暮らしのスペシャリストが選ぶ小説大賞はじまります!

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更新日:2013/8/13

 
 株式会社産業編集センター出版部が主催する「暮らしの小説大賞」の作品募集がいよいよスタートします。小説家志望の人はもちろん、これまで小説とは縁がなかった人にもぜひ応募してほしいと語るのは同社・出版部編集チームの福永恵子さん。今回、ダ・ヴィンチ電子ナビでは、そんな新しく誕生した文学賞についてご紹介。福永さんに賞誕生のきっかけや、実施にあたっての意気込みを聞きました。

自分たちの強みである“ライフスタイル本”の分野から小説を

 産業編集センターでは、いままでも細々と小説を出版し続けてきました。メインは、後援をしていた「ボイルドエッグズ新人賞」の作品。しかし、いろいろな経緯から後援を降りることになって……。それでも、小説の出版はあきらめたくない。こんな思いから「暮らしの小説大賞」の企画は始まりました。

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 「産業編集センターだからこそ出せる小説とは?」と考えたとき、“小説”と“ライフスタイル”という2つのジャンルの橋渡しになるような小説なのではないか、と思い至りました。

 産業編集センターでは一人の編集者が、小説や実用書、イラストエッセイなど複数ジャンルを担当しています。他社ではあまり聞かないこの特長を強みに、新しい視点から小説を作っていけるのではと考えました。

 国内外の暮らしや生活をテーマにしたライフスタイル本は、会社としても手ごたえを感じており、編集者も販売促進も勘所がわかっている自信のあるジャンルです。また、ライフスタイル本は、書店での販売数もいい。

 この分野で“小説”というフィールドを切り拓いていくのが、一番有利なのではないか。普段、小説を読まない方にも親しんでいただける作品を輩出できるのではないか。こうして、“小説”と“ライフスタイル”という軸ができ、おのずとテーマは「衣食住」に決定しました。

 

「小説は難解で崇高」というイメージはいらない

 テーマが決まり、次の課題は選考委員の選出でした。従来の文学賞では、当然“小説”という軸に重きを置くため、選考委員には作家の先生など文芸畑の方が名を連ねています。しかし、私たちはあえてそれ以外の方を選ぶことにしました。

 理由は、小説を書いている人だけでなく、小説とは縁のなかった人の反応も得られるような方々に関わっていただきたいからです。特に小説が身近ではない人には「小説や文芸とは、難解で崇高なもの」というイメージが根強いんですよね。

 そこで、私たちは“ライフスタイル”という軸に重きを置くことにしました。各フィールドで支持を集めている“暮らしのスペシャリスト”を選考委員に迎えることで、より自由度が高く、解放的な印象のある賞にしたいと思ったのです。

 今回、選考委員を務めていただく飯島奈美さんは「食」、谷あきらさんは「衣」と「住」、幅 允孝さんは「本」のスペシャリストです。

 それぞれ小説に対するスタンスが違います。谷さんは普段あんまり小説を読まれないそうです。対して、幅さんは本を読むプロ。選考委員の皆さんが、どんな作品に共感し、「おもしろい」と感じるのか、今からとてもわくわくしています。

 

暮らしに根付いた小説を一緒に作っていきましょう

 出版不況ともいわれる時代に、なぜ小説の賞を作るのかといえば、私たちが小説の力を信じているからにほかなりません。いい意味での娯楽性や、日常から少し意識を離してくれるような力を小説は秘めています。この賞を通して、小説の力をあらためて知ってほしいという願いを持っています。

 小説を読む習慣がない人が読んでもおもしろいと思える作品を探す。「暮らしの小説大賞」ではジャンルもスタイルも限定していません。肩ひじを張らず、自分の解釈で「衣食住」を作品にしてみてください。

 大賞作品は、単行本になります。これまでも、私たちは小説、実用書などの分類を問わず、著者と一緒に丁寧な本作りを心がけてきました。今回も、「暮らしの小説大賞」チームの一員として著者を迎え、じっくり時間をかけて、長く売れるいい本を作っていきたいと思っています。

 いわゆるベストセラーや、一時的にメディアでもてはやされる作品ではなく、読者が「この作品が好きだ」「この作品を読んでよかった」と思えるような「暮らし」に根付いた作品を輩出できる賞にしていきたいですね。

 こうした風変わりな文学賞に、どんな作品を応募していただけるのか、どんな作品が大賞に選ばれるのか、私たち自身も楽しみにしています。

 

選考委員

飯島奈美

飯島奈美(いいじまなみ)

「ありそうでなかった“暮らしの小説”。選考委員に選んでいただいて、嬉しく思います。“何でもない日”の見過ごしてしまいそうな思いや言葉が大切に感じられるような物語を期待しています」

東京生まれ。フードスタイリスト。
CMなど、広告を中心に活動。映画『かもめ食堂』、『そして父になる』(今秋公開予定)、ドラマ『ゴーイングマイホーム』など、映画やドラマのフードスタイリングも手がけるようになる。著書に『LIFEなんでもない日、おめでとう!のごはん。(1巻、2巻、3巻)』(ともに東京糸井重里事務所)、『飯島風』(マガジンハウス)、などがある。最新刊は『LIFE 副菜おかずおかわり!』(東京糸井重里事務所)。

谷あきら(たにあきら)

谷あきら(たにあきら)

「普段あまり小説を読まない僕みたいな人が、読むきっかけとなるような物語に出会いたいです」

インテリアショップ オルネドフォイユ・オーナー。
姉妹店は「ボワズリー」フォトスタジオ「アンスピラシオン」「アーチスタジオ」。海外生活の経験を生かし、店舗内装やスタジオ内装などのデザイン、施工なども行う。1994年渡仏後14年間パリに暮らし、現在は鎌倉に生活拠点を移す。著書に『パリ流谷さんの週末DIY』(六耀社)、『フランスの古い紙』(パイインターナショナル)、『パリの蚤の市』(ギャップジャパン)、『パリのエピスリーと小さなお店』(ピエ・ブックス)がある。
http://www.ornedefeuilles.com/

幅允孝(はばよしたか)

幅允孝(はばよしたか)

「くらしと小説。日々の瑣末で大変なあれこれと、小説という所謂フィクションが、どう結びつくものか?僕もよくわかりません。だけれども、読んで得た情報や、相対化させることのできた感情が、日常のどこかの側面に作用して、初めて本は本たり得るとも思うのです」

BACH(バッハ)代表。ブックディレクター。
人と本がもうすこし上手く出会えるよう、様々な場所で本の提案をしている。新宿伊勢丹本館地下2階「ビューティアポセカリー」や、羽田空港と原宿にある「Tokyo’s Tokyo」などショップでの選書、千里リハビリテーション病院のライブラリー制作など、その活動範囲は本の居場所と共に多岐にわたる。著書に『幅書店の88冊』(マガジンハウス)がある。最近では『本の声を聴けブックディレクター幅允孝の仕事』(著・高瀬毅/文藝春秋)が刊行。
http://www.bach-inc.com
撮影:山下亮一

 

賞の概要

<内容>
生活・暮らしの基本を構成する「衣食住」のどれか一つか、もしくは複数がテーマあるいはモチーフとして含まれた小説であること。

<応募資格>
プロ・アマ問いません。原稿は、未発表の作品に限ります。また、他の文学賞との二重投稿はご遠慮下さい。

<ジャンル>
自由です。

<応募原稿>
400字詰め原稿用紙200~500枚程度。短編の場合は、作品集として相当字数のものでご応募下さい。

<応募方法>
テキスト形式で保存したファイルを「暮らしの小説大賞」ホームページ上の応募フォームよりお送り下さい。(手書き原稿や持ち込みは不可)

<賞>
大賞受賞作は単行本として出版いたします。単行本出版の際は産業編集センター規定の印税が支払われます。

<選考方法>
選考委員と産業編集センター出版部により選考いたします。

<スケジュール>
応募締め切り 2013年12月15日
発表 2014年5月(産業編集センター出版部ホームページ上にて受賞作および詳細を発表)

<ホームページ>
http://www.shc.co.jp/book/kurashi/
 

 

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