三宅裕司「何をしてても、考えが舞台の方に向かっちゃう。ホント、いやになりますよ(笑)」

あの人と本の話 and more

更新日:2014/5/2

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある1冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。6月より「熱海五郎一座」の舞台『天使はなぜ村に行ったのか』を上演する三宅裕司さん。常に“笑い”のことを考えているという三宅さんに、そのこだわりについてお話をうかがった。

 本は読むほうですか? という質問に、三宅さんは「好きですよ」と即答した。ただ、「読むと言っても普通の人とちょっと意味あいが違うかもしれませんけど……」とつけ加える。

 演劇人である三宅さんは、年に2〜3作品の舞台を上演する。そのほとんどで演出も兼任しているため、もっぱら舞台の資料用として読むことが多いのだそうだ。

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「だから、純粋に小説を読むということが
少ないんですよね。
公演が終って少し時間ができた時に読むぐらいで。
それに、普段は推理小説を好んで読みますけど、
それもしばらくすると、
『このトリック、芝居でも使えそうだな』
って考えちゃう。
ホント、いやんなっちゃいますよ(笑)」

 三宅さん率いる劇団SET(スーパー・エキセントリック・シアター)ではミュージカル・アクション・コメディをコンセプトに、毎回公演ごとに大きなテーマを設けている。一方、「熱海五郎一座」はというと、「いかに笑わせるかしか考えていない」という。

「本来、軽演劇って
お客さんを笑わせるだけ笑わせて、
最後に何も残らないっていうところが
醍醐味だと思うんです。
だから、それほど
資料をあさる必要もないのかもしれない。
ただ、今の時代はいろんなことに
理由を求められますからね。
テーマを盛り込むクセが
自然とついちゃってるんですよ。
とは言っても、やはりそこは軽演劇ですからね。
ギャグがメインなのは変わりません。
今回の舞台も高齢化社会を題材にしていますが、
これをテーマに選んだのも、
『そう言えば、まだやってなかったな』
って思っただけですから(笑)。
だから頭を空っぽにして、
ただ笑いに来てください。
楽しい時間は保証しますよ!」

(取材・文=倉田モトキ 撮影=山口宏之)
 

三宅裕司

みやけ・ゆうじ●1951年、東京都生まれ。79年にミュージカル・アクション・コメディを軸とした「劇団スーパー・エキセントリック・シアター」を結成。ラジオパーソナリティやテレビ番組の司会のほか、2007年からはビッグバンド「三宅裕司&Light Joke Jazz Orchestra」を結成するなど、音楽活動も行っている。

 

紙『戦後史の正体』

孫崎 享 創元社 1575円

元外務省・国際情報局長が暴く、戦後から現在に至るまでの日本の外交政治の素顔。昭和天皇の言動や歴代首相の実像など、タブーとも言える事柄にも触れ、いかにアメリカに圧力を受けていたかをいくつかの証拠とともに解説している。初めて明かされる驚愕の内容は真偽の議論も巻き起こし、大きな注目を集めた。

※三宅裕司さんの本にまつわる詳しいエピソードは
ダ・ヴィンチ6月号の巻頭記事『あの人と本の話』を要チェック!

 

熱海五郎一座『天使はなぜ村に行ったのか』

作/妹尾匡夫 構成・演出・出演/三宅裕司 出演/渡辺正行、ラサール石井、小倉久寛、春風亭昇太、東 貴博、浅野ゆう子 6月21日(金)〜7月7日(日) サンシャイン劇場で上演 
●日本を代表する喜劇役者が集結した「熱海五郎一座」の結成10周年記念公演。超高齢社会で過疎化が進んだ、とある村。観光会社の社長(渡辺)や民俗学者(浅野)の勧めで、村人たちは一致団結して大昔から伝わる伝統芸能で村おこしをしようと活気づく。