恋と空戦の物語。2014冬アニメ『とある飛空士への恋歌』に注目しよう!

アニメ

公開日:2013/12/8

 2014年1月から放送される新春アニメ『とある飛空士への恋歌』。2011年に劇場公開された映画『とある飛空士への追憶』の続編となる今作では、同じ時代、同じ世界を共有しながらも主人公や登場人物を新たにし、世界観の設定に厚みを加えた、より壮大なスケールの物語を展開する。


今回は、その小学館ガガガ文庫から出版されている原作小説『とある飛空士への恋歌』の魅力をご紹介します。

1.悲劇の皇子カルエル
物語は、圧政を敷いていたバレステロス皇国で起きた革命から始まる。立ち上がった市民たちの旗印となったのは、風を操る不思議な力を持つ巫女ニナ・ヴィエント。革命によって王政は打倒され、国王と王妃は断頭台で処刑される。すべてを奪われた第一皇子カール・ラ・イールは、片田舎の貧しい機械工の一家に引き取られる。カルエルと名前を変えた彼は、そこで優しい養父と賑やかな三姉妹と共に、騒がしくも平穏な日々を過ごす。

それから数年後、15歳に成長したカルエルが今作の主人公。意地っ張りで自信家だが、どこか抜けていてヘタレな素顔が親しみを抱かせる少年である。義妹である勝気なアリエルといつも繰り広げる兄妹喧嘩が微笑ましい。飛空士(パイロット)への憧れと、ニナ・ヴィエントへの復讐心が、カルエルを空の旅へと誘うことになる。

2.空飛ぶ島「イスラ」
重力に反発する「浮遊岩」という鉱物でできた浮遊島。それがイスラだ。高度二千メートルの上空に浮かぶ、表面積243平方キロメートルもの巨大な島である。斎ノ国、帝政ベナレス、バレステロス共和国の三大国家が開発計画を行い、飛空戦艦が停泊する軍港や砲台といった武装を施され、推進器や方向舵によって自律航行が可能な移動要塞だ。さらには山や湖、1万人以上の住人が生活できる居住区と商業区まで整えられた、まさに小さな国である。
夢あふれる空飛ぶ島を舞台にした日々の暮らしが胸をときめかせる。

3.「空の果て」探索の旅
世界中のほとんどの人々が信仰する聖アルディスタ教。その創世神話に語られる聖地が「空の果て」だ。近年、探検家ルイスが、海の上に湧き上がる「聖泉」を発見した。神話では「聖泉」の向こうに「空の果て」はある。「空の果て」は実在するのか? そうした国民たちの探究心と好奇心に国家や政府が突き動かされ、イスラ計画が持ち上がる。

世界の真実を解き明かすため、夜空に輝く「不動星エティカ」を道標として、空飛ぶ島「イスラ」に乗り込み、人々は「空の果て」を目指す旅へと出発する。そしてイスラ管区長として就任した宿敵ニナ・ヴィエントを追いかけて、カルエルもイスラにある飛空士学校へと入学する。

4.運命の女性クレア・クルス
空飛ぶ島「イスラ」に到着したカルエルは、そこで少女クレア・クルスと運命の出会いをする。控えめでお淑やかなクレアを好ましく思い、クレアもまたカルエルの人柄に親近感を抱く。飛空士という同じ夢を持ち、意気投合した二人は、次第に異性として惹かれ合っていく。しかし、二人は気づいていなかった。美しい少女が憎んでいた母親の仇であることに。心優しい少年がかつて自分が陥れた皇子であることに。そうクレア・クルスこそは、偶像として周囲から飾り立てられたニナ・ヴィエントの正体だった。秘密を抱え、すれ違ったまま思いを寄せ合う二人の姿に運命の残酷さを思い知らされる。

そしてイスラの行く手に待つのは、決して綺麗な夢物語だけではない。過酷で壮絶な空の戦いが待ち構えている。そんな未来を知る由もなく、様々な人々の思いを風に乗せて、恋と空戦の物語が幕を開ける。

果たして物語は、叶わぬ恋の悲劇となるか、凄惨な復讐劇となるか。その結末は、みなさんで確かめて欲しい。

とある飛空士への恋歌

・公式サイト:http://koiuta.tv/

・ガガガ文庫『とある飛空士への恋歌』特設サイト
http://gagaga-lululu.jp/gagaga/toaru/

<おすすめライトノベル>
カメラマン志望の少年が出会った革命軍のエースパイロットは足の動かない車椅子の美少女だった。⇒『エアリエル―緋翼は風に踊る』(電撃文庫)

戦闘機乗りと天才科学者少女が繰り広げる空想科学仮想戦記。⇒『小さな魔女と空飛ぶ狐』(電撃文庫)

竜騎士が舞い、戦闘機が飛翔する世界で、空の士(サムライ)たちが歴史を作る。⇒『蒼天のサムライ 第一部 端琉島脱出戦』(オーバーラップ文庫)

文:愛咲優詩(ラノベ365日