなタイプでは働けないのでしょうか。
そんなことありませんよ。同期には「初音ミクのフィギュア大好き。初音ミクを作るために入社したい!」という、大のフィギュア好きもいます。フィギュアへの興味の有無よりも、「企業の目標とするところ」と「個人のしたいこと」がどれだけマッチしているのかという点を大切にして頂きたいと私は思っています。制作部門は技術も必要となりますね。

──グッスマさんの今後の展開は?
企画チームの中でもグッズを企画する「ホビーチーム」と「フィギュアチーム」に分かれています。今後は協力して、アニメ作品全体を盛り上げていけたらなと考えています。
日本国内だけでなく、海外も盛り上げていきます!そのために、今年から国際事業部も発足しました。今までは海外のイベントは、海外のディストリビューターに任せていました。これからは弊社主体で企画していきたいと考えています。他にも、上海に支社を立ち上げました。原型師を育てると共に、営業も積極的に行っていきたいです。

終始笑顔でしっかりと答えてくれたカホタンさんより、最新情報が。すでに完売が相次ぐほど大人気な「艦隊これくしょん」のねんどろいど発売のお知らせだ。第一弾は「島風」。中破時のあられもない服やタイツなど、細かい部分も◎! 艦娘大好きアニメ部スタッフも思わず「フヒヒ……」と不敵な笑みを浮かべてしまうほど。2014年春出荷予定。艦これの「ねんどろいど」はシリーズ化が決定している。次は「赤城」の予定だ。


また、秋葉原にあるグッドスマイル&カラオケの鉄人カフェでは艦これをテーマにしたイベント「甘味処 間宮」10月17日(木)~12月15日(日)まで開催中である。こちらにも注目だ。

「カホタンブログ」「甘味処 間宮」に潜入してきた!
http://ameblo.jp/gsc-mikatan/entry-11634077604.html

それにしても「艦娘」のねんどろいど化、早いと感じなかっただろうか。
どこよりも先にグッスマさんがフィギュア化したようだが……これは企画部内で艦これをプレイしている人がいたから。早い段階で「これは!!」と思ったそうだ。そんな我々の恩人ともいえる方は、カホタンさんの前の席にいる。スカイツリー方面に脚を向けて眠れない。


いかがだっただろうか?オタクの社会科見学「グッドスマイルカンパニー編」は。こんな素敵な会社で働きたいと思った方はエントリー情報を待とう!

グッドスマイルカンパニーは社内の雰囲気もよく、大変和やかな空気。社長室は掘りごたつで、外から見えるようになっている。我々取材班をみかけた社長、笑顔で両手を振って歓迎してくれた。そんな自由でフラットな社風だからこそ、我々の心をときめかせてくれるグッズを世に送り出すことができるのだろう。カホタンさんをはじめ、働いているメンバーが常に「グッドスマイル」だった。

これからも、「アニメ部(ツイアニ)」では、オタクの社会科見学シリーズを随時行っていく予定だ。
もし、「この会社の裏側を知りたい!」「この仕事に興味がある」など、リクエストがあれば是非送って欲しい。

(取材・文=shioko、撮影=shioko、橋本商店)

グッドスマイルカンパニー

オフィシャルHP
http://www.goodsmile.info/

・今回インタビューに答えてくれたカホタンのブログ
「カホタンブログ」

©谷川ニコ/スクウェアエニックス・「ワタモテ」製作委員会
©2013 DMM.com/KADOKAWA GAMES All Rights Reserved.
©Project wooser
©Crypton Future Media,INC. www.piapro.net<ピアプロロゴ>
© Yuichi Murakami / Crypton Future Media, Inc.
© saitom / Crypton Future Media, INC. www.piapro.net
Illustration by saitom Costume design by 島崎麻里