井上真央「ピンクのレオタード、これ着て踊るんだと思ったら、吹っ切れました(笑)」

あの人と本の話 and more

更新日:2014/5/2

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある1冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回は、宮藤官九郎×阿部サダヲ×水田伸生監督によるオリジナルコメディ映画第3弾『謝罪の王様』に出演した井上真央さんが登場。役どころは、東京謝罪センター所長、黒島譲(阿部)のアシスタントになるクールな帰国子女だという。小ネタ満載のハイテンション・ムービーの意外な舞台裏を明かしてくれた。

「あ……そういうテンションだったんだ」

 阿部サダヲがぼそっとつぶやくのを、井上真央は聞き逃さなかった。

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「ヤクザ風の人たちに、頭から血を流しながら、めちゃめちゃハイテンションで謝るシーンを撮った時に、監督に“あっち行って、ここで手ついて、こういうふうにやってみて”と言われて“わかりました”と言ったあとに、ちっちゃな声で“あ……そっかあ。こんなだとは思わなかったなー”って。でも阿部さんが“いや、俺はこうだと思います”とか“それはできません”って言ったのを、今回に限らず、これまで1度も聞いたことがないんです。全部受け入れて、しかも台本にないことはまったく言わないのに、その中で、表情や仕草で、サダヲさん節を出されるんですよ」

 映画『僕の初恋をキミに捧ぐ』(09年)以来、久しぶりの共演になる岡田将生(なんと、セクハラで謝罪する下着メーカーの中堅社員役!)にツッコミを入れることも忘れない。

「“顔がカッコイイね”って、いつも言うんですけどね。そうすると“顔だけかいっ!”って。毎回そんなやりとりをしています(笑)。きれいな顔ですよね。けど今回、岡田くんはそんなの一切関係ない、気持ち悪いキャラなので“気持ちわるっ”って言うと、“しょうがないじゃないですかっ!”ってフツーにヘコむところも変わってなかったですね。どうやって言うのだろうって、みんなから注目されていたセリフがあるんですが、“緊張する”って言いながらも、すごく楽しんでやっていました」

 現場で一番テンションが高かったのは、誰あろう、実は水田監督だったという。

「どんどんアイデアが浮かんでくる方なので、あれこれ提案をしては一番大きな声で笑っていました。私がむちゃぶりされたこと? やっぱりあのピンクのレオタードですかね。衣裳合わせの時に、これ着て踊るんだ、しかもこの髪型で……と思ったら、もういいやって吹っ切れました。私も、やる時は真剣にやるタイプなので(笑)」

 こんな井上真央、観たことない!? これまでとひと味違うクールなコメディエンヌぶりに、乞うご期待!

(取材・文=瀧 晴巳 写真=冨永智子)
 

井上真央

いのうえ・まお●1987年、神奈川県生まれ。2005年に主演した『花より男子』シリーズが大ヒット。11年、NHK連続テレビ小説『おひさま』主演。12年、映画『八日目の蟬』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞受賞。10月には舞台『MIWA』が控える。出演映画『永遠の0』(山崎貴監督 東宝)は12月公開。
ヘアメイク=丸山智美 スタイリング=大沼こずえ

 

ブタとおっちゃん書影

紙『ブタとおっちゃん』

山地としてる FOIL 1890円

香川県で養豚場を営み、まるで家族のように1200頭のブタと暮らすおっちゃんを10年にわたって撮影した写真集。機械化が進む養豚業界で、一頭ずつ丁寧に豚を育てるおっちゃんの姿からは、愛情を込めて仕事をすることの喜びと覚悟が溢れている。ブタの表情がまた幸せそうで命をいただくことの尊厳に溢れた一冊。

※井上真央さんが紹介してくれたのはこの1冊。詳しいエピソードは
ダ・ヴィンチ10月号の巻頭記事『あの人と本の話』をチェック!

 

映画『謝罪の王様』

監督/水田伸生 脚本/宮藤官九郎 出演/阿部サダヲ、井上真央、竹野内豊、岡田将生、高橋克実、松雪泰子 配給/東宝 9月28日(土)全国ロードショー 
●『舞妓Haaaan!!!』『なくもんか』チームによるオリジナルコメディ第3弾。今回のテーマは日本の文化「謝罪」。ケンカの仲裁から国家存亡の危機まで依頼人から舞い込む大小様々な事件を、プロの謝罪師・黒島譲(阿部)が謝罪のテクニックを駆使、小ネタも満載で謝り倒す。
© 2013「謝罪の王様」製作委員会