ウォッカだけじゃない! ロシア美女もハマったロリータファッションの魅力

アニメ

更新日:2014/10/29

いま、ロシアでは日本のアニメをこよなく愛する”ロシアンオタク”が首都モスクワを中心に急増しているのをご存知だろうか?

ロシアに短期留学していた筆者がこの目で見た「日本とモスクワの意外な繋がり」や、オタク文化に関心の高いロシア人の一面を紹介したいと思う。

ここ最近ロシアでは、可愛らしいドレスに身を包む「ロリータ・ファッション」が、モスクワの若い女子の間で注目を集めている。一番人気はパステルカラーを基調とし、フリルを贅沢にあしらったいわゆる”ロリータ”だが、この他にも黒のドレスがシックな雰囲気のゴシック・ロリータやパンクの要素を取り入れたパンク・ロリータなど好みは多岐に富んでいる。更に驚くことに、「服と靴は原則同色」というロリータ界の掟はモスクワでも健在、ロリータを本格的に楽しみたいというロシア人女子の思いを反映している。

2012年には大規模なコスプレイベント「日の出」がモスクワで開催され、ロシア人お手製のロリータ・ファッションショーが注目を浴びるなど、現在もディスコや公園、カフェなどでロリータに身を包んだ少女たちがお茶会を楽しむ。彼女らにとってロリータの魅力とは一体何なのだろうか。ロリータパーティーで知り合ったロリータ暦3年のターニャ(19)に話を聞いた。


彼女いわく、ロリータファッションは「現代にない魅力」だと語る。ターニャは16歳の時、友人がロリータ服を購入したことを機に虜となり、その様子を「まるで19世紀の画家の絵から飛び出してきたような素敵な雰囲気」と称している。
ロリータ服を身にまとう事で中世の宮殿にタイムスリップしたかのような気分を感じられ、その非現実的な優美さに多くのロシア人少女たちが惹かれる理由があるのだろう。
一方でロリータ・ファッションを楽しむ弊害として、ロリータショップがロシアにないことが挙げられる。すると必然的に彼女らはネットで購入することになるのだが、その際商品が届かないなどのトラブルが発生するなど、ロリータを楽しむロシア人にはまだまだ課題が多いようだ。

ロリータがロシアで人気になってきた背景として、ロシア人の「私服自由主義」が感じられた。ソ連時代、ロシアの国民は国から配給された服のみを着用していた。当然“服装を選ぶ”といった行為はなく、配給されるものの多くは黒かグレーのシンプルな洋服だった。それがソ連崩壊と同時に海外から色やカタチが様々な洋服が流入し、人々は服を選ぶ楽しさに目覚めたのだろう。それまでの反動から、特に自己を主張できる“派手”で“自由”な服装を好むようになった。ターニャのインタビューの最中、「ロシアでまだ珍しいロリータを着る事に躊躇しないのか? 周りの目は気にならないのか?」と問いかけると、ターニャは「気にならないわ。ロリータを着て映画に行っても公園をお散歩していても笑われることなんてないわ。ロシア人女性は服装の事で躊躇することはなくなったし、周りもロリータ・ファッションを受け入れてると感じるの。」と語った。

ロシアには他国を寄せ付けない雰囲気があると思われがちだが、予想以上にロシア人は珍しいもの、違ったものに興味を持ち、積極的に自国に取り入れようとする国民性がある事を今回の取材を通して感じた。ロシアでロリータや日本のポップカルチャーが人気を集めているのは、こんな国民性が要因なのかもしれない。

(取材・文=三村未来)