特集番外編1 2012年9月号
更新日:2013/8/7
長い沈黙を打ち破り
小野不由美の大進撃!
編集R
「ゴーストハント」の復刊、「十二国記」の再始動――そして、新刊2冊同時刊行!
しかも新刊『鬼談百物語』&『残穢』は、ある部分で繋がっており、両方読むことで更に面白さが倍増する仕掛けになっている。
ほかにも、いなだ詩穂さんによるマンガ『悪夢の棲む家 ゴーストハント』が、『ARIA』で待望の連載がスタート! 藤崎竜さんのマンガ『屍鬼』はコンビニ版(全5巻)が刊行されている。アニメ『十二国記』の全45話を一挙再放送など……。
とにもかくにも、いま、小野不由美なのである。
本特集は小野作品の熱いファンはもとより、これまで小野作品に触れる機会がなかったという読者にも愉しんでもらえたら、という意図で企画しました。
もしもあなたの友人がこれまで小野作品に触れたことがなく、いまこのタイミングで読みはじめるとしたら――あなたはどの著作をオススメしますか?
特集では、ふたつの入口を用意してみました。
まずは、講談社文庫から新潮文庫へ場を移し、“完全版”の刊行がスタートした「十二国記」から。そして、2冊の新刊から。
個人的にはぜひ、新刊からをオススメしたいです。
小野不由美さん初となる怪談百物語本『鬼談百景』は、怪談専門誌『幽』で連載された「鬼談草紙」に書き下ろしを加えた99話の掌編を収録。
この『鬼談百景』は、なんと読者から小野さんへ送られた体験談が元になっています。「ゴーストハント」の前身となる「悪霊」シリーズを刊行していた当時、文庫本のあとがきで読者の体験談を募っていました。それらが作品と昇華された経緯とは?
そして百物語最後の一話は――もう一冊の新刊『残穢』。実在の人物たちも登場し、作家の福澤徹三さんや平山夢明さんは大活躍します。
次々に伝染してゆく「穢れ」とは? 『鬼談百景』のエピソードの裏側を垣間見ることもできる前代未聞の長編怪談に秘められたアイデアとは?
詳細が気になる方は、小野不由美さんへのロングインタビューをご覧ください。新刊2冊について、じっくりと語っていただきました。
また、有永イネさんによる『鬼談百景』コミカライズは、99話の中から「お気に入り」という話を、マンガにしていただきました。普段は優しく切ない作品を描いている有永さんですが、このマンガ版は圧倒的に恐ろしい!
そして、品川女子学院の文芸部を中心とする皆さんに新刊を読んでいただきました。若い読者にはこの2冊がどう映ったのか? 終始笑いが絶えず明るい雰囲気の座談会でしたが、自身の体験談が飛び出したり、怪談への深い考察があったりと、たいへん刺激的な取材でした。
著名人の初小野不由美体験をご寄稿いただいた「私のファーストインパクト作品&シーン」も必見。つい最近はまったという方から、デビュー以前の小野作品さんを読んだという方まで、総勢21名による“証言”をご覧ください。
ますます目が離せない小野不由美さんの次なる一手とは?
「十二国記」の続編も気になるところですが、小野不由美さんが怪談専門誌『幽』で連載している連作小説「営繕かるかや怪異譚」をチェックしてほしいです。
現在発売中の『幽』17号では、哀しく恐ろしい短編「雨の鈴」を読むことができます。怪談ビフォーアフターともいえる建築怪談をご賞味あれ。
手前味噌ついでに、リライト版「ゴーストハント」全7巻も、よろしくお願いします!!
最後に。小野不由美さんをはじめ、今回の特集にご協力くださいましたすべての方へお礼を申し上げます。