小説でも、ラノベでもない。クチコミで広がる幻視ノベルとは…
更新日:2013/4/22
作品イメージを伝える予告動画。ぜひここから世界観に入ってほしい
女子もはまるアクション、男子も涙する純愛。エンターテインメント小説『FALLEN 青い泪のベリル』(堀 修夢/Parade books)は“幻視ノベル”として制作された。
言葉には(特に日本語には)映像にはない魅力がある。映像のイメージは一方通行だが、小説なら、主人公やヒロインは読み手の好みに百パーセント変化を遂げ、空想力を大いに刺激することができる。
この作品が持つ魅力は、その空想力への刺激だろう。娯楽感溢れるアクションとラブストーリー。社会派ドラマに巧みに組みこまれたSF要素。そして、これらをひとつの物語として紡ぐため、詩が散りばめられている。全編を通じ読むというより体感的で、文字は光と色をたたえ、やがて幻視風景が心に投影されていく。
この作品のタイトルにもある「青いベリル」とはアクアマリンのこと。色とりどりの“青”がストーリー全体に現れ、登場人物のその時の気分や状況を表現する重要な意味を持っているという。こういったミステリアスな仕掛けが作品への没入感を生み出すと、ネットを中心に本好きの間でも話題になっているのだ。気になる方は、アマゾン等のネット書店で10ページほど立ち読みできるようになっているので、ぜひ“幻視ノベル”の世界をのぞいてみてほしい。
地に迷い込み光を見失った二人が探し求めるもの……
それは、自身を愛し、人を愛し、そして自分も愛されることだった――。
二〇〇五年、東京。疎外の連鎖が広がる街で孤独な心が二つ、ひっそりと時を重ねた。伊達義人、二十一歳、特殊能力を持つ姿なき暗殺者。
杉田瞳、二十二歳、一度しか寝ない幸運をもたらす高級娼婦。他者との接点を持たず闇の世界で生きていた二人は、娼婦とその客として出会った。
孤独で空虚な二人は愛情を互いの中に見つけ、心を探し始める。
だが、愛を求めるには男の闇は深すぎた。諜報世界にとって彼の存在は、排除されるべき危険な人物であると同時に、最も手に入れたい道具である。
日米に横たわる政治戦略の中、冷酷な銃弾が交差する。
地に迷い込み光を見失った2人が探し求めるもの。それは、自身を愛し、人を愛し、そして自分も愛されること…。アクションノワールが時を刻み、ラブストーリーが空間を彩る。幻視風景に誘う詩的・映画感覚小説。