京極夏彦、“4形態同時発売”を語る(後編)

新刊著者インタビュー

更新日:2013/8/9

京極夏彦の新刊『ルー=ガルー2 インクブス×スクブス 相容れぬ夢魔』は、10月14日、出版史上初となる「単行本」「ノベルス」「文庫」「電子書籍」の4形態が同時発売となった。
この試みの意図と、10年ぶりのシリーズ2作目の読みどころを、著者インタビューとともにお届けする。(前編はこちらから)

十年越しに発表された二作目、本来のテーマは“性的虐待”だった!?

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 近未来が舞台のルー=ガルー・シリーズは、SFというよりもミステリ&アクション小説とでもいえばいいだろうか。
電子端末によって管理された社会に生きる六人の少女が、不可解な殺人事件を通して巨大組織と対決する──というのが前作『ルー=ガルー 忌避すべき狼』のストーリー。

 二作目となる 『ルー=ガルー2 インクブス×スクブス 相容れぬ夢魔』は、その事件の数ヵ月後の出来事となる。
前作で事件の被害者だった来生律子は、同じコミュニケーション研修クラスの作倉雛子から、毒の入った小瓶を預かる。それをきっかけに、六人の少女たちの周囲に不穏な空気が漂いはじめる……。
物語は来生律子視点で展開するが、実は来生と作倉は、それぞれ別の話の主役だったという。

京極夏彦
きょうごく・なつひこ●1963年北海道生まれ。小説家、意匠家。2004年『後巷説百物語』で直木賞を受賞のほか、受賞多数。著書に『姑獲鳥の夏』『冥談』『死ねばいいのに』『おじいサン』『虚言少年』など多数。