魔法科高校の劣等生、彼女がフラグをおられたら 4月放送のラノベアニメ特集【後編】

アニメ

更新日:2014/2/28

とらのあな
 前編の『ノーゲーム・ノーライフ』、『龍ヶ嬢七々々の埋蔵金』に続き、ラノベが原作の4月放送予定アニメからおすすめの作品を紹介しよう。

 今回はこちら、『魔法科高校の劣等生』、『彼女がフラグをおられたら』。

■全世界を震撼させる最強の劣等生


 『魔法科高校の劣等生(電撃文庫・佐島勤)』は、魔法という夢物語の技術が現実になった近未来の日本で、若き魔法師たちが集う『魔法科高校』に入学した兄妹と仲間たちの波乱の日々を描く学園群像劇。

 世界中を巻き込んだ第三次世界大戦。各国が超能力を兵器として活用すべく、人体実験を繰り返した末に生まれたのが『魔法師』と呼ばれる人間たち。西暦2095年、魔法師たちは人口を増やし、『十師族』と呼ばれる家系を中心に独自の社会を築いていた。才能ある若き魔法師たちが魔法の知識と技術を学ぶ『魔法科高校』では、今年も入学式が行われた。ただひとつ例年と違っていたのは、兄・司波達也と妹・司波深雪の兄妹の存在だった。

 『魔法科高校』は、成績が優秀な『一科生』と、その補欠である『ニ科生』で構成される。妹の深雪は『一科生』で新入生代表、兄の達也は『ニ科生』の劣等生。誰もが見惚れる可憐な美少女の深雪に比べ、平凡な容姿の達也。『雑草(ウィード)』と揶揄されるが、達也は試験では計れない明晰な頭脳と卓越した魔法戦闘技術の持ち主。劣等生のはずの達也が上級生や優等生たちの度肝を次々に抜いていく展開が痛快だ。  普段はお淑やかな深雪だが、実はとんでもないブラコン。血の繋がった実の兄妹のはずなのだが、達也に心酔しきった姿は周囲に禁断の愛を疑わせるほど。同級生と比べると大人びている達也にしても深雪を溺愛していて、兄妹の強い絆が感じられる。そんな二人が魔法師を取り巻く日本社会、さらには世界情勢をも揺るがす事態に巻き込まれていく。詳細に練られた重厚感とリアリティある世界観の奥深さに浸ってみて欲しい。


■孤独な少年を救ったのは、うっとうしいほどの優しさだった


 『彼女がフラグをおられたら(講談社ラノベ文庫・竹井10日)』。他人の頭上に立つ『フラグ』を視る不思議な力を得てしまった少年とヒロインたちが繰り広げる愛と笑いと涙の学園ハーレムラブコメディ。

 恋愛フラグ、友情フラグ、死亡フラグ、勝利フラグなどなど、アニメやゲームで選択肢を選んだ時、ヒロインの好感度が一定値を越えた時、新しいイベントが起こるきっかけを『フラグが立つ』という。世界にはフラグが満ち溢れている。本来は視ることが出来ないフラグだが、とある事件でフラグを視る能力を得てしまった少年・旗立颯太が、私立旗ヶ谷学園に転校してきたときから、彼とヒロインたちの数奇な運命の輪が回り始める。

 人の運命に干渉できるフラグが視えるがゆえに、他人から距離を置き、孤独に生きていくことを願う旗立颯太。ところが、転校してみれば、幼馴染の召喚寺菊乃を始め、天然お嬢様の魔法ヶ沢茜、ツンデレ王女さまの菜波・K・ブレードフィード、男の娘(?)の盗賊山恵などなど、何故か周囲は美少女ばかりに! 本人の意思とは裏腹に彼を放っておかないヒロインたちのお節介に振り回されるドタバタコメディが面白可笑しい。

 旗立颯太の境遇を哀れんだ少女たちまで同じ学生寮に住み始め、さぞかし複雑でギスギスした恋愛模様が描かれるかと思えば、お互いに遠慮し合い、譲り合う『”逆”修羅場』の連続が笑いを誘う。しかし、颯太に訪れるのは幸せなことばかりでない。颯太本人に立った死亡フラグを回収しに災厄もやってくる。過酷な運命に立ち向かう颯太とヒロインたちの温かくほのぼのとして切ない日常は、きっと貴方を癒してくれることだろう。

 春アニメまで待てない!という方は、それまで原作ラノベをチェックしてみてはいかがだろうか。

オススメライトノベル

・劣等生つながり
魔術学園の落ちこぼれは、パンチ一発ですべてを倒す世界最強の男だった→『黒き英雄の一撃無双』(HJ文庫)

・日常ハーレムつながり
自分の部屋に勝手に押しかけてくる美少女アイドルたちとのゆるふわラブコメディ→『小悪魔どもが俺の部屋を溜まり場にしている』(一迅社文庫)

文:愛咲優詩(ラノベ365日