『子育てハッピーアドバイス』の著者・明橋先生が選ぶ、子どもが思春期をむかえる前に読んでおきたい本

ピックアップ

更新日:2013/11/7

『見逃さないで! 子どもの心のSOS 思春期にがんばってる子』

 育児の悩みや不安を持つ人たちから絶大な支持を得て、累計400万部を超えたベストセラー『子育てハッピーアドバイス』シリーズ。精神科医でスクールカウンセラーでもある著者の明橋大二さんは、毎月、全国各地で開かれる講演会にも東奔西走し、子育て真っ最中の父母たちを元気づけている。そんななか、子どもの成長期でもっとも深刻な問題が起こりやすい思春期の子どもたちとその親に向けて綴った『見逃さないで! 子どもの心のSOS 思春期にがんばってる子』も出版され、売れ続けている。

明橋大二
あけはしだいじ●1959年大阪府生まれ。京都大学医学部を卒業後、公立病院への勤務を経て、現在真生会富山病院心療内科部長。専門は精神病理学、児童思春期精神医療。また小学校スクールカウンセラーや児童相談所嘱託医としても活躍。NPO法人「子どもの権利支援センターぱれっと」での診療のかたわら、年100回以上の講演活動と執筆活動も行なう。

 いじめ、体罰、自殺、児童虐待、不登校、引きこもり、家庭内暴力、少年非行、少年犯罪……。いつの時代も繰り返される子どもの悲しい事件の数々。改善されることのない子どもをとりまく状況。もしも自分の子どもが何か大きな問題を抱え込んだとき、親はどうすればいいのか? 本書では、その解決法をわかりやすく提示。著者が実際にかかわった不登校生の体験談や、いじめ対応マニュアルなど、読んですぐに役立つ内容が充実しているのも特徴だ。「はじめに」に書かれている「今の子どもをめぐる問題の根っこは、ひと言でいうと、自己評価(自己肯定感)の極端な低さです」という明橋さんの言葉に、ハッとさせられる人は多いだろう。

advertisement

周囲から否定され、深く傷ついてきた体験によって、「自分は誰からも必要とされていない」、「自分は、いらない存在だ」と考えるようになると、自殺を考えたり、引きこもったり、反撃に出たりするという。仮にそこまで思い詰めなくても、「自分はなんのために生きているのか?」と、思春期にその意味を自問自答した経験は誰でも一度はあると思う。

ではどうすれば自己評価(自己肯定感)を持つことができるのか?

明橋さんは、甘え(依存)と反抗(自立)の繰り返しが、子どもの心の成長には不可欠だと述べている。しかし目で見てわかる身体の成長と違って、心の成長はすぐにはわからない。その見分け方や具体的な対処の仕方、タブーやNGワードまでアドバイスしているこの本は、小さなお子さんから思春期の子どもを持つすべての親に大きな気づきと勇気を与えてくれるだろう。付録には、「いじめにあって、自殺を考えている君へ」と題したメッセージも収録されているため、今まさにいじめで悩んでいる本人にも手にとってもらいたい。

 今回は、長年子どもの心に寄り添ってきた明橋さんが、思春期の子どもたちとその親にぜひ読んで欲しい5冊を紹介してくれた。