宮﨑あおい「年を経て再読して気づいた瀬尾まいこ作品の温かな魅力」

あの人と本の話 and more

更新日:2014/5/2

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある1冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、映画『舟を編む』で、主人公の馬締光也を支え、見守るヒロイン・林香具矢を演じる宮﨑あおいさん。偶然、再会したある一1冊の本から、つながっていったものとは?

「最近、断捨離をしてまして」という宮﨑さんが、本棚整理の途中で再会したのは、瀬尾まいこのデビュー作『卵の緒』。買った直後に読んだときよりも、今回の再読のほうが心に沁みるものが多かったという。

「自分がこの年齢になったからということも大きいと思うのですが、家族のつながりや、人と人との関係性をとてもあたたかく描いている、すごく素敵な本だなあって」

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 そこから他の瀬尾作品も買い集め、今回、本誌で紹介してくれた『あと少し、もう少し』に出会ったという。

「瀬尾さんの『幸福な食卓』はもともと大好きで、繰り返し読んでいたんです。『あと少し、もう少し』は買った数日後に、偶然にも編集の方が贈ってくださって。2冊になっちゃったので、自分で買ったほうを、現場で瀬尾さんの作品を読んだことがないという方にプレゼントしました」

 “一区ごとに泣いています”という贈った方からの感想が、「ほんとにうれしくて」とニンマリ、本好きならではの喜びに浸る。

「こうして好きな本を通じて、輪がつながったり、広がったりするのは、すごく楽しい」

 2010年の『天地明察』、そして2012年の『舟を編む』と、本屋大賞受賞作の映画化作品で次々とヒロインを演じる宮﨑さん。一読者として、その心境は?

「本は大好きなので、多くの方に愛され、選ばれた作品に自分が関われるのは、本当にありがたいことですし、うれしいことだと思います」

(取材・文=河村道子 写真=鈴木慶子)
 

宮﨑あおい

みやざき・あおい●1985年、東京都出身。2001年、映画『EUREKA(ユリイカ)』で脚光を浴び、続く初主演作『害虫』では国内外の賞を数々受賞。08年のNHK大河ドラマ『篤姫』では世代を超えた人気を博す。近年の出演作に、映画『ツレがうつになりまして。』『天地明察』『きいろいゾウ』など。4月20日からは映画『ペタル ダンス』が公開。
ヘアメイク=中野明海(エアーノーツ) スタイリング=藤井牧子
衣装協力=シャツ2万9400円、ストール2万2050円(ともにGOLDEN GOOSE)、パンツ3万1500円(superfine)、カーディガン7万9800円(avant toi)、チョーカー9450円(SOGOLI)(いずれもB`2nd roit TEL03-3770-2922)、リング1万2600円(MATINA AMANITA H3O Fashion Bureau TEL03-6438-9710)

 

紙『あと少し、もう少し』

瀬尾まいこ 新潮社 1575円

陸上部部長・桝井は学校挙げての一大行事、駅伝大会のメンバー集めに奔走していた。寄せ集めの6人、顧問は陸上ド素人の教師という最悪のスタート。でも、最後の駅伝、桝井はなんとしても勝ちたかった─。時に牽制し、衝突し、わかり合おうと努力する6人、中学生特有の感情をリアルに描いた傑作青春小説。

※宮﨑あおいさんの本にまつわる詳しいエピソードは
ダ・ヴィンチ5月号の巻頭記事『あの人と本の話』を要チェック!

 

映画『舟を編む』

原作/『舟を編む』三浦しをん(光文社) 監督/石井裕也 出演/松田龍平、宮﨑あおい、オダギリジョー、黒木華、小林薫、加藤剛ほか 配給/松竹、アスミック・エース 4月13日(土)より全国ロードショー 
●不器用だけど、何事にもマジメに頑張る馬締光也を中心に、言葉の魅力にとりつかれた人々が「大渡海」という新しい辞書作りに挑む。年月を超えて愛を紡ぐ感動エンターテインメント。2012年本屋大賞受賞作の映画化。
(c) 2013「舟を編む」製作委員会