信長+怪獣+女子高生=今期一番燃えるアニメ『ノブナガン』を観よ!

アニメ

更新日:2014/3/15

 1月から始まった冬アニメも前半戦を終え、いよいよ折り返し地点へ。そこで今回は、目利きを自認するアニメライターがお薦めの作品を改めて猛プッシュ。取り上げる作品は、冬アニメの中で唯一、女の娘が主人公の本格バトルものである『ノブナガン』だ!


【まずは、序盤のストーリーをおさらい!】
 突如、台湾に上陸した謎の巨大生物群。修学旅行で現地を観光中だった女子高生・小椋しおは、取り残された級友を救うため、ひとり怪獣の群れの中に飛び込む。そこで目にしたのは、通常兵器では歯の立たない敵に巨大なナイフで立ち向かう青年「切り裂きジャック」の姿だった。絶体絶命のピンチの中でしおは、失われた魂の記憶を取り戻す。彼女こそが、戦国の覇王・織田信長の遺伝子を受け継ぐ者…!
 巨大な銃「ノブナガン」で危機を救ったしおは、秘密機関「DOGOO」に参加。ジャック他、歴史上の傑物の血を引く「E遺伝子ホルダー」とともに、人類を脅かす異星生物「進化侵略体」との過酷な戦いにおもむくのであった!

【原作コミックをチェック!】
 原作は「コミック アース・スター」連載中の同名漫画。ガン&クリーチャー描写には定評のある作者・久正人の趣味が爆発した『ノブナガン』は、そのスタイリッシュなビジュアルもあって連載当初からコアなファンの間で話題になった。
 リアルなSF設定に基づいた宇宙怪獣との戦争という意味では、『宇宙の戦士』(スターシップ・トルーパーズ)~『トップをねらえ!』~『ガメラ2 レギオン襲来』の流れを汲む本作。冒頭の台湾上陸戦は、昨年話題になった怪獣特撮映画『パシフィック・リム』の香港戦を思わせるが、原作は2011年6月スタートだからパクリじゃないのだ!

【アニメ版スタッフにも注目!】
 今回アニメ版を手掛けるのは、サンライズの流れを汲む制作会社ブリッジ。監督には、後期『ケロロ軍曹』で知られる近藤信宏。
 シリーズ構成は、ガイナックス~ゴンゾに初期からかかわり、『トップをねらえ!』では燃える挿入歌「いけいけぼくらのガンバスター!!」の作詞も手掛けた山口宏。平成ガメラシリーズの樋口監督とも旧知の仲だけあって、怪獣ものにはうってつけの人材だ。
 また、原作のグラフィカルな絵柄を活かしつつ、見事にアニメ化する作画陣は、総作画監督&キャラクターデザインに初代『セーラームーン』の只野和子(KAZZ・T・びゅうん!名義)、同じく作監&進化侵略体デザインに旦那さんの松下浩美というコンビだ。

【個性豊かなキャラクター】
 けれん味あふれる痛快アクションと、緻密な戦略によるミリタリー色が見事に融合した『ノブナガン』。その物語を支えるのが多彩なキャラクター&ボイスアクトだ!

●小椋しお/ノブナガン(CV:武藤志織)
 ごくごく普通の高校生だが、無類のミリタリーオタクで基本ぼっち。そんな自分に声をかけてくれたクラスメイトの浅尾さんを救うべく(←ここ燃えポイント)ノブナガンとなる。奇人変人ぞろいのE遺伝子ホルダーたちに戸惑いつつも、ジャックに恋愛未満の感情を覚えてゆく…。
 そんなしおを演じるのは、なんと今作が声優デビューの武藤志織。やや生硬な部分もあるが、そのぎこちなさが不器用で危なっかしいしおのキャラクターと見事シンクロ。思わず目が離せなくなる!

●アダム・ミューアヘッド/切り裂きジャック(CV:鈴木達央)
 しおとぶつかりながらも、そのセンスを認めサポートする先輩E遺伝子ホルダーのジャックを演じるのは、『黒バス』『Free!』他で女性ファンから絶大なる人気を誇る鈴木達央。今作でも、タレ目男子の魅力炸裂だ。
 そもそも「切り裂きジャックって偉人なの?」という声も多いが、その辺も原作ではあっと驚く答えが用意されているのでご安心を。このあたり原作者・久正人も愛読するアメコミ界の鬼才アラン・ムーアの『フロム・ヘル』を思わせる大ギミックだ。

 その他、しおの所属する第二小隊の仲間もくせ者揃い。戦闘中はドSながら、一旦オフになると男女見境なくディープキスを振る舞うニュートン(CV:浅川悠)に、同じく防御担当ながら自分の能力を「バリヤー」と言われるたびに「ダサいからやめて~!」と抗議するガンジー(CV:島﨑信長)。
 そして注目なのが、上坂すみれ演じる 索敵担当・ガリ子ことガリレオ。しおが入るまで一番の下っ端だったがために、購買まで先輩の焼きそばパンを買いに行かされるパシリっぷりには思わず涙。「~ッス」という語尾も可愛く、すみぺファンにはお得な仕様だ!

【すぐわかる『ノブナガン』用語解説】
 そんな、個性豊かな「E遺伝子ホルダー」と「進化侵略体」とのハードなバトルが見どころの『ノブナガン』だが、これから視聴の方にはちょっと設定が難しいかもしれないので、ここで整理してみよう!

●進化侵略体
 宇宙から隕石に付着して飛来した異星生物。原始細胞の姿からもの凄いスピードで進化、その星の環境に適応し、生態系ごと乗っ取ってしまう。始めは小さな魚の姿で発見されたが、陸上にも進出しつつある。頑強な身体を持ち、通常兵器は通用しない。

●DOGOO(ドグー)
 はるか昔、進化侵略体によって滅ぼされた星から逃れた異星人の主導のもと秘密裏に組織された、対進化侵略体のための超国家機関。実動部隊は各国の軍隊から派遣された部隊および、E遺伝子ホルダーによる第一から第六小隊だ。

●E遺伝子ホルダー
 通常兵器の効かない進化侵略体に唯一対抗出来るのが、歴史上の傑物から採取したE遺伝子(イージーン)を持つ者たち。その管理はDOGOOによってなされているが、しおの様に発見が遅れた例もある。元となった偉人のパーソナリティによって、それぞれ発現する武器(AUウェポン)が違う。

●AUウェポン
 ボール状の装置によって引き出された、E遺伝子ホルダー固有の武器。ノブナガは巨大な銃、切り裂きジャックはナイフ、ニュートンは重力をコントロールするレッグガードなど。強大な力を持つが、その使用は体力の消耗をもたらす。偉人のタイプにより、攻撃型だけでなく移動、探敵など様々なものがある。
 
【そして今後の展開は?】
 先頃オンエアされた最新6話は、なんとオリジナルストーリーによるジェロニモ、スーホ、ガウディら第一小隊の紹介編。エンディングも、しお&第一小隊による別バージョンという徹底振りで、これにはビックリ。いじられキャラ、ガウディのショタっぷりも楽しくアニメ版ならではのテイストが楽しめた一編だ。
 続く7話は『艦これ』ブームに便乗したか、これまたアニメオリジナルの戦艦武蔵が登場するストーリー。こうなってくると、この先のクライマックスになるであろう「ストーンフォレスト作戦」も漫画版とは違った結末になるのかも? いや、原作既読の人間にとっても目の離せない展開になって来ました!

 ますますもって熱く燃え上がる『ノブナガン』。オンエア版を見逃した方には、バンダイチャンネル他で配信もされているので、まずは無料の1話のチェックからお勧めしたい。怪獣相手にビッグガンをぶっ放す女子高生の姿に震えてくれ!

【スタッフ】
原作:久正人
監督:近藤信宏
副監督:古田丈司
シリーズ構成:山口宏
キャラクターデザイン:KAZZ・T・びゅうん!、松下浩美
メカニックデザイン:高瀬健一、中田博文
アニメーション制作:ブリッジ
製作著作:『ノブナガン』製作委員会

【キャスト】
小椋しお:武藤志織
ジャック:鈴木達央
ガンジー:島﨑信長
ニュートン:浅川悠
ヴィドック:石田彰
ガリレオ:上坂すみれ
ジェロニモ:斎藤千和
ハンター:保村真
キャパ:津田健次郎
浅尾かおる:井上遥乃
織田信長:飛田展男

公式HP:http://www.vap.co.jp/nobunagun/

文=柳井洋二

(c)久正人/アース・スター エンターテイメント・ 「ノブナガン」製作委員会