要 潤「破天荒な人がちらっと見せる冷静さ、謙虚さ。予定調和じゃないところに人は惹きつけられる」

あの人と本の話 and more

更新日:2014/5/2

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある1冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、人気テレビシリーズから飛び出した『劇場版 タイムスクープハンター―安土城 最後の1日―』がついにDVD&ブルーレイ化、その主演を務める要潤さん。リハーサルは一切しない、偶然の驚きや閃きを大切にする同作の撮影で培った心に響く言葉とは?

「ミック・ジャガーの言葉はものすごくシンプル。一回読んだだけで脳裏に焼きつきます」

 おすすめ本『ミック・ジャガー ワイルドライフ』から、多くの価値ある言葉を直球で受け取ったと語る要さん。

advertisement

「人前で話す時のひと言、ひと言はすごく大事だなと思っていて。だからこういう素晴らしい言葉を発する人の言葉の響きを頭に蓄積しておくんです。そして、それらを自分なりにアウトプットしているんです」

 本書のなかに散りばめられたミックの言葉のなかで、最も惹きつけられたのは「人は永遠に見栄を張れるわけじゃない」という言葉。

「破天荒なミックとは違う、冷静な部分がこのひと言に出ていますよね。弱さというか、謙虚さというか。それがちらっと見えるところが、人を魅了するところなのかもしれないと感じました。ヒーローって強すぎると、あ、今回も勝っちゃうんだって、感情移入できなくなってしまう。失敗したり、どこか弱点を見せることで、人は興味を持つし、がんばれって応援したくなる。ミックの持つ、その絶妙なバランスがこの言葉にはよく出ていると思います」

 予定調和ではない面白さ。それは要さんが主演する、大人気ドキュメンタリードラマ風歴史教育番組「タイムスクープハンター」にも重なる。

「劇場版はスペクタクルなSFあり、人間模様あり。テレビシリーズとは一線を画し、通常の映画のように、深い芝居をするかということも考えたんですけれど、中尾監督をはじめ、みんなで話し合い、それはあえて避けることにしました。表情やセリフをコントロールしないことで、観る方もその緊張感と感動をともにしてもらいたいと」

 テレビシリーズでは、シーズン5を重ねている本作だが、劇場版では初めて明かされるタイムスクープ社の設定も――。

「名もなき人々の生活や表舞台には出てこない史実を追う、沢嶋所属の第2調査部、それに対し、皆が知る史実を扱う第1調査部という設定、それに対する沢嶋の想いも明らかになります。特典映像では時空ジャーナリストが使う〝特殊な交渉術〟の仕方やタイムスクープ社の会社案内も」

 初めてシリーズを観る人にとって、本作は格好の入り口になりそう。もちろん、かねてからのファンにとってもコアな楽しみが…。

「これまでのテレビシリーズは50作以上ありますが、実はそこに出演している役者さんがこの劇場版には集約されています。詳しい方なら、一度は絶対に観たことのある顔がどこかに映っている(笑)。沢嶋になって僕も6年目。役者人生の半分を彼とともに生きています。これからもともにやっていく、切っても切り離せない、すごく大きな存在ですね」

(取材・文=河村道子 写真=鈴木慶子)

要 潤

かなめ・じゅん●1981年、香川県生まれ。2001年、ドラマ『仮面ライダーアギト』で俳優デビュー。以降、映画、テレビなど幅広く活躍。出演作にドラマ『早海さんと呼ばれる日』『空飛ぶ広報室』、映画『GOEMON』『謎解きはディナーのあとで』など多数。現在、ドラマ『大東京トイボックス』が放映中。3月21日より公開の映画『神様のカルテ2』にも出演。
ヘアメイク=井上京子 スタイリスト=Baby mix

 

『ミック・ジャガー ワイルド・ライフ』書影

紙『ミック・ジャガー ワイルド・ライフ』

クリストファー・アンダーセン/著 岩木貴子、小川公貴/訳 ヤマハミュージックメディア 2600円(税別)

4000人以上という浮気相手、4億ドルを超える資産を築き上げた手腕、英国王室との関係……ローリング・ストーンズという世界最大のロックバンドを作り上げた男の、どんな定義にも当てはまらない生き方とは─ダイアナ妃、マドンナなどの伝記も著してきた著者が禁じ手なしで、その魅力と才能を白日の下にさらす。

※要 潤さんの本にまつわる詳しいエピソードは
ダ・ヴィンチ4月号の巻頭記事『あの人と本の話』を要チェック!

 

DVD&ブルーレイ『劇場版 タイムスクープハンター ―安土城 最後の1日―』

監督・脚本/中尾浩之 出演/要 潤、夏帆、時任三郎ほか 発売元/ギャガ 販売元/アミューズソフト DVD 3800円(税別)、Blu-ray 4000円(税別) 
●タイムスクープ社の沢嶋は本能寺の変直後の京都へ。茶器を持つ豪商を取材中、その茶器が不明に。行方を追い、様々な時代を行き来した沢嶋は、焼失直前の安土城に辿りつく。
(c)2013 TSH Film Partners