『バカテス』『ココロコ』『犬ハサ』…人気ライトノベルに続く新作はヒロインの “方言萌え”に身悶える!

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更新日:2015/2/9

 アニメ、マンガ、ラノベ、ボカロ。いま、エンターテインメント業界は、新人クリエイターたちの進出ラッシュが熱い! 次々に新規レーベルが誕生し、さらには『All You Need Is Kill』 のようにハリウッド映画に進出したりと、ライトノベル業界も例外ではない。昨今ではWEB小説投稿サイト「小説家になろう」から文庫化を果たす作品も珍しくなく、ラノベ作家を目指す人々にとって、デビューのチャンスが広がっている。読者にとっても、どの出版社から次世代の人気作家が登場するのか、その動向が気になるところだろう。

 数ある新人賞の中でも注目したいのが『えんため大賞』(エンターブレイン)。これまで『バカとテストと召喚獣』、『ココロコネクト』、『犬とハサミは使いよう』、『龍ヶ嬢七々々の埋蔵金』など、新人作家のデビュー作がいっきに支持され人気作品へと成長、そのままアニメ化された事例が多いことで知られる実績ある新人賞なのだ。

 その『えんため大賞』は第17回から内容を大幅にリニューアル。これまでのガールズコミック部門が、ガールズコミック部門BLコミック部門に枝分かれし、さらにゲーム実況部門ゲームエッセイ部門ボーカロイド楽曲部門コミカライズ部門が新たに創設された。従来のライトノベル ファミ通文庫部門(小説部門から名称変更)、ライトノベル ビーズログ文庫部門(ガールズノベルズ部門から名称変更)とあわせて、合計8つの部門が集まりパワーアップした。小説家、マンガ家以外にも門戸を広げ、次世代を牽引するメディアクリエイターたちの作品投稿を募集している。

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 人気作品を次々と世に生み出した『えんため大賞』だが、この度、新たにファミ通文庫よりデビューした期待の3作品をダ・ヴィンチ専属ライターが突撃レビュー!ラノベ新人作家・志田用太朗さんに、いまだから言える話も伺った。

●えんため大賞小説部門
<優秀賞>『ハイスクール・ローレライ 運命のひと耳惚れ』著:志田用太朗 イラスト:三月

●彼女を好きになった理由は声でした

(あらすじ)生まれつき耳が良いため音フェチになってしまった田野音好は、高校入学の日、理想の声を持つ人物と出会う。その天使の美声に”ひと耳惚れ”した音好は、その声の持ち主だ思われる彼女を追いかけて朗読部へと入部する。しかし、そこで待っていたのはやたらイケメンな同級生と、毒舌ロリータ、おっとり系美人、マッチョにヤンキーと変人ぞろいの先輩たち。そして平穏な青春を過ごしたい音好の願いとは裏腹に、次から次へとトラブルが舞い込むことになる。耳の良さを活かして騒動の解決に奔走する超聴覚系スクールコメディ。

▲音好と”美声の君”との運命的な出会い

●音や声に萌える新感覚な読感。スウィートボイスで、いつの間にか耳が幸せ!

(読みどころはココ!)登場人物たちの軽快なセリフの掛け合いが、彼らの個性溢れる声が、まさに耳元で聞こえてくるかのように賑やかで楽しい。もちろん小説という文字媒体では、音や声は伝わりようがないのだが、きっとこんな声なんだろうな……と頭のなかで想像が膨らむ。そうやって読んでいると、女の子たちのお喋りの声や制服の衣ずれの音だけで興奮してしまう主人公・音好のこだわりと音フェチぶりを面白おかしく笑いながらも、非常に共感できる!

 そしてこの作品の一番の魅力は何と言ってもヒロインの方言萌えだ。標準語のイントネーションとはちがう方言を喋るヒロインの素朴で気取らない無垢な可愛さに身悶える。眼で文字を読んでいるはずなのにいつの間にか”耳が幸せ”な気分になってしまうのだ! この作品を読めば誰だって”声萌え”に目覚めてしまうことだろう!

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