発売3カ月で25万部突破! 男女ともハマる人気のその理由を大解剖!! 人外×少女 大ヒットファンタジー 『魔法使いの嫁 第1巻』

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更新日:2014/10/30

魔法使いの嫁 第一巻

この夏、いちばんの人気アミューズメントスポットと言えば、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの「ウィザ―ディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」だ。その一方で、ブーム再燃のハリポタをもしのぐと噂されるファンタジー漫画『魔法使いの嫁 第一巻』(ヤマザキコレ著/マッグガーデン刊/コミックブレイド連載中)も大ブレーク中だ。その人気のヒミツに迫るべく、気になる漫画の中身を大解剖してみよう。

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ファンタジー+ラブロマンス=『魔法使いの嫁』

人外の魔法使い・エリアス。顔立ちは動物の頭蓋骨とミステリアスだが、その言動や振る舞いは知性と理性を兼ね備えた英国紳士である。

「もしも魔法が使えたら……」。不可能を可能にしてしまうそんなファンタジーへの憧れは、洋の東西や老若男女を問わず、だれもが心の片隅に持っているもの。英国の人知れぬ場所でひっそりと暮らす魔法使いエリアス・エインズワースの元で、日本人の少女・羽鳥チセ(15歳)が魔法使いの弟子、そして将来のお嫁さん候補として様々なファンタジー体験を積み重ねる『魔法使いの嫁』は、そんな人々の好奇心をワクワクとさせるファンタジー要素がぎっしりと詰まった作品だ。
そしてもうひとつ。魔法使いの間でも一目置かれるほどの力を持つエリアスはその風貌からも明白なように、「人外」(人間以外の何者か)である。その人外と、まだあどけなさの残る人間の少女チセはいったいどのようにして結ばれていくのか? ファンタジー+ラブロマンスの二つの軸で描かれる本作はいま、まさにハリー・ポッターのように性別や年代を越えて、幅広い読者層からの支持を得ている注目作なのだ。

魅力1. 主人公・羽鳥チセの光と影

幼い頃に母を亡くし父は失踪。普通の人には視えないものが視えてしまう為、親類中をたらいまわしにされた挙句、自分の居場所を失った羽鳥チセ。両親との思い出がなく、他者と違う世界を認識する自己に深く悩み、心に深い傷を負う。
誰からも必要とされない絶望感から人買いに自ら望んで攫われ、魔術師たちが集まる特別な競売場に出向いていく。どのような相手に買われるかも解らない、そんなチセの前に救世主のごとく現れたのが、人外の魔法使い・エリアスだった。
彼が500万ポンドもの大金でチセを買った理由――……それは魔法世界でとても貴重で類まれな資質をチセが持っていたからだった。エリアスはその力を持つチセをこう呼んだ。「夜の愛し仔(スレイ・ベガ)」──と。
果たしてチセの見せる魔力、そして「夜の愛し仔(スレイ・ベガ)」としての避けられない宿命とはどんなものなのだろうか……?

魅力2. 謎の英国紳士、エリアスの本当の目的とは?

高名な人外の魔法使い・エリアス・エインズワース。チセの資質に興味を持ち、自らの棲む世界に招く。時に魔法で人間の顔に偽装することもあるお茶目さもエリアスの魅力だ。

何もかもに絶望していたチセを「家族」として招き入れたエリアス。今まで出会った血の繋がった人たちよりも優しい、他人である彼の振る舞いに戸惑いながらも暖かさを感じるチセは徐々に心を寄せていく。そしてエリアスはチセという存在が、「弟子」であると同時に将来の「嫁」であることも正直に告げる。
これまで魔法使いとして、悠久の時を密やかに、そしてひとりで過ごしてきたと思われるエリアスにとってチセは、初めての弟子、そして嫁である。そんなエリアスのチセに対する態度は、本当の父親であるかのように親身で、そして時に恋人のように優しい。
一方でエリアスの優しさに包まれ、チセは自らの「夜の愛し仔(スレイ・ベガ)」としての本能を徐々に開花させていくのだが……。
頭部を動物の頭蓋骨で飾るミステリアスな英国紳士、エリアスがチセを迎え入れた本当の目的はいったい何なのか? その謎はおそらく、本作の最後まで開くことのないパンドラの箱なのだろう。

魅力3. 本作を多彩に飾る「人外」ワールド

チセを自分たちの国へ誘い込もうと眩惑する空気の妖精エアリエル。自然と命の循環をチセに教える精霊・ドラゴン。

「人外」とは「人間ではない何者か」であり、本作のファンタジー・シーンには欠かせない存在たちである。エリアスのように普通の人でも認識できる「人外」が登場する一方で、普通の人間にはその姿が見えない、多くのインビジブルな「人外」たちも登場する。
チセが自らの資質に気づき始めるのも、こうした見えざる「人外」のすべてを自然と知覚しコミュニケーションする中で、自らの有する能力について様々に教えられていくからだった。
そんな自然界に存在する空気の妖精エアリエルをはじめとする人外たちは、魔法使いが魔法を使うために必要不可欠な存在であると同時に、時に惑わされもするやっかいな相手である。
またドラゴンや精霊たちは、自然や命の循環という営みをチセに教えてくれる教師的な存在でもある。こうした魔法使いと人外との駆け引きや触れ合いが、本作のファンタジー要素をさらに奥深いものへと昇華させているのだ。

魅力4. 英国を舞台にしたリアル・ファンタジー

試しに使った魔法で早くもただならぬ能力の片鱗を発揮して見せたチセ。
ロンドンの街に人知れず佇む魔法道具屋を営む魔法機構(マギウス・クラフト)アンジェリカは、魔法使いであり、育児中の母でもある。

本作のメイン舞台は現代の英国。ハリー・ポッターを生んだこの国は古くから、交霊術や心霊研究など、見えざる世界とコンタクトをとってきたミステリアスな歴史のある国だ。
ハリー・ポッターで繰り広げられたファンタジーが主に魔法の国という限定された境界内であったのに対し、本作で魔法使いたちが活躍する場所はエリアを問わない。なぜなら魔法使いは普通の人々や時に動物たちという魔法世界以外からの要請にも応じながら、その使命を果たしていくからだ。
まるでごく一部の先住民族に未だ現存するシャーマン(呪術師)のごとく、エリアスやチセはいつ私たちの前に現れても不思議はない身近な存在であり、それがこのファンタジー物語にある種のリアリティ(現実味)を与えている。
さらに本作にはエリアスやチセの他にも、妖精や精霊など自己に依存しない魔力を借りて「奇跡」を起こす様々な魔法使いが登場する一方で、自らの魔力を持って理に干渉する「魔術師」が登場し、お互いの利害関係によって協力するシーンや衝突するシーンも登場する。そんな「魔法と魔術」の関係性も見どころだ。

魅力5. 「異類婚姻幻想譚」の行方

人外魔法使いの弟子にして嫁となる身であることをエリアスから告げられるチセ。

これまで本作のファンタジー要素について見てきた。最後に本作の隠し味ともいえる「エリアスとチセの愛の行方」について触れてみよう。前述の通り、チセはエリアスの弟子にして将来の「嫁」候補である。
エリアスからの告白に戸惑いながらも、自らの宿命を受け入れる準備を始めるチセ。家族としてのエリアスへの愛は、すでに芽生え始めたチセだが、まだ15歳であり、ラブロマンスの花が開くにはまだまだ幼い。加えてエリアスは人外の魔法使いである。
「異類婚姻幻想譚」というキャッチフレーズを持つ本作だが、「人外×少女」である二人はこの先、いったいどんなラブストーリーを展開させてくれるのだろうか? まったく想像すらできないその愛の行方は、まさに今後のお楽しみ、ということになるのだろう。

作家紹介 Who is ヤマザキコレ?

奇想天外な着想でファンタジー漫画の歴史に新たな1ページを開こうとしている『魔法使いの嫁』。著者ヤマザキコレさんにいくつかの素朴なギモンを問いかけてみました。

──著者ヤマザキコレさんとファンタジーの出会い

物心ついた頃には水木しげる先生の『妖怪大図鑑』などを読んでいました。ファンタジーな世界に完全に入り込む決定打になったのは、児童書ブームがきていた小学校~中学校の時期だと思います。ハリー・ポッターやダレン・シャン、ネシャン・サーガやレイチェルシリーズ、神々の島マムダ、地獄堂霊界通信など、いろんな作品を読みました。

──北海道在住とのことですが創作活動とのつながりは?

私の故郷は自転車で走ればすぐ原生林と畑と田んぼと川という自然に満ち溢れた田舎で、すごくホッとできます。この安心感が、個人的には重要なところで、風の流れや葉擦れの音、土や水が近くにあることでとても創作活動がはかどります。自然に関する資料が欲しいときはちょっと外に出ればすぐ見つかりますし、自転車でフラフラ走り回れるところとかも好きです。東京に1年住んでみて、とても面白くて便利だったのですが、やはり故郷がいいですね。

──本作の舞台は英国ですが、やはりハリー・ポッターの影響が?

ハリー・ポッターの影響はすさまじいものがあります。子供の頃から元ネタを調べていくうち、どんどんブリテンやアイルランドの伝承に惹かれていきました。なので、いつかあちらのほうのネタを使った漫画を描きたい!と思っていたので、『魔法使いの嫁』の連載は渡りに船というか、幸運でした。時間が許せば一ヶ月ぐらいイギリスをあちこち歩きたいです。

──本作は魔法と自然界が密接な関係を持っています。こうした考え方はヤマザキコレさん独自の世界観なのでしょうか?

様々な国の伝承やファンタジーを読み進めていった結果、ごちゃまぜになったのが本作の魔法と魔術です。そもそもの、魔法を扱う「魔女」は産婆さんであり、お医者であり、博物学者でもありました。天気の読み方や、ハーブや薬草の知識があったからです。こういう知識は、その土地に長いこと住んで、受け継がれてきたものを学ぶしかないのだと思います。なので本作の魔法使いは、みんな地域密着型なんですね。

──最後に様々な「人外」を主人公にした理由と、エリアスのあのキャラはどこから着想を得たのか教えてください。

単純に伝承の生き物たちが好きだからでしょうか。人間は色々なものを解き明かして、夜道に明かりをつけてまわっていますが、それでも不可思議なものは自然と残ると思っています。目を凝らして少し視線をずらせば、まだ彼らがどこかにいるんだと思えるような漫画が描きたかったのかもしれません。
エリアスは頭の中でぽんと生まれたキャラクターなので、私にもよくわからなかったりします。ですが、明らかに見た目が人間ではない、というのは、わかりやすいなと思っています。

9月10日『魔法使いの嫁 第二巻』発売!限定版最新情報!

待望の第二巻の発売日がいよいよ9月10日と迫ってきた。第二巻はなんと「小冊子付き限定版」(税込890円)と、通常版(税込617円)が同時発売される。
気になる小冊子の中身だが、すでに「2巻収録の8話と9話の間にあった幕間。エリアスとチセ、夫婦の物語を本編よりラブ多め、ここでしか読めない描き下ろしマンガの形でお届け致します! 」と告知されている。さらにヤマザキコレさんによれば、以下のような内容になるとのことだ。
「普段、チセは誰かに寄りかかるほうではないですし、エリアスも素なわけではないので、もう少し素になったふたりがもう少し近寄る、というような話です。どの程度のラブラブかは、私のスイッチの入り具合にかかっています」。
小冊子付き限定版はまだ予約を受け付けている書店もあるとのことなので、各書店でお確かめいただきたい。
さて、第二巻で明かされる「夜の愛し仔(スレイ・ベガ)」としての力に目覚め始めたチセの秘められた宿命とは? そして人外の魔法使い・エリアスとの愛の行方は!?

『魔法使いの嫁 第一巻』立ち読み

 

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『魔法使いの嫁 第一巻』マッグガーデン刊 ブレイドコミックス

ヤマザキコレ(著)定価617円(税込)

羽鳥チセ15歳。身寄りもなく、生きる希望も術も持たぬ彼女を金で買ったのはヒト為らざる魔法使いだった……。
気鋭・ヤマザキコレが描く異類婚姻幻想譚が堂々、開幕!

ヤマザキコレ
北海道出身。中学生の時に漫画コンクールで入賞し漫画家を目指す。高校卒業後、社会人を経てフリーターをしつつ同人誌に寄稿。その同人誌漫画をインターネット上の投稿サイトにアップしたところ編集者の目に留まり『ふたりの恋愛書架』(まんがタイムきららフォワード刊)で漫画家デビュー。