読売新聞×ダ・ヴィンチ ミステリーブックフェア2014 スペシャル記事 湊 かなえ編

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公開日:2014/3/16

今回のフィーチャーは……湊 かなえ

今回は、湊さんをフィーチャーしたスペシャル記事をお送りします! 小説を書き出したきっかけや普段の生活についてお話を聞きました。

主催=ミステリーブックフェア実行委員会 後援=社団法人日本推理作家協会、日本出版販売株式会社、読売新聞社

取材・文=門賀美央子 写真=川口宗道

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作家になって変わったこと

湊かなえ
みなと・かなえ●1973年広島県生まれ。2007年『聖職者』で第29回小説推理新人賞を受賞、同作所収の『告白』が第6回本屋大賞を受賞。 12年『望郷、海の星』で第65回日本推理作家協会賞を受賞。14年春、『白ゆき姫殺人事件』が映画化。ほかの著書に『高校入試』『母性』など。

――どうして作家になろうと思われたのですか?

 家人が寝静まった後の自由な時間になにかしたい。私が小説を書き始めたのは、そんな思いからでした。住んでいる地域には文化教室のようなものもあまりないですし、習い事に行ったら月謝がかかります。習わなくてもできるからと、編み物などの手芸をしていたこともありましたが、材料費が案外バカにならない。主婦としては、自分の趣味にお金を使うのは少々抵抗がありました。

 その点、小説を書くということはパーフェクトな趣味に思えたのです。

 特別な道具を揃えずともすぐにできるし、空いた時間を有効活用できます。しかも、もし何かの賞に出して入選でもしたら、賞金や賞品がもらえる。もうこれしかないと、捕らぬ狸の皮算用をしつつ、夜なべして一生懸命書きました。

 結果、書き上がった作品が小説推理新人賞に選ばれ、作家としてのスタートを切ることになったのです。幸いなことにデビュー作『告白』は多くの読者に読んでいただくことができました。以来、締め切りに追われ、時にはもうやめたいなどと弱音を吐きつつですが、なんとか6年間作家としてやってこられたのはとてもうれしいことです。

――普段は、いつ、どのように執筆をされているのですか?

 今も主婦業をやりながらの創作活動ですので、執筆時間は相変わらず夜中ですが、作家になる前には思いもよらなかったような経験をすることも増えました。

 たとえば、去年は初の取材旅行としてニュージーランドに行ってきました。

 私はもともと体を動かすことが好きで、昔はスキューバ・ダイビングをやったり、山登りを楽しんだりしていたのですが、それを知った雑誌「山と溪谷」の編集者の方が、ニュージーランドの北島にあるトンガリロ国立公園という火山のトレッキング・コースを取材してみませんか、と声をかけてくださったのです。

 時期は2月から3月の頭にかけて。南半球は真夏です。トンガリロ国立公園にある山々は標高こそさほどないものの、2012年に噴火活動があったばかりの活火山であり、荒涼とした雄々しい風景が広がっています。変化に富んだコースを思う存分楽しむことができました。

 ただし、こんな風に体を動かすことができるのはまれなことで、普段はというと家事以外はコタツ机の前に陣取って、ひたすら書く毎日を送っています。ある時など締め切りで切羽詰まって、ずっと同じ姿勢でキーボードを叩き続けていたらそのまま体が固まり、首が画面を見る位置から戻らない状態であわてて接骨院に駆け込んだこともありました。

 ほとんど動かず、休憩時間にはお茶とお菓子を食べ……そんな生活をしていたら当然体重も増えます。それも変化のひとつかも。気を付けたいです!

 今はとにかくできるだけ健康的な生活をするように心がけているのですが、なかなか難しいですね。


今後の記事掲載予定
今野 敏さん:3月23日
お楽しみに!
*雑誌『ダ・ヴィンチ』4月号(3月6日発売)には、4人の作家の座談記事のアナザーバージョンが掲載中です。
「Honya Club」のウェブサイトにも本フェア特集が掲載! ぜひご覧ください。
 
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全国の参加書店で、今注目のミステリー小説を集めたブックフェアを開催! 人気作家のサイン、総額10万円分の図書カードが当たるプレゼントキャンペーンも実施中。今年のフェアラインナップは全29冊。具体的なタイトルやフェアについて、詳しくは、「ミステリーブックフェア2014」フェイスブックや、ウェブサイト「ダ・ヴィンチニュース」、フェア参加店店頭ポスターをご覧ください。