特集番外編1 2009年8月号

特集番外編1

更新日:2013/8/12

ぜんぶ読みたい! 藤子・F・不二雄作品

 

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編集 H

 

なんと、藤子・F・不二雄の全作品を網羅する初の大全集がいよいよ発売! さらに2011年には「藤子・F・不二雄ミュージアム」が開館する!! ということで「藤子・F・不二雄」特集をすることになったのですが、とにかく作っていてこれほど楽しい特集はありませんでした。

大人になってあらためて作品を読み返してみても面白い!! 子どものときに大好きで読んでいた「藤子・F・不二雄作品」ですが、ふだん忘れている子ども心を揺り起こしてくれるのはもちろん、絵の素晴らしさやテーマの深さにあらためて感じ入ることしきりでした。特に大人向け雑誌で発表されていた「SF短編」には優れた名作がたくさんあります。意外とご存知ない方もいらっしゃると思います。ぜひ読んでみてください!

 

特集では、7人の豪華作家陣に寄稿やインタビューのご協力をいただいたのですが、皆さん楽しんでご参加くださったのが印象的でした。

その中で、瀬名秀明さんのインタビューでは、F先生が作品を通して描いている未来について、作家としてだけでなくロボット工学を専門になさっている立場からお話をお聞きしました。

瀬名さんは、子どもの頃から「藤子・F不二雄作品」は大好きで夢中になって読んでいたそうなのですが、その影響で、こんなロボットを作りたいとか科学の道を志そうと思ったかというと、意識的にそう思った記憶がないそうです。F先生の作品を読んで、未来や科学を空気のように当たり前に呼吸していた。それこそがF先生の作品のすごさだと思います、とおっしゃっていたのがとても心に残りました。

 

子どもの頃、私たちが思い描いていた未来の姿は、F先生の描くマンガの中に確かに存在していました。人間はロボットと仲良く暮らし、誰もが宇宙旅行に行ける。私たちが家族や友達と暮らす生活の延長線上にそんな未来が待っている。F先生のマンガはそうやって未来を夢見ることを教えてくれました。そして読めばいつでもその気持ちを思い出させてくれるのです。

この特集をきっかけに、皆さんにも「藤子・F・不二雄」の世界に親しんでいただければうれしいです。

 

 


 

 

大人になっても、おもしろい!

 

編集 I

 

子どものころや、思春期のころに、大好きだった本で、いまもエバーグリーンなんだけど、なんだか読み返せない本がある。あのときに読んで感じたことの記憶は鮮明だし、オールタイムベストであることにはかわりないんだけど。でも、ひょっとして今読み返したら、もうあのときほどの気持ちになれない自分になっているかもしれない。そう思うと、大好きなんだけど、読み返せない本がある。

藤子不二雄(とやっぱり呼びたい気持ちがあります)。なつかしいけれど、好きだったけれど、特集やるの楽しそうだけど、果たして今読んでもおもしろいのかな? 全集はマニアの人のためのもの? 不安な気持ちで始めた特集でした。

でも、そんな疑心暗鬼は、1冊手にとってページをめくった瞬間に、霧消しました。やっぱり、掛け値なくおもしろい。しかも、なつかしくておもしろいわけではなく、シンプルにおもしろくてびっくりしました。今もやっぱり、ドラえもんの道具はうらやましいし、パーマンは意外と凶悪な奴と戦っていることに驚いたし、エスパー魔美の画家であるおとうさんの話には芸術家が批評にたいしてどうあるべきかということまで書かれていたりする。

その証拠に、今回わたしは初読だった『チンプイ』! めちゃくちゃおもしろかったです。(子どものときに読んだり観たりしとけばよかったと悔やまれましたが)

藤子不二雄作品では、女の子的にはなかなか感情移入できるキャラクターが少ないと思っていたけれど、『チンプイ』のエリちゃんは、きっと自分の子どものころを思い出せる女性も多いのではないでしょうか。元気だけどドジで、男の子みたいにおてんばなくせに好きな人のことで頭がいっぱい……。もう絶版になってる全4巻を探し出し、you tubeでアニメを見まくってます。

というわけで、特集で紹介しきれなかった作品もありますが、『ドラえもん』だけでなく『パーマン』も『キテレツ大百科』も『21エモン』も『オバケのQ太郎』も『エスパー魔美』も『SF短編』も全部全部、とってもおもしろいので、特集で紹介してるなかだけでも未読の作品がありましたら、マイナーでも、ぜひ、手にとってみてください。ぜったい、おもしろいので。

わたしのおすすめは『チンプイ』です。