リアル艦船の戦力を確認せよ!【週刊艦これ “特別出張編” 後編】

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公開日:2013/10/30


 前回に引き続き、【週刊艦これ】“特別出張編”では、海上自衛隊横須賀地方隊の全面協力のもと、本物の艦船に乗り込むことに成功した。

「護衛艦 てるづき」にて、艦船の主要な見所を拝見させていただいたのが前回。しかし“提督”気取りの我々としては、ぜひチェックしておかなければならないのは、この艦船の戦力である。船団を組んで航行する際に、いかほどの活躍をしてくれるのやら……。


読者モデルの猫丸ちゃんと璃波ちゃんもなりきり“艦娘”として、戦力を厳しくチェックするのであった。


「てるづきは、『汎用護衛艦』として、空域も水域もガードできるハイブリッド娘なんですね」とは、“提督レベル45”の猫丸ちゃん(写真右)と「そんなに戦力として期待できる船なのですか?」とは初心者の璃波ちゃん(写真左)

再び艦内をチェックして回ることに。


■艦尾には巨大な……?
 てるづきは2013年3月に就役したばかりの真新しい艦船。主なスペックは、「基準排水量5,050t、6万4000馬力のガスタービンが4機。速力は毎時30kt、約220名が乗船できる。編成は、第2護衛隊群、第6護衛隊で、種別は『汎用性護衛艦』です」とは、「てるづき」を案内してくれた応急長の鈴木伸昌1尉。

「汎用護衛艦」とは、航空機・艦船・潜水艦と、あらゆるターゲットに応戦できる装備と能力を備えていることを指す。
では、具体的にどのような装備を持っているのだろうか?

まずは艦尾の方へ移動してみることに。


ずいぶん、だだっ広く開けたエリアだ。応急長さん、ここはなんですか?
「ここは飛行甲板です。ヘリコプターの離発着に使われます」

艦載機ではなくヘリ?と、疑問に思うかもしれないが、いまや護衛艦にヘリコプターはなくてはならない存在である。
てるづきが属する第6護衛隊は、2009年に「第3次派遣海賊対処水上部隊」としてソマリアに派遣された実績がある。その際には、哨戒や救助など、艦船ではカバーできない機動力をヘリが発揮した。

よく見ると甲板に溝が刻まれている。この溝はなにかというと、ヘリコプターを格納するためのものである。


艦船には、海の男だけではなく、ヘリのパイロットや整備員も乗艦しているのである。


■艦首には心強いマルチなアイテムが!
 続いて、先ほどとは反対の艦首へ移動。まず、この護衛艦がマルチともいえるゆえんの一つ、VLSことヴァーティカル・ランチング・システムに注目したい。
垂直発射システムとも呼ばれ、対空・対潜水艦ミサイルを発射することができる。注目すべきは、“垂直”に発射できるところだ。発射台に角度がついていないため、艦の進路や目標の方位に左右されることなく発射できるのだ。


写真にある、解説看板の裏には、一見すると何も隠されていないようだが、実はこのすぐ下にはVLSが格納されている。

続いて、ふたりの背後から伸びているアームに注目したい。これはなにかというと、「127ミリ単装速射砲」、いわゆる大砲である。127ミリといわれても、ピンとこない人のために、実物大の砲弾を見せてくれた。


璃波ちゃんと比べてみればわかるが、こんなに大きいのだ! 最大射程は24kmもある。航空機・潜水艦にも対応できる。

そしてポコンと白くて丸いカプセルが見えるだろうか。


カプセルの下にあるのは、CIWS(Close-in Weapon System)と呼ばれる、高性能機関砲である。1分あたり4,500発もの弾丸を発射できる!
艦船に近い標的を迎撃するためのもので、弾幕を張り自艦を防御する。
「もし接近戦になったとしても、これだけ短時間に砲撃できれば心強いですね」と、璃波ちゃん。


■右舷・左舷にもマル秘装備を搭載!
 続いてやってきたのが、右舷側。こちらには艦船に不可欠な装備、魚雷が搭載されている。


魚雷というと、水中から発射するイメージだが、さにあらず。「水上発射管」なのである。圧縮された空気圧を利用し、3m弱の魚雷を水中へ送り込む。最新鋭の魚雷はもちろんハイテク。自らターゲットの潜水艦を探し出し、目標へ進む!

しかし、こちらが攻撃する一方で、敵艦も魚雷を発射してくる可能性もある。その場合は「デコイランチャー」が活躍する。これは、魚雷と同じように水中に発射されると、敵艦の魚雷を撹乱させ、自艦から遠ざける役割を担う。敵の目を欺く兵力なのである。


「これなら『伊168』『伊58』など潜水艦娘たちが相手でも安心ね」と猫丸ちゃんも満足な様子。

今度は反対側、左舷側へ移動。こちらの頭上には、なにやら斜めに固定された大きな筒状のものが……。


「これは『90式艦対艦誘導弾』です。発射されると、自己レーダー装置で敵艦を“捜索・探知”し、“命中・撃破”するためのミサイルです」と応急長さん。このミサイルは、射程距離は100km以上。遠くの敵艦でもピンポイントで狙うことができる。

このミサイルをみて璃波ちゃんもご満悦。
「提督さんを危険にさらすことなく、敵艦を撃てますね!」とのこと。


■三交代勤務、艦船に休みなし!
 様々な武器のほかにも、てるづきには最新型レーダー、そして補給設備など、心躍る装備が満載。 「こんなにハイスペックなら、艦娘として大歓迎」と満足気のおふたり。


最後に艦船で暮らす隊員の生活について聞いてみた。

「艦船に休みはありません。三交代制で24時間常にだれかが働いています。いつ何がおきてもいいように、食事は、すぐ食べるのが鉄則です」と応急長さん。

そう、ゲームと違って“修復待ち”なんてのんびりしている時間はないのである。たとえ金曜恒例のカレーの時間でも、かき込むように食事をするのだという。

『艦これ』ではひとりの艦娘が擬人化されているが、実際の艦船には、船務・機関・補給など、多くの人が様々な職務に従事している。リアル艦船は日本の安全を守るのが役割である。隊員たちが体を張ってくださるからこそ、日本の平和があることを忘れてはならない。

 そうこうしているうちに、なごり惜しいかな見学の時間もそろそろ終わりに近づいてきた……。

「艦船にはこんなに多くの機能がそなわっているのですね。実物を見られたからこそ実感できました!」と感心な様子の猫丸ちゃん。
「一度航海に出ると、1ヵ月も寄港しないことがあるなんて私には務まらなそう」と璃波ちゃん。隊員たちの苦労を慮るのであった。

てるづきの隊員をはじめ、海自のみなさんお世話になりました! また機会があったらぜひ他の艦も見学させていただきたい。


最後に、てるづきの近くに係留していた「護衛艦 ひゅうが」と一緒に記念撮影! さすが伊勢型戦艦二番艦日向の二代目、お、大きい!


■リアル艦船に乗船するなら海上自衛官へ入隊だ!
海上自衛隊では、艦艇・航空・陸上と様々な勤務形態が用意されている。泳げないキミにも応募資格はある!

18〜27歳まで応募できる「自衛官候補生」(特別職国家公務員)は、男子であれば随時応募可能(女子は年1回の採用)。3ヵ月の基礎教育訓練後、2等海士(任期制自衛官)に任官される。そのほか「一般曹候補生」「予備自衛官補」など様々な募集種目がある。興味があれば、自衛官募集ホームページをのぞいてみよう!

・自衛官募集ホームページ:防衛省
http://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/


■団体申し込みで艦船見学ができる!
 横須賀地方隊では、艦船見学を受け付けている。10〜40名の団体のみ応募可能。

詳しくは下記の横須賀地方隊のホームページを参照。
http://www.mod.go.jp/msdf/yokosuka/

(協力=海上自衛隊横須賀地方総監部、護衛艦「てるづき」、構成・文=武藤徉子、撮影=山本哲也)