Cover Model 水原希子 2013年1月号
更新日:2013/6/6
Cover Model水原希子
人生にターニングポイントがあるとしたら、
彼女の場合、それは17歳の時だった。
すでに雑誌のモデルとして活躍していたが、単身パリへ。
エージェントをいくつも回ってオーディションを受けた。
2つのエージェントから声がかかるが、帰国。
日本に戻った彼女を映画『ノルウェイの森』のオーディションが待っていた。
あの映画に出て学んだことはと訊ねたら
「最初に叩きのめされたおかげで調子に乗らなくて
よかったと思います」、即答だった。
「『ノルウェイの森』みたいな素晴らしい作品に出たら
へたすると天狗になっちゃうところを、
トラン・アン・ユン監督はさせなかったから。
すごく感謝しています」
今年は、蜷川実花監督『ヘルタースケルター』にも出演。
「原作を読んで衝撃を受けたんですよ。
『ヘルタースケルター』の若さや美しさが消費されていく中で
自分を見失っていく感じって、正気じゃないけど今の世の中を顕してるし、
悲しくて息が詰まる。
監督の蜷川さん自身がああいう世界の真ん中にいるからこそ
あそこまで描けた作品じゃないかって」
来年は大河ドラマ『八重の桜』でドラマにも初挑戦する。
「私が演じる大山捨松は、日本で初めてアメリカに留学して、
その時代に許されていなかったことを行った女性。
ある意味、パンクなんですよ。でもエレガントさを失わない。
捨松を演じることで彼女の前向きな姿勢を吸収したいですね。
それこそ憑依するくらいに」
そんな水原希子さんが選んだ本は——
亮介が実家で見つけた「ユリゴコロ」と名付けられたノートには、殺人に憑りつかれた人間の告白が記されていた。これを書いたのは誰なのか。謎のノートには亮介の人生を一変させる驚愕の事実が潜んでいた。ダークな世界観なのに家族の愛の物語でもある意外性。抜群のリーダビリティで沼田まほかるにハマる読者を続出させた。
「飛行機に乗る時に友達に勧められて、主人公が謎めいたノートを発見したところから一気に惹きこまれました。連続殺人の告白なんだけど一体これは誰が書いたんだろうって。終わり方も大胆。その結末は想像していなかった。小説を読むのは正直億劫な気持ちがあったのを変えてくれた本なんです」(水原希子 談)
『鹿鳴館の貴婦人 大山捨松 日本初の女子留学生』
久野明子 中公文庫 1000円
『鹿鳴館の貴婦人 大山捨松』は来年の大河ドラマ『八重の桜』で捨松を演じることになって読み始めた一冊。「歴史上の人物を演じるのは初めて。幕末にこんな素敵な女性がいたなんて知らなかった」。日本初の留学生として渡米。帰国後は大山巌(反町隆史)と結婚して「鹿鳴館の名花」と言われるようになる。「捨松は会津の生まれで大山巌は薩摩だから、かつては敵対関係にあった。でもこの人と一緒になることで自分の留学経験を活かすことができると判断して、捨松はそこに賭けていく。変わろうとしていた時代を代表するような本当に魅力的な女性で、知れば知るほど好きになって(笑)。捨松の時代の英語は今とちょっと違うので、早速昔の映画を観たりして勉強も始めました。ダンスも作法もきれいな元祖セレブリティ。自分ももっと勉強して、彼女がその時に感じていた前向きな気持ちをどんどん吸収したいと思っています」