鑑賞後は犯罪係数が上がる!? 劇場版『PSYCHO-PASS』公開間近!

アニメ

公開日:2014/12/31

 近未来SFアクションとして、圧倒的人気を誇る『PSYCHO-PASS サイコパス』。2015年年明けの劇場版公開に先立ち、12月19日完成披露試写会が行われた。主要キャスト、監督らが集結した。

▲監督・キャストらは手に「ドミネーター」を抱えて登場

『PSYCHO-PASS』シリーズは、人の心を数値化し管理する社会を描いた作品。人気作家・虚淵玄氏(ニトロプラス)が原案を手がけ、緻密な舞台設定、そして見ごたえのあるアクションが特徴だ。

『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス』の無事完成を見届け、壇上に上がった人々から感無量の声が聞かれた。劇場版では、舞台は海外へ広がる。作中でも、日本語・英語・現地語(?)が飛び交う壮大な世界観となっている。

「今作では、英語でしゃべるシーンも多く、ちゃんと話せているか心配で心配で…。狡噛慎也(こうかみしんや)演じる、関智一さんの英語はかっこいいんですよ」とは、主人公・常守朱(つねもり あかね)を演じる花澤香菜さん。
 この日は、ロングヘアをばっさり切りショートカット姿で登場。周囲からはまるで、常守朱そのものとの驚きの声が。

▲常守朱役の花澤香菜さん。ショートカットがかわいらしい

 続いて狡噛役の関智一さんが喜びを爆発させた。
「第2期ほぼ出ない悲しみを乗り越えて、帰ってきましたよ(笑)! まあ、僕が英語をできるってことはみんな知っていたでしょう」と大見得を切った発言に対し、冷静に花澤さんからツッコミが入った。

「関さんは、台本の英語をすべてカタカナで表記していたって聞きましたよ」
 大爆笑の会場に対して、関さんも反論を述べる。
「結果がよければいいんです!」

▲会場を沸かせる、狡噛慎也役の関智一

 こんな和やかなやりとりのなか、他のメンバーからもひとことずつあいさつが行われた。

「まさかの“ポニチカ”ですよ」とは、宜野座伸元(ぎのざのぶちか)を演じる野島健児氏。“ポニチカ”とは、本作で宜野座が、ポニーテールスタイルを披露するからだ。
「宜野座は、遅く来た反抗期を見せる役。またひとつ大人になったのかな」と、外見の変化をアピール。

 続いて、クールなキャラ・六合塚 弥生(くにづかやよい)を演じる伊藤静さん。
「六合塚は、第1期から劇場版まで、変わらないことの象徴なのかな。狡噛のようにいなくなったり、ギノ(宜野座)のようにコロリと変わったりしません(笑)」と、変わらなさアピール。

▲これが“ポニチカ”こと宜野座伸元

 セクシーな分析官・唐之杜志恩(からのもりしおん)を演じる沢城みゆきさんからは、キャラ視点でこんな実感をもらした。
「私の役は“ここぞ”ってときに部屋から出られない。だから“もっと朱ちゃんを助けたい”と思っている役だとは知っていました。それが、第2期を演じてさらに深まりましたね。
 朱ちゃんと対立する霜月美佳(しもつきみか)とのやりとりを通じて、イライラする自分に気がついたんです。私、すごく朱ちゃんが好きだなーって」

 それを受けて、霜月美佳演じる佐倉綾音さんは、すまなそうな表情で発言。
「霜月を演じるにあたり、塩谷直義監督から“嫌われてください”と言われました。だから第2期を演じるときは、監督の言葉を守り一生懸命演じていたのですが、放送日が近づくにつれてみんなに嫌われないかこわくなってきましたね。でもそんな私の不安を知ってかしらずか、音響監督さんに“悪役向いているな”って言われちゃいました」

 劇場版でも2期同様に、朱と霜月のツンケンやりとりは健在。その様子に対して、花澤さんはこんな印象を抱いていた。

「2期や劇場版を通して、美佳ちゃんから強く言われると、キュンと来るようになってしまいました。クセになりますね」

▲花澤さんを「キュン」とさせた、ツンキャラ・霜月美佳

 続いて、第1期では槙島聖護(まきしましょうご)、2期・劇場版では雛河翔(ひなかわしょう)を演じた櫻井孝宏氏。
「この作品では、新しいシーズンで演じる立ち位置が変わるという、特別な体験をさせていただきました。劇場版では、頼りなかった雛河が、より精かんでかっこいいですよ」

 1期では社会に盾突く殺人鬼を、一転2期ではひ弱な新人を演じた。そのギャップから、演技力の幅が感じられる。

 続いて全シリーズの監督を務めた塩谷監督。現在の心境は…?
「辛かったな。もちろんいい意味ですけど。でも、テレビと劇場版を同時につくってはいけないと感じました(笑)。シリーズにかかわるようになって5年。30代最後のほぼすべてを『PSYCHO-PASS』にかけて、充実…してました」と、なにやら苦笑いでプレッシャーから解放された様子を見せた。

 同じく立ち上げ当初から、同作を見守る総監督・本広克行氏。こんな裏ばなしを打ち明けてくれた。
「男が見る、骨太のSFアニメをつくろうとしていたんです。“萌え禁止!”とか言いながらつくっていたのに、こんなにも女性ファンに評価していただけるとは、驚きです」

▲今作の舞台は、海上都市シャンバラフロート

 今作の魅力は、本広総監督が述べるような骨太さにある。リアリティのある公安機構、世界観からマシンひとつに到るまでの緻密なSF設計、重い過去を抱える人物の群衆劇、そして勢いのあるアクションシーンなど。どこを切っても隙のない作品だ。
 劇場版でもその魅力は引き継がれさらに増幅している。見所はたくさんあるのだが、今回はミリタリーアクションにも十分な尺を取り、ぐいぐいと作品に引き込んでくれる。Production I.Gお得意の戦闘シーンは、満足感高し。
 特に、第1期最後で失踪した狡噛慎也の活躍。反政府勢力に荷担し、体と火薬を駆使した泥くさい戦いを繰り広げている。鍛えられた狡噛の肉体に鼻血を噴出しかねないため注意が必要だ!

▲常守朱が背負うものとは?

 たった一度見るだけでは、満足できないかもしれない濃厚な今作。花澤さんが気になる発言を最後に残してくれた。

「『PSYCHO-PASS』にかかわるようになって4年。朱ちゃんと一緒に生きてきたような気がします。今作で外国へ行った朱ちゃんは、さらに大きなものを背負ってしまった気がします。続きがあったら、朱ちゃんどうなっちゃうんだろう」

 映画のキャッチコピーは「この〝正義〟に、最後の引き金を——」とある。意味深な“最後”とはなにか。今回、登場人物がどのようなものを背負ったのかは、ぜひその目でチェックして欲しい!

取材・文=武藤徉子

■『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス』
2015年1月9日東宝系全国の劇場で公開!
公式HPはこちら

(C)サイコパス製作委員会