ナデシコ、ろこどる、シドニア…。着ぐるみキャラの出るアニメは名作揃い?

アニメ

更新日:2014/9/18

 『きらりんレボリューション』以降、もはやブームを越えて完全に定番化した感のあるアイドルアニメ。今期も『アイカツ!』『プリパラ』『少年ハリウッド』に『普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。』が盛り上がっている真っ最中。

 それぞれにユニークな作品なのですが、今回はもうすぐ最終回の『【ろこどる】』をフィーチャー。『【ろこどる】』の特徴といえば、もちろん流川市のゆるキャラである魚心くん。小柄で運動神経抜群の三ケ月ゆいが中に入った着ぐるみである魚心くんは、流川ガールズの相棒として市のPRに大活躍。ゆるキャラとローカルアイドルの地元密着型の活動というこの作品の特徴を一身に体現する存在になっています。そんな魚心くんとその中の人のゆい先輩に敬意を表して、着ぐるみキャラを集めてみました。


・機動戦艦ナデシコ

 人類が火星圏まで進出した未来。火星のユートピアコロニーは、謎の敵・木星蜥蜴の襲撃を受ける。苦しい戦いの中、民間企業ネルガルは、実験戦艦 ND-001 ナデシコを投入。そのナデシコの能力最優先で集められた一癖も二癖もあるクルーたちの騒がしい日常とシリアスな戦いを描いたアニメです。
 本作には、常時着ぐるみ着用というキャラクターが出てくるわけではないのですが、専門用語を解説するミニコーナー、「なぜなにナデシコ」では艦長のユリカが自らウサギの着ぐるみを着用。ウサギくんとして、おねえさんのホシノ・ルリと一緒にわかりやすい説明をしてくれます。着ぐるみキャラは、普通の人間とは少し違う位相にいる存在。突然始まる番組内ミニコーナーのシュールさにはまさに着ぐるみキャラに相応しいと言えるでしょう。


・serial experiments lain

 岩倉玲音は内気な中学生。そんな彼女の元に、自殺したはずの同級生からメールが届きます。その謎を追うために、玲音は父親にコミュニケーション用コンピュータネットワーク端末「NAVI」をねだり、仮想世界、ワイアードにアクセスします。それ以来、玲音の周りでは奇妙な出来事が起こり始めます。インターネットが普及する直前、その恐怖と可能性とセンチメントを圧倒的な映像美で描き切った大傑作です。
 本作のヒロイン・岩倉玲音が着用しているのは、クマの着ぐるみパジャマ。シリアスでホラーテイストの強い本作ですが、着ぐるみパジャマや玲音の足音のSE、そして精緻に作画された少女たちのしぐさなど、可愛さの演出も抜かりなかったのです。玲音は、自宅でも居場所のなさを感じている少女。そんな居心地の悪さに対抗するための、いわば鎧として玲音は着ぐるみパジャマを着用していたのです。生身の人間を越えたものになる、という着ぐるみの方向性はここで既に明らかになっていた、と言えるでしょう。


・アイドルマスターXENOGLOSSIA

 アイドルになるべく上京した天海春香。しかし、iDOLと呼ばれる巨大ロボットの搭乗員として地球を襲う隕石を迎撃する仕事に就くことになります。ゲーム『THE IDOLM@STER』を原作に、大胆なアレンジを加えてギャルゲーアニメ・ロボットアニメ・アイドルアニメの3ジャンルにまたがる金字塔を打ち立てた、これも名作です。
 この作品あたりから現在まで続く常時着ぐるみキャラが登場した、と考えていいでしょう。その常時着ぐるみキャラの先駆けになったのが、本作の高槻やよい。春香の親友で、一足先に東京で芸能活動を開始していた先輩アイドルです。しかしながら、まだまだ駆け出しの彼女、仕事は着ぐるみ着用の色物っぽいものばかり。着ぐるみでアイドル、という意味では、【ろこどる】のゆい先輩に一番近いキャラクターだと言えるでしょう。ゆい先輩は顔出しだと緊張することを除けば、殆ど完璧な人格者。奈々子と縁の一歩先を行く理想の先輩なのです。着ぐるみが超人的存在の象徴である、という『lain』の構図は、『【ろこどる】』にも引き継がれていると言えるわけですが、『XENOGLOSSIA』のやよいもまた別の意味で完璧なキャラクター。ガサツで早とちりが多いものの、その善意は底なしです。春香の事情を知らないまま、彼女を支え、導いていきます。


・シドニアの騎士

 奇居子と呼ばれる謎の敵の襲来により、太陽系が壊滅した未来。人類は、生き残りをかけて巨大な宇宙船、播種船を送り出した。その播種船のひとつ、シドニアの地下に隠れて暮らす少年、谷風長道は、祖父と死に別れたある日、ひょんなことから地上の人間に保護され、人型兵器衛人のパイロットになることに。
 弐瓶勉氏の原作コミックをフル3DCGでアニメ化した本作、他の作品とは一線を画すデザインセンスとSF設定で話題になりました。そんな『シドニア』の着ぐるみキャラは寮母のヒ山ララァ。リアルな造形のクマの着ぐるみのような生命維持装置を常時着用しています。長道たちを優しく見守る気のいい人物ですが、その実はシドニアの支配層・不死の船員会の一員。着ぐるみキャラのご多分に漏れず一筋縄ではいかない人物なのです。また、着ぐるみであると本人は主張しているのですが、長道たちの前でそれを脱いだことはなく、劇中でほぼすべての時間を完全にクマの姿で過ごしており、着ぐるみキャラのステージをまたひとつ上げた記念碑的なキャラと言えるでしょう。

他にも、『ケメコデラックス』『はなまる幼稚園』『帰宅部活動記録』『あいまいみー』など、着ぐるみキャラが登場するアニメは多々あります。さらに来期には、着ぐるみマスコットが重要な役割を果たす『甘城ブリリアントパーク』が予定されています。

ここ15年で急速に定着した新たなキャラ類型「着ぐるみキャラ」から今後も目が離せません。

文=夏葉薫