サスペンス&ホラーコミックが満載 マンガボックス

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公開日:2014/4/5

テレビや映画といった大勢の人が関わるメディアとは異なり、作者との距離が近く、限りなく自由な表現が許されていることがマンガの醍醐味。新たに登場したコミックアプリのダークサイド作品に注目してみたい。

禁断のテーマに挑むコミックアプリが登場

 マンガはこれまでエロ、グロ、バイオレンスといった様々なタブーを描いてきた。その都度、過激さは更新され、もはや生半可な表現では納得しなくなってしまった読者も多いことだろう。怖いからこそ見たい。マンガ業界には、そうした読者の要求に応えようとする土壌があり、禁断のテーマを扱った作品が一躍大ヒットする例も少なくない。

 特に近年は、WEBコミックという新たな発表の場ができたことで、より過激でマニアックな作品の裾野が広がっている。中でも注目したいのが、2013年12月からDeNAが提供している「マンガボックス」だ。WEBでもダイジェストと最新話を試し読みできるが、すべてを楽しむにはアプリをダウンロードしてiPhoneとAndroidのスマホやタブレット端末で読むことができる。

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 ファンタジーやSFもあれば、スポーツものや学園ラブコメ、ギャグマンガなどバラエティーも豊かな全43作のラインナップは市販のコミック誌にもひけをとらない充実度。続々と新連載が始まっていて勢いもすごい。これらが無料で楽しめるのだから、自分好みのマンガを探している人は、ぜひチェックしてみてほしい。

 中でも人気なのが、猟奇ホラーやサバイバル・ホラー、裏社会サスペンスなど、タブーに迫る作品だ。スマホでマンガが読めるということは、通勤電車や寝る前のベッドの中でも気軽に読めるということ。何気ない日常に、恐怖やスリルといった非日常のカンフル剤を注入してみてはいかがだろう。

スマホで戦慄する新たなマンガの形

 私たちが普段、手放せないでいるスマホで読む『マンガボックス』は、あたかも画面から非日常を覗きこんでいるような感覚がある。


 中でもこの感覚が如実に味わえるのが『穴殺人』だ。隣の美人の生活を覗き見ることを生き甲斐としていた主人公は、部屋で男性が殺害される場面を目撃。なんと彼女は殺人鬼だったのだ。しかも二人は付き合うことに。闇を覗いていたつもりが、実は闇に覗かれていたとでもいった新感覚ホラーだ。

エロス×タナトス新感覚ホラー

穴殺人
穴殺人

『穴殺人』裸村
5月9日に単行本が発売開始
引きこもりの自殺志願者・黒須は、壁の穴から隣に住む美人の私生活を覗き見ることを生きる希望としていた。しかし、彼女が部屋で男を惨殺する場面を目撃。隣の宮市さんは連続殺人犯だったのだ。美人の殺人鬼と、その秘密を知る男との奇妙な交際がはじまった。


 非日常を覗きこむという感覚では、『天空侵犯』もスリリングだ。あるとき突然、女子高生が異世界に迷い込む。そこは、超高層ビルが吊り橋でつながった天空世界。この逃げ場のない状況で、仮面をつけた殺人鬼が襲ってくるのだ。自分が置かれた状況が何もわからないまま、ただ逃げるしかない。もしくは諦めて転落死……。現代人の心象風景を表したようなサバイバル・コミックだ。

異世界サバイバル・ホラー

天空侵犯
天空侵犯

『天空侵犯』三浦追儺/原作 大羽隆廣/マンガ
5月9日に単行本が発売開始
気づいたとき、高校生の本城ゆりは超高層ビルの屋上にいた。そして目の前で起きた仮面の男による殺人。階段は封鎖され、ビルとビルの間が吊り橋でつながる謎の天空世界に迷い込んだ人々が、次々と惨殺されるか転落死していくなか、決死のサバイバル劇が始まる。


 サバイバルといえば、ゾンビにより壊滅した終末世界を描く『アポカリプスの砦』も目が離せない。元々『月刊少年ライバル』に連載されていた人気作だが、同誌が休刊するため『マンガボックス』に連載を移行。社会から隔離されていたことでゾンビの大量発生を免れた青少年矯正施設を舞台とした決死のパニック・ホラーである。

終末後のゾンビ・パニック

アポカリプスの砦
アポカリプスの砦

『アポカリプスの砦』蔵石ユウ/原作 イナベカズ/マンガ
関東中の不良が集まる青少年矯正施設でゾンビが発生。無実の罪で収監された主人公は、一癖も二癖もある不良少年と共に施設から脱出しようとする。しかし、街には大量のゾンビが溢れ、これまで少年たちを閉じ込めていた「塀」が、生き延びるための「砦」と化す。
なお単行本は6巻まで講談社より発売中。


 2月からは新宿歌舞伎町で診療所を営む医者・伊達戌亥を描いた『新宿D&D』がスタート。町医者というと、人情ものといったイメージが強いが、裏社会のメッカである新宿歌舞伎町が舞台なだけに、ドラッグによる自殺に見せかけた殺人など、社会の闇に迫るサイコ・サスペンスとなっている。

裏社会サイコ・サスペンス

新宿D×D
新宿D×D

『新宿D×D』安童夕馬/原作 彭傑/マンガ 八坂考訓/構成
麻薬中毒と思われる女性が飛び降り自殺をした。現場に居合わせたのが、新宿歌舞伎町で診療所を営む伊達戌亥だ。女刑事が診療所を訪れたところ、伊達は死亡した女性の注射痕から自殺ではなく殺人と推理。不治の病に冒された街を二人は救うことができるだろうか。


ダークサイドを描くその他の人気作

ビリオンドッグズ

高校生ピカレスクロマン

『ビリオンドッグズ』

金城宗幸/原作 芹沢直樹/マンガ
5月9日に単行本が発売開始

全国一の学力を誇る高校の生徒会長であり、市長を父に持つエリートの水沼一縷が副会長の火野叫助に刺された。実はこの騒動は狂言。汚職政治家の父が溜め込んだ30億円を強奪する計画の手始めだった。コインの裏表の関係にある悪友コンビを描くピカレスクロマン。

GREEN WORLDZ

近未来SFサバイバル

『GREEN WORLDZ』

大沢祐輔
5月9日に単行本が発売開始

地球温暖化が進む20XX年、地下鉄に閉じ込められたアキラが外に脱出すると、そこは急激に進化した植物が地上を覆い尽くす緑の世界に一変していた。さらには、巨大化した新人類や巨大昆虫が跋扈し、文明は崩壊寸前……。アキラの決死のサバイバルが始まる。

特区八犬士

伝奇小説×近未来SF

『特区八犬士』

綾峰欄人/原作 栗元健太郎、咲/マンガ
5月9日に単行本が発売開始

街が巨大な穴に消え、「死穢」と呼ばれる化物が穴から這い出すようになった近未来、政府は街を壁で囲い封鎖。主人公は平凡な高校生ながら『南総里見八犬伝』の登場人物「犬塚信乃」と同姓同名。死穢を退治する謎の男から「孝の犬士」として戦うことを要請される。

マンガボックス

300万DL突破!

毎週水曜から毎日3~5作品を更新し、1週間で全作品が更新。基本的には最新号から過去12号分が無料で読むことができ、それ以前の号については順次、単行本化される予定。パソコンでも最新話とダイジェスト版を読むことができる。