TVアニメ『魔法科高校の劣等生』 よくわかる現代魔法学講座【横浜騒乱編】

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更新日:2014/9/22

 TVアニメ『魔法科高校の劣等生』をご覧のアニメファンのみなさま、こんにちは。ついに「横浜騒乱編」もクライマックスを迎え、ついに残すところ最終話のみとなりました。


 今回も『魔法科高校の劣等生』をより深く理解し、最後まで作品を楽しんでいただくため、最終章「横浜騒乱編」を取り上げて参ります。

 いつもの魔法解説の前に、まずは「横浜騒乱編」で達也が参加している論文コンペについて、簡単にご説明しましょう。正式名称は『全国高校生魔法学論文コンペティション』。全国の魔法科高校の成績優秀な生徒たちが現代魔法学の研究成果を発表する研究発表会です。発表は実演を兼ねたプレゼンテーション方式で行われるため、実験装置の設計から、術式補助システムの製作、搭載する筐体の組立てなど、高度かつ手間のかかる作業が必要となります。そのため技術系クラブ、美術系クラブなどの文化系クラブが総動員される大掛かりなイベントとなっています。九校戦が「武」の対校戦であるとしたら、論文コンペはこれと双璧をなす「文」の九校間対校戦と言えるでしょう。

 第一高校の発表チームの一員として開催地の横浜へとやってきた達也たちですが、大学や企業の研究機関も注目する研究成果を狙って某国の工作員が暗躍し、事態は市街地を巻き込む大騒動へと発展していきます。無差別に市民を襲うゲリラに達也たちはいかにして立ち向かうのか。その手に汗握る戦いぶりは、この現代魔法講座を参考にして、ご覧ください。

※こちらはライターが独自に調査したものになります。また最終話のネタバレが含まれる可能性がございます。

◆現代魔法学の基礎知識「横浜騒乱編」

・精神干渉魔法
人間の精神構造に干渉する魔法であり、使用については魔法の中でも特に厳しい規制が課せられている。いまでは研究開発そのものが非人道的として禁じられているが、戦時中、この分野を研究テーマとしていた魔法技能師開発第四研究所で生み出された魔法師の家系が達也と深雪の属する「四葉家」である。

・戦略級魔法
核兵器などの戦略兵器と同等の破壊力を持つ魔法。これを使用できる魔法師は戦略級魔法師と呼ばれ、各国の政府が抑止力として公表している十三人の戦略級魔法師を「十三使徒」と呼称している。

・日本魔法協会
日本の魔法師が所属する組合組織である。京都に本部があり、関東支部が横浜ベイヒルズタワーに設置されている。日本の国家機密に関わる希少なデータを集中管理している。

◆「横浜騒乱編Ⅰ~Ⅷ」に登場する魔法
・斬鉄
登場回:第19話 使用者:千葉寿和
密入国船に乗り込んだ千葉寿和が甲板上で振るった魔法。移動系魔法で「刀」を単一概念として定義し、魔法式で設定した斬撃線に沿って移動させることで、あらゆる物体を切り裂く千葉家の秘剣。さらに「刀」と「使用者」を集合概念として定義し、自分の身体ごと移動させる高速斬撃「迅雷斬鉄」の発展系が存在する。

・伸地迷路(ロードエクステンション)
登場回:第20話 使用者:五十里啓
逃走しようとした平河千秋のスクーターのタイヤを空転させた魔法。放出系魔法でタイヤの接地面と道路の電子分布を操作することで、クーロン力を斥力に偏倚させ、摩擦力を近似的にゼロとすることでタイヤをスリップさせ続け行動不能にする。

・土遁陥穽
登場回:第21話 使用者:吉田幹比古
模擬戦で十文字に幹比古が仕掛けた魔法。あらかじめ設置した呪陣にサイオンを送り込むことで起動する条件発動型魔法。四方から土砂を噴き上げ目つぶしとし、さらに地面をすり鉢状に陥没させて足止めにする逃走用の術式。

・圧斬り
登場回:第22話 使用者:千葉修次
病院に侵入した呂剛虎に千葉修次が振るった魔法。加重系魔法で短刀の延長線上に極細の斥力場を形成して接触した物体を割断する術式。

・鋼気功(ガンシゴン)
登場回:第22話 使用者:呂剛虎
千葉修次の圧斬りを受け止めた魔法。硬気功を発展させた魔法で、皮膚の上に鋼よりも硬い生体波動を展開することで皮膚の構造を情報強化するのと同様の効果を生み出す。さらに全身を何層ものサイオン情報体で覆うことで、強固な障壁魔法と同様の効果を生み出せる。

・ドウジ斬り
登場回:第22話 使用者:渡辺摩利
鑑別所に侵入した呂剛虎を仕留めた摩利の魔法。短冊状の二枚の刃を遠隔術式で操作し、使用者の武器とあわせて三方向から同時に斬りかかる。刃にはさらに「圧斬り」の術式を加え、切れ味を増している。

・梓弓
登場回:第24話 使用者:中条あずさ
ゲリラの襲撃によりパニックになった会場を鎮めた魔法。情動干渉魔法で本来は厳しく規制がされている。サイオンではなくプシオンを震わせた波動を放射する。波動を受けた者は幻聴として受け取り、意識を奪われ、つかの間の忘我の状態に陥る。

・凍火(フリーズ・フレイム)
登場回:第24話 使用者:司波深雪
ゲリラの持つライフルの弾丸を凍らせた魔法。振動減速系概念拡張魔法。対象物の保有する熱量を一定レベル以下に抑制する術式。「燃焼」という現象の概念に作用する。熱量の増大を禁じられた弾丸の中の火薬は、燃焼が出来なくなり不発に陥る。

・空気甲冑(エア・アーマー)
登場回:第25話 使用者:沢木碧
地下に潜んだゲリラからの攻撃を防いでいた魔法。収束・移動系魔法で自分の体表面から3~5センチの相対座標に圧縮空気の層を築き、相対距離ゼロで静止させる。空気層の曲面で弾丸を逸らすこともできる。

・爆裂
登場回:第25話 使用者:一条将輝
一条将輝が襲ってきたゲリラを撃退した魔法。発散系魔法で一条家の秘術とされる。対象物内部の液体を瞬時に気化する。人体ならば血漿が気化し、その圧力で筋肉と皮膚が弾け飛ぶ。無機物であっても燃料を貯える内燃機関の乗り物であれば、燃料が気化して内部から爆発する。

・千畳返し
登場回:第25話 使用者:柳連
進軍してきた装甲車を横転させた魔法。加重系魔法で地球の重力を瞬間的に遮断することにより、対象物を地球の自転の遠心力によって西側へ転倒させる。

・薄羽蜻蛉
登場回:第25話 使用者:西城レオンハルト
ゲリラの乗る機動兵器を切り裂いた魔法。厚さ5ナノメートルのカーボンナノチューブ製の極薄シートを硬化魔法で完全平面状に固定することで、剃刀よりも鋭い切れ味の刀身とする。刃を動かす術式が含まれていないので、使用者は刀の操作技術と腕力を必要とする。

・山津波
登場回:第25話 使用者:千葉エリカ
ゲリラの乗る機動兵器を切り伏せた魔法。加重系・慣性制御魔法。自分と刀に掛かる慣性を極小化して対象に高速接近し、インパクトの瞬間に消していた慣性を刀身に上乗せして叩きつける。偽りの慣性質量は助走が長いほど増大し、最大10トンに及ぶ。

・振動地雷
登場回:第25話 使用者:千代田花音
ゲリラの乗る機動兵器を停止させた魔法。振動系魔法の「地雷原」の派生系で、振動によって舗装路面を砕き、滲みだした地下水によって地面を液状化させ対象の足を止める。さらに水分子を振動させ、蒸発させることで凝固した砂の中に対象を拘束する。

・叫喚地獄
登場回:第25話 使用者:一条将輝
幻影に紛れたゲリラをまとめて倒した魔法。振動系魔法で「爆裂」の威力を下げる代わりに対象を「物」から「領域」に拡大した劣化版。領域内の液体を一瞬ではなく30秒から一分の時間を掛けて加熱させる。

・コキュートス
登場回:第26話 使用者:司波深雪
五十里と桐原を撃ったゲリラに報復を与えた魔法。精神干渉魔法で、かけられた対象は精神を凍結され、思考も認識も動くことはなくなり、身体は死すらできずに静止・硬直する。

・再成
登場回:第26話 使用者:司波達也
五十里と桐原の怪我を癒やした魔法。エイドスの変更履歴を最大24時間遡り、外的な要因で損傷を受ける前のエイドスをフルコピーした魔法式で損傷した情報体を上書きすることで、怪我をする前の状態に復元する。代償として、エイドスを読み取る過程で対象者の味わった痛みや苦痛を0.2秒に凝縮した激痛を疑似体験しなければならない。

・ドライミーティア
登場回:第26話 使用者:七草真由美
襲ってきた呂剛虎にとどめを刺した真由美の魔法。収束・発散・移動系の複合魔法。大気を収束して凝固させたドライアイスの塊を対象に向かって撃ち出し、当たる直前に二酸化炭素へ気化させることで、気化膨張による衝撃波と高濃度の二酸化炭素中毒で敵を行動不能にする。

・質量爆散(マテリアル・バースト)
登場回:第26話 使用者:司波達也
達也が遠距離から敵の艦隊を吹き飛ばした魔法。質量をエネルギーに分解する究極の分解魔法。対消滅反応ではなく分解魔法によって質量を直接エネルギーに分解するためエネルギーロスが無い。アインシュタイン公式の通りに質量を光速定数の二乗の倍率でエネルギーに変換する。水一滴、50ミリグラムの質量分解でもTNT換算1キロトンの熱量を発生させることができる。

 最終話の前に、これまでの活躍を最初から見返してみとまた面白い発見があるかもしれません。そして最終話の後も『魔法科高校の劣等生』の世界は続いていきます。続きが気になった方は、是非、お近くの書店で原作を手にとってみてください。

文=愛咲優詩