杏「ベラになりきるためのビジュアルの力」
更新日:2013/12/19
「生首だけでしゃべったり、鉄橋からぶら下がったり。
自分もあんなことをやるのかと思っていましたが、
ふたを開ければアニメよりかなり人間らしい
妖怪人間だったので、安心しました」
と笑う。ベラという役の魅力は、動ける幅が大きいことなのだという。
「ベム役の亀梨くんともよく話すんですが、
ベラは二枚目にもなれるし、
振り切っておかしいことをやっても面白い。
何を言わせてもキャラクターとして成立するんです」
その分、役に入るためにはそれなりの気合が必要なのだとか。
「映画の撮影からアフレコまでは
1カ月ほど間が空いたんです。
そこでなかなかベラに戻れなくて、
ペースをつかむのに苦労しました。
一旦つかめたら気持ちを途切れさせるのが怖いから、
水を1リットルぐらい飲みながら
3時間ほどぶっ通しで声を入れました」
映画のクランクインよりも、むしろアフレコのときにベラになりきるのに苦労したそう。その理由は……。
「アフレコは声を入れる作業だから、
スッピンにジャージ姿で挑みました。
でも、少しでも素の自分の照れが入るとダメなんです。
何度も話し合って妥協せずつくった
ベラの衣装を身にまとうと、
ふっと自然に入れるんですけどね。
改めてビジュアルの力を感じました」
ただ、最近は実生活でふとベラになってしまう瞬間があるのだという。
「半年ほど前から犬を飼い始めたんですが、
叱るときにちょっと出てしまうんです、ベラの口調が。
『何してんだい!』なんて言いながら
犬の世話をしています(笑)」
(取材・文=釣木文恵 撮影=冨永智子)
あん●1986年、東京都生まれ。15歳からファッション誌でモデルとして活動を始め、フランスやイタリアなど海外のコレクションにも出演。2007年、ドラマ『天国と地獄』で女優デビュー。以降、映画、ドラマなどで幅広く活躍。出演作『プラチナデータ』『劇場版 タイムスクープハンター』が来年公開予定。13年後期のNHK連続テレビ小説『ごちそうさん』のヒロインに決定。
『巴里ひとりある記』
昭和を代表する女優・高峰秀子の初エッセイ。人気絶頂の27歳で突然家を売って日本を離れ、6カ月を過ごしたパリでの日々を飾らない言葉で綴る。パリ祭の喧騒や中原淳一らと鑑賞したオペラ、レストランのギャルソン観察などの描写の端々に人々の息遣いが感じられる。巻末には養女・斎藤明美氏による解説も。
『映画 妖怪人間ベム』
監督/狩山俊輔 脚本/西田征史 出演/亀梨和也、杏、鈴木 福、柄本 明、北村一輝、中村橋之助、筒井道隆、観月ありさ 12月15日(土)より全国東宝系公開
●人間になれなかった『妖怪人間』ベム・ベラ・ベロがたどりついた街では連続怪事件が発生。現場には巨大な爪跡が残されていた。事件を追うベムは倒したはずの『名前の無い男』に遭遇する。伝説のアニメを実写化したドラマが熱い支持を得て映画化。
(c) ADK/2012「映画 妖怪人間ベム」製作委員会