菅田将暉「マンガは、僕の精神安定剤のような存在になってます(笑)」

あの人と本の話 and more

更新日:2014/5/2

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある1冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、第146回芥川賞を受賞した田中慎弥の原作による 映画『共喰い』に主演する菅田将暉さん。彼が選んだのは、タイトルからしてユニークな一冊の本だった。

 菅田さんがお気に入りの一冊に挙げてくれた、又吉直樹の『第2図書係補佐』。

 書店で偶然見つけ、思わず衝動買いをしてしまったそうだが、普段、あまり本を読むことがないという菅田さんをそこまで惹きつけたものは、一体なんだったのだろうか?

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「最初、気になったのはタイトルでした。“第2”で、しかも“補佐”。ものすごく遠慮してる、この感じがいいなと思って(笑)。自分が大好きなものを紹介するんだから、もっと気持ちを前に出してもいいと思うんですけど、ここまで腰の低さを見せられるのは、男としてカッコいいですよね。しかも、内容も押し付けじゃないんです。本をすごく愛していて、その本に救われたというエピソードがたくさん書かれている。僕自身、まだそんな小説に出会ったことがないので、こんな人生もあるのかと驚きました」

 又吉は、この著書の中で「自分の生活の傍らに常に本という存在がある」と記している。では菅田さんにとって、そのような存在のものとは?

「マンガですね。これだけは子供の頃から欠かせないです(笑)。趣味として読んでいるというのももちろんあるんですが、今は僕の精神安定剤のような存在になってます(笑)。というのも、家で仕事の台本を読んでいると、役のことを考えすぎて眠れなくなる時があるんですね。そんな頭をリセットしてくれるのがマンガなんです」

 そんな菅田さんに、お気に入りのマンガを挙げてもらったところ……。

「昔から大好きなのは、冨樫義博先生の『レベルE』。物語もキャラクターもすべてが魅力的で。もし、実写化したら絶対に出演したいです。でも、実際は実写化してほしくない……。複雑な気持ちですね(笑)。それと、最近買って、いいなと思ったのが『描かないマンガ家』(えりちん)。主人公は漫画家を志しているんですけど、仲間と集まってウンチクをたれるだけで、いつまでたっても描かないんですよ(笑)。ただ、マンガ愛だけは人一倍あって、たまにその言動に感動したりする。そのギャップも魅力なんですよね。今一番のおすすめの作品です」

(取材・文=倉田モトキ 写真=山口宏之)
 

菅田将暉

すだ・まさき●1993年大阪府生まれ。俳優。2009年、デビュー作『仮面ライダーW』で初主演。近年はドラマ『泣くな、はらちゃん』『35歳の高校生』など話題作に出演し、その存在感で脚光を集めた。公開が予定されている映画に『男子高校生の日常』、『陽だまりの彼女』、『そこのみにて光輝く』など。
ヘアメイク=岩田恵美 スタイリング=伊藤省吾 衣装協力=ジャケット4万950円(モルフィック)、パンツ3万5700円(マサキ キョウコ オム/ともにエスティーム プレス ☎03-5428-0928)、
Tシャツ9975円(ウィニッチアンドコー/アドナスト ☎03-5456-5821)

 

第2図書係補佐書影

紙『第2図書係補佐』

又吉直樹 幻冬舎よしもと文庫 520円

本誌でも連載を担当しているお笑い芸人・又吉直樹が、お気に入りの本を紹介しているエッセイ集。とはいえ、冒頭の「はじめに」にも書かれているとおり、けっして本の解説や批評などではなく、日常生活で感じる物事や過去の逸話に本を結びつけ、作品の世界観を伝えている。巻末には中村文則との対談も収録。

※菅田将暉さんの本にまつわる詳しいエピソードは
ダ・ヴィンチ10月号の巻頭記事『あの人と本の話』を要チェック!

 

映画『共喰い』

原作/田中慎弥『共喰い』(集英社文庫) 監督/青山真治 出演/菅田将暉、木下美咲、篠原友希子、光石 研、田中裕子ほか 配給/ビターズ・エンド 9月7日(土) 全国ロードショー 
●山口県下関市で、父・円(光石研)とその愛人の琴子(篠原友希子)と暮らしていた遠馬(菅田将暉)。父にはセックスの時に相手を殴る性癖があり、そんな父を遠馬は忌み嫌っていたが、一方で、自分にもその血が流れていることに恐れを抱いていた。
©田中慎弥/集英社・2013『共喰い』製作委員会