『ぜんぶ女子校のせいだ!』話題沸騰のこじらせ妄想女子マンガ家・ヤマダ インタビュー

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公開日:2014/7/5

2011年、個人サイト「発狂するエラー」にて掲載された高校生たちのじれったい恋と友情模様を描いたマンガは「こんな青春送りたかった!」と連載直後から話題を集め、翌年には単行本化。だが、またたく間に人気マンガ家となった著者・ヤマダ氏の高校時代は、胸きゅんとは無縁のこじらせ女子校生活だった――。

 

女子校の幻想を打ち砕く ノリと妄想の大暴走

ヤマダイラスト

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ヤマダ
やまだ●埼玉県生まれ。2011年に立ち上げたWEBサイト「発狂するエラー」に掲載されたマンガ『鈴木さん』が、連載直後から口コミで話題に。WEB上でスカウトされ、翌年にはスクウェア・エニックスより単行本化される。現在も同サイトにて不定期連載中。14年より月刊『モーニング・ツー』で『ブルーハイジ』を連載中。本書は初のコミックエッセイとなる。

 女子校。その響きは甘美で、ときに耽美でさえある。だが近年、Twitterなどで暴露される“本当の女子校”は、深窓の令嬢たちからはほど遠い、男子以上にバカなノリを暴走させたこじらせの園だ。そして今、一人の“こじらせ妄想女子”マンガ家が立ち上がった―――。

「ていうか、こじれてません。そのキャッチフレーズは担当さんが勝手につけたんですよ。私はいたって普通なのに。教室でスルメ焼いて火事を起こしかけたり、中学時代のスクール水着でプール行ったりしましたけど、そんなのよくあることじゃないですか。もっとおかしな友達はたくさんいましたし。私なんて序の口ですよ」

 そう『ぜんぶ女子校のせいだ!』の著者ヤマダさんは語る。本書は、期せずして女子校に進学することになった主人公ヤマダが、相棒のハマナとアサミとともに日常的に妄想とコントを繰り広げる女子校コミックエッセイだ。

「女子校をテーマにと言われたときは、そんなの描いてどうすんだって思ったんですけどね。最初は4コマ形式で描いていたので、ネタ数をそろえるのも大変でした。でも100ページくらい描いたところで、担当さんに『もっと暴走したら? 妄想や自虐を全開にしたほうがヤマダさんはおもしろいよ』と言われて。助言どおり好き勝手描いてみたら、結果として私の黒歴史を大公開するはめになっちゃいました……」

 梅雨時のロッカーにお菓子を放置し、ゴキブリを量産。スカートはめくれても押さえない、どころか「大阪のおばちゃんでも買うのに一考する」柄のパンツをあえて仕込んで毅然とさらす。せっかく他校男子とデートしても、乙女ゲームのやりすぎでありもしない彼の暗黒面を探りまくりドン引きされる。「ほんといかれてますよね(笑)。ひどすぎてかわいそう」と著者を目の前に担当編集者が言い放つほど自身のエピソードが満載だ。

「どれもこれも全部実話です。もちろん、多少は誇張してますけど。友人のハマナもアサミも実在してます。ハマナは入学当初はおしとやかなキャラで通していたんですが、いつのまにか女子校の人になっちゃってましたね。なんでしょうね、みんなゆるやかに少しずつ汚染されていくというか、一部のリア充女子以外は出会いもないし、女子校だからと言ってべつにモテないし、男子の目がないぶん恥じらいが消えて、ノリが暴走してはっちゃけちゃうのかもしれません。女子校ってほんと、おそろしい加速装置なんですよ」

 

赤裸々な本音が炸裂!

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いろいろ正直すぎる真の主人公「内なるヤマダ」。その表情は常にインパクト大。元ネタは高校時代につくったキャラ「おにぎり大将」だそう。

妄想世界で一人七変化

妄想世界で一人七変化
学校の調理実習中、「結婚」の一言から展開されていく誇大妄想。その多彩な描きわけと驚愕のラストに注目だ。
※著者注:本編ではヤマダがものすごく妄想し、その際に大量の美化されたビューティーヤマダが出現します。また、ここで紹介している「誰だコイツ」となったものも大体ヤマダです。

迷走するのがデフォルト

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モテたい、ちやほやされたい、輝きたい。欲望渦巻くヤマダは常に迷走中。音楽がからむとより危険。