「このマンガがすごい!2014」(宝島社刊)オトコ編 ランクイン! タイムスリップ×ミステリ『僕だけがいない街』第3巻発売たちまち大重版!!
公開日:2013/12/6
近年のミステリマンガの最高峰の一つになるのではないか。『僕だけがいない街』はそんな期待を抱かせる。ミステリに目がない(=評価が厳しい)書店員も推薦しているとおり、とにかく面白い。
時が巻き戻る「再上映(リバイバル)」という現象が起こる青年・悟が直面した2つの悲劇。現代では母が事件に巻き込まれ、18年前には同級生の雛月加代が連続誘拐殺人事件の被害者となっていた。リバイバルによって2つの時を行き来し、彼らの運命を覆すべく奔走する悟。物語が進むにつれ、謎が謎を呼び緊迫感は増すばかりだ。
そしてこの作品の魅力は、ミステリとしての謎解きだけに留まらない。「愛の物語」、それがこの作品の本質だからだ。悟を必死で育て守ってきた母と、家庭に闇を抱え悲しい孤独に耐えていた雛月。悟は彼らへの愛に気付き、そのために事件に挑み、強くなろうとする。そんな悟の姿は、本当に感動的だ。愛のドラマがこの作品を傑作たらしめている。3巻が発売されたばかりだが、次巻が心底待ち遠しい。悟の戦いから決して目が離せない。
文=松井美緒
「再上映」で事件を防ぐ鍵は!?
悟は雛月の死を防ぎ、真犯人をつきとめられるのか!?
随所にちりばめられた“鍵”を読み逃すな!
ミステリマニア書店員も夢中!
怖い、でも読みたい!
ミステリの醍醐味が目一杯味わえる
オリオン書房 所沢店 高橋美里さん
ミステリの醍醐味といえば、先が気になってページをめくる手が止まらなくなることだ。怖い、でも読みたい、主人公はどうなっちゃうの!と、ハラハラする……そんな気持ちがこの作品『僕だけがいない街』で目一杯味わえる。
1巻を読み終えた時、謎をバーン!と提示されて「なんてことだ!早く続きを読ませてくれ!」待て2巻!という状態で首を長くして待つことになり、やっと読むことができて、1巻を上回る衝撃に息をのんだ。
物語のワクワク感も圧倒的ですが、キャラクタたちの感情が本当に豊かに描かれていて、慣れたミステリ読みでも楽しめるとおもう。
ほっとした顔、嬉しそうな顔、少しはにかんだ笑顔……子供たちの表情がとても生き生きとしているので、この顔が恐怖に歪むのかと思うと想像するだけで怖くなり、読んでいて一層ぐらぐらとさせられる。
過去をやり直すことで、現在起きている事件の真相に迫る……その先にある真実が今から気になって仕方ない! そして作品タイトルの意味は、はたして……。
3巻発売おめでとうございます、今からもう4巻(続き)が読みたいです!
底知れぬ奥行きを
感じさせる際立った構成力!
ときわ書房 本店 宇田川拓也さん
いま読み手にとって、これまで発表されたどんな歴史的名作に触れようとも味わえぬ妙味があるとするなら、それは新たに生まれた物語が高い評価を続々と獲得し、永く語られる名作へと輝きを増していく瞬間に立ち会うことだろう。
ケン・グリムウッド『リプレイ』、北村薫『ターン』、西澤保彦『七回死んだ男』といった傑作の流れを汲む『僕だけがいない街』が、よりサスペンスフルで意外性に富んだ展開と緻密で底知れぬ奥行きを感じさせる際立った構成力を備えていることは万人の認めるところだろう。
だがそれ以上に、「なぜ、いま読むべきなのか」の理由を挙げるなら、前述のような“瞬間に立ち会う”ことができる点に尽きる。
さあ読者諸兄よ、ともに目撃者になろうではないか。活字でも、映像でもなく、いまコミックの沃野にとてつもない大樹が育ちつつあるのだから!
『僕だけがいない街』(1巻)
三部けい カドカワCエース 各588円
売れないマンガ家の悟には、時間が巻き戻る「再上映(リバイバル)」という特別な現象がしばしば起きる。母の事件をきっかけに18年前に飛ばされ、当時、同級生の雛月加代が被害者になった連続誘拐殺人事件と向き合うことに。悟は母と雛月の運命を変えられるのか!?
『僕だけがいない街』(2巻)
三部けい カドカワCエース 各588円
母の死をきっかけとした【再上映】で、18年前の過去に飛ばされた悟! かつてない程の過去に飛ばされた先で見たもの、それは…連続誘拐殺人事件で殺された少女・雛月加代の家庭内に潜む闇だった…! ?
『僕だけがいない街』(3巻)
三部けい カドカワCエース 各588円
雛月は消えてしまった。事件の解決に失敗した失意の悟に、再び【再上映】が起こる。2006年現代に戻ってきた悟を待ち受けていたもの、それは…母親殺しの容疑者という現実だった! !