大江健三郎 Interview long Version 2005年9月号

インタビューロングバージョン

更新日:2013/8/19

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取材・文/榎本正樹 撮影/川口宗道

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プロフィール
大江健三郎

大江健三郎(おおえ・けんざぶろう)
1935年愛媛県生まれ。東京大学文学部仏文科卒。
在学中に執筆した『奇妙な仕事』で東大新聞の五月祭賞を受賞して文壇デビュー。 58年に『飼育』で芥川賞を、64年に『個人的体験』で新潮社文学賞を、67年に『万延元年のフットボール』で谷崎潤一郎賞を受賞。以降も数々の文学賞を受賞し、戦後文学の継承者として名実ともに現代日本文学の最前線で活躍。94年に日本人としては2人目のノーベル文学賞を受賞する。

大江さんが紹介してくださった本
『さようなら、私の本よ!』

『さようなら、私の本よ!』
大江健三郎
講談社 2100円
安保デモのパフォーマンスに参加した古義人は頭部に重傷を負い、初めての入院をしていた。見舞いに訪れた古義人の旧友・建築家の椿繁は、静養が必要な古義人の隣人として自分も北軽井沢で暮らすという。退院後に始まったこの共同生活には繁のもとに若者が数人合流する。やがて古義人は彼らが東京でのテロを計画していることを知り、軟禁状態におかれる。創作意欲を失っていた古義人に対し、繁はこの計画をモデルに小説を書けとすすめるのだが……。老人たちの愚行の果てには何があるのか。長編三部作、いよいよ完結。


『取り替え子(チェンジリング)』

『取り替え子(チェンジリング)』
大江健三郎
講談社文庫 650円
作家・長江古義人の古い友人であり、義兄にあたる映画監督の吾良が自殺した。古義人には、吾良の肉声の入った多数のカセットテープが遺される。マスコミに取り沙汰される自殺の動機を不審に思いながら、そのテープを通じて生前の吾良と対話を続ける古義人。傷心のうちにベルリンへ旅立った彼は、そこで偶然吾良の死の手がかりを得る……。


『憂い顔の童子』

『憂い顔の童子』
大江健三郎
講談社文庫 860円
古義人は母親の遺志に従い故郷の家を相続、息子のアカリとともに四国の森へと移住する。同行者は古義人の小説を研究しているアメリカ人女性・ローズ。妻の千樫は吾良の友人の育児を手伝うためにすでにベルリンへと渡っていた。老いた古義人はその森で『ドン・キホーテ』さながらにさまざまな冒険を試みるのだが……。


『二百年の子供』

『二百年の子供』
大江健三郎
中央公論新社 1470円
真木、あかり、朔の3人きょうだい(三人組)は、父の故郷である四国の森に帰ったときに不思議な体験をする。“「童子」と呼ばれる特別な子が「千年スダジイ」というシイの根元のうろに入って、会いたい人、見たいものをねがいながら眠ると、それが叶う“ーーこの言い伝えを信じて、亡くなった祖母に会いに行こうとした彼らだったが、はたして訪れた先は……。

大江健三郎賞について

2009年に創業100周年を迎える講談社が創設した。選考委員はノーベル文学賞作家の大江健三郎さんただひとり。日本語で書かれた純文学や詩集が選考対象となる。賞金はないが、受賞作は英訳されて世界での刊行を目指す。
第1回は2006年に刊行された作品を対象として、大江さんが作家生活50周年を迎える2007年5月に決定される。