2006年09月号 『コーヒーもう一杯』1〜2巻 山川直人
更新日:2013/9/26
コーヒーもう一杯(1) (ビームコミックス)
ハード : | 発売元 : エンターブレイン |
ジャンル:コミック | 購入元:Amazon.co.jp/楽天ブックス |
著者名:山川直人 | 価格:683円 |
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2006年08月04日
『コーヒーもう一杯』1〜2巻 advertisement 山川直人 エンターブレインビームC 各683円 |
さまざまにコーヒーを淹れる人、飲む人の想いを描く短編マンガ集。『まぼろし』は、しがない似顔絵描きが主人公。彼は迷い込んだ裏路地で「まぼろし」という喫茶店に入る。そこで出会った男性に頼まれ、男性の妻子の似顔絵を聞き描きするが……。 『恋する喫茶店』は喫茶店のウェイトレスに恋していても、ただ通うことしかできない青年が描かれる。 日常の話にとどまらず、SF、ファンタジーの要素も含めながら、コーヒーに向かう人の姿を描く。 |
撮影/川口宗道
撮影協力/ERIKA(東京・西神田) |
やまかわ・なおと●1962年生まれ。中学からマンガを描き始め、高校入学と同時に同人誌活動を開始。88年『シリーズ間借人』(『ヤングチャンピオン』連載)でデビュー。 |
横里 隆 思い通りにいかない世の中だけど
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稲子美砂 (本誌副編集長。主にミステリー、エンターテインメント系を担当) 贅沢な時間、贅沢なマンガ
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関口靖彦 (ちょっと前に出たマンガですが板羽皆さんの『サムライカアサン』が素晴らしかった。人の善性をまっすぐに信じる話。泣いた) 「BIGになる」だけが夢じゃない、
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波多野公美 (この夏は世界バレエフェスが楽しみ。6月のベジャールも素敵でした) おいしいけど、あまくない
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飯田久美子 (第1回ダ・ヴィンチ文学賞大賞受賞作、前川梓さんの『ようちゃんの夜』が本になりました。とてもかわいい本になったので、一度読んだ方も買ってください。詳しくはダ・ヴィンチ9月号P.152とP.204を!) コーヒーの匂いにクラクラ この本を一気に読もうとして気持ち悪くなった。何かに酔ったのだと思う。だってわたしは100%紅茶派だ。コーヒーは飲めない。気持ち悪くなるから。だけど、だから、はじめて飲んだコーヒーのことはよく憶えている。お稽古ごとのお迎えに来てくれた祖父と寄り道した喫茶店で飲んだ、アイスコーヒーだ。寄り道。子どもが飲むとバカになるからと母から禁止されていた飲みもの。大人の男の人しか入っちゃいけない喫茶店。そういうもののすべてが、わたしの知っているコーヒーの味、あるいは匂いだ。結局、その日の夜中、人生最初で最後のコーヒー一杯を、全部吐いた。誰にも見つからないように、裏庭で。酔ったのだと思う。小さいけれど、自分だけで抱えていかなくてはいけない秘密の匂いに。苦くて古い秘密の匂いに。吐いてしまわないように、1編ずつゆっくり読むのがいい、と気づいた。だって二十年ぶりの、もう一杯のコーヒーだから。 |
服部美穂 (ダ・ヴィンチ9月号 第一特集の目玉は「困ったブックデザイナー祖父江慎に言いたい!」です。豪華クレーマー陣に注目!!) コーヒーも思い出も少し苦い 『かわいい女』の主人公・カオリは、付き合い始めたばかりの彼がコーヒー好きなことを知り「あの人もコーヒーが好きだった」と昔の彼を思い出し、コーヒーの淹れ方で昔の彼と今の彼を比べてしまう。一方、『コーヒーもう一杯』『風邪をひいた日』の主人公・青山は、いつもコーヒーを淹れてくれていた彼女と別れて以来、コーヒーを飲めずにいる。女が新しいコーヒーの味を知って美味しいと思うのに対し、男はあの味をもう一度と執着し続ける。コーヒーの味わい方と思い出の味わい方は似ているのかも。著者が、よく使い込んだ道具で、丁寧に挽き、ドリップしてくれた物語の数々は、どれもしみじみと深く味わい深い。ぜひ、テイスティングしてみてほしい。 |
似田貝大介 (イベント「怪談之怪with 幽」が『幽』の豪華執筆陣を招き京都で開催されます。詳しくはダ・ヴィンチ9月号P.197ページへ!) 自然と香りが漂うように
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宮坂琢磨 (この長雨で地元が水没した) コーヒーの苦み
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イラスト/古屋あきさ |
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