長谷川博己「それぞれの経験値が深みとなり、スクリーンに現れています」
更新日:2013/12/19
「試写を観た途端、あふれてきたのは
“ついに映画化まで来たんだ”という、
感動以上の気持ちでした。
つくり手の持てる力をすべて注いできた
ドラマ作品からの集大成がやっと完成したんだなって」
けれど、それはけっして延長線上ではない。「ドラマ終了後から得てきたそれぞれの“経験値”が加わっていた」と、鈴木先生の顔になり、うれしそうに語る長谷川さん。
「特に生徒役の子たちには成長を感じました。
映画化はないと言われていたので、
この1年、それぞれが別の場所で気持ちを切り替え、
新たな役を演じていたんですよね。
それを全部経験値にし、戻ってきたのではなく、
挑みに来ていた。
僕自身も、スクリーンの中の自分を
“前よりしっかりしてきたな”と観ていました」
さまざまな舞台で、みずからの経験値を次々と上げている長谷川さんだが、今回、挙げてくれた1冊『カオスの神、園子温』の、園監督との仕事もそのひとつ。みずから監督に交渉し、出演した映画『地獄でなぜ悪い』は、3月に公開予定だ。
「どんどん自分の内側に
問いかけていくような芝居がしてみたかった。
園監督作品は、それができる場所だと思ったんです。
この本は撮影現場での体験と
照らしながら読めたことからも、
まるで奇術師のように謎の多い監督の実像に
近づけたような気がしました」
(取材・文=河村道子 写真=山口宏之)
はせがわ・ひろき●1977年、東京都生まれ。『BENT』で初舞台を踏み、蜷川幸雄演出『カリギュラ』など多数の舞台に出演。ドラマ『セカンド・バージン』『家政婦のミタ』などで話題に。NHK大河ドラマ『八重の桜』に八重の最初の夫・川崎尚之助役で出演中。園子温監督作品、映画『地獄でなぜ悪い』が公開待機中。
ヘアメイク=横山雷志郎 スタイリスト=中村 剛 衣装協力=ニット 6万8250円(MARNI/マルニジャパン TEL03-6416-1024)
『カオスの神、園子温』
現代日本の家族、機能不全の人間関係……園子温の映画を考えることで、時代の側面が見えてくる――ヴェネチア、トリノ映画祭で絶賛したイタリア評論家たちによる批評の邦訳書。デビュー作から最新作『希望の国』までのレビュー、本人へのインタビューとさまざまな角度から、世界が見る鬼才と日本を照射する。
映画『鈴木先生』
原作/『鈴木先生』武富健治(双葉社『漫画アクション』連載) 監督/河合勇人 脚本/古沢良太 出演/長谷川博己、臼田あさ美、土屋太鳳、風間俊介、田畑智子、他 共同配給/角川書店、テレビ東京 全国ロードショー公開中
●鈴木学級の女生徒・小川蘇美が人質にとられるという、緋桜山中学史上最悪の事件が発生! 鈴木先生は、生徒たちはどう立ち向かうのか?
(c) 2013映画「鈴木先生」製作委員会