もっと自信を持って輝きたい! 世界30カ国で悩める女心に火をつけたエロティックロマンス小説、いよいよ日本上陸!

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公開日:2013/10/4

 2013年春、カナダの女性作家の手による謎めいた秘密の物語が、世界30カ国の女性たちの心をわしづかみにし、堂々ベストセラーとなった。
 その名もずばり『S.E.C.R.E.T.(シークレット)』。
 ゴージャスでロマンティック、もちろんとびっきりセクシーな世界は「カナダ版フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ!」とフランクフルトブックフェアで大きな話題に。この秋、待望の日本語版がいよいよ登場する。

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L・マリー・アデライン●カナダの人気作家でありTVプロデューサー。本作は国際的なベストセラーとなる。

 このところ、ロマンス小説にハマる大人の女性が世界的に増えているという。来夏映画も公開予定のSMファンタジー『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』なども話題になったが、大人がハマるからには「(少々ハードな)エロティック要素」が多めなのも特徴だ。仕事や子育てなど煩雑な毎日に疲れた心に、日常を忘れる刺激的なロマンス小説は、ストレス解消の媚薬のような存在なのかもしれない。

 さて、そんなロマンス小説ファンにうれしいニュースが届いた。来月、すでに世界30カ国の女性たちを夢中にさせてきたカナダ発のベストセラーエロティックロマンス『シークレット』が、いよいよ日本に上陸することになったのだ。

 物語は、生活に疲れきった35歳の未亡人キャシーが、性のファンタジーで自信を回復させ精神を解放しようとする秘密組織〈S.E.C.R.E.T.〉と出会ったことで、人生を変えていくというもの。組織はキャシーに10のステップ〈1服従 2勇気 3信頼 4寛大さ 5大胆さ 6自信 7好奇心 8勇敢さ 9熱気 10選択〉にあわせた性的ファンタジーを提供し、クリアすると金のチャームを与える。次のステップへ進むかどうか、入れ替わり現われるイケメンの誘惑を受けるかどうかはキャシー次第だ。

 物語ではキャシーは果敢にステップに向き合い、ぎこちなかった愛撫が深い愛の交歓へと変わり、「私は魅力的なのだ」と女としての自信を取り戻していくが、その姿は読む者に勇気を与える力を持つ。実際、自分に自信がなくすべてにおいて消極的になるという心理は、状況は違っても多くの女性が共有できるものであり、普段あまりこの手の作品を読まない読者もスムーズに感情移入ができることだろう。

 注目なのは、用意された性的ファンタジーは、顔の好みはもちろん、プレイの内容やシチュエーションなど、あくまでもキャシーが入会時に吐露した潜在的願望に基づいているということ。つまり、セックスも含め100%挑戦者の「好み」のみで作られているわけで、たくましい海の男に荒々しく抱かれたり、大富豪とお姫様気分で愛を交わしたり、古い館で目隠しのままやさしく凌辱されたり…と、とびっきりゴージャスでロマンティックなファンタジーが成立するのだ。大人の女性のお伽噺的設定ではあるものの、まるごと女性好みの甘やかな悦びにたまには思いっきり浸るのも悪くない。あまりに羨ましすぎて、キャシーに嫉妬してしまうかもしれないが。

 実は秘密組織〈S.E.C.R.E.T.〉を運営するのはすべて女たちであり、かつて自らも組織によって解放された過去を持つ者ばかりというのもポイントだ。男との性愛の力は借りるものの、女による女たちの解放をめざすという構造は、絶対に女に無理をさせないという安心感が絶大。過去の文学作品でも「性による精神の解放」という物語構造はあったけれど、女同士だからこその本音が満載で「女性が本来望む素敵な変身」を可能にするのだろう。おそらくキャシーの変身ぶりは、多くの女性の刺激になるのは間違いなく、読者の心の奥の願望にまで危険な火をつけてしまうかもしれない……。

カナダ版/イギリス版カバー

国ごとにデザインは異なるが全体に「大人」なおしゃれ感が漂う表紙。写真はオリジナルのカナダ版(左)とイギリス版(右)。専用Webサイト(英語版)には各国版ギャラリーも。日本版は洗練された女性的なセンスで定評のある名久井直子(デザイン)と網中いづる(イラスト)がタッグを組む。

作家・村山由佳さんからのメッセージ

(『シークレット』帯文より)

 ストーリーの過激さを見て、臆する必要はない。主人公のキャシーは、等身大の私であり貴方だ。
 勇気をふりしぼって新しい扉を開ける彼女とともに、私たちもまた、自由の甘やかさと尊さを味わい、自らが胸に秘めた望みに気づかされてゆくだろう。
 それにしても、この国に「S.E.C.R.E.T.」は存在しないものか……羨ましすぎる!

 

(構成・文=荒井理恵)

シークレット

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11月刊行予定
『シークレット』
L・マリー・アデライン/著 栗原百代/訳
河出書房新社 1470円(予価)

DV夫と死別したキャシーは、35歳にして職場のカフェと家を往復するだけの枯れ女になっていた。もちろんセックスも5年間ご無沙汰。ある日、キャシーは常連の美しい女性客の忘れ物の手帳に、〈S.E.C.R.E.T.〉を通じて複数の男たちと交わった告白が綴られているのを見てしまう。詳しい事情をどうしても知りたくなったキャシーが勇気を出して女性の知人・マチルダに接近すると、秘密組織〈S.E.C.R.E.T.〉の課す10の性的ファンタジーでもっと自分を解放して輝いてみないか、ともちかけられる……。