インタビュー

「特定の誰かを想起した方が怖い作品になる」迫りくる人形と死の恐怖!新鋭による都市伝説ホラー『ずうのめ人形』

 第22回日本ホラー小説大賞を受賞した『ぼぎわんが、来る』で一躍ホラーエンターテインメントの注目作家となった澤村伊智さんが、デビュー第2作となる『ずうのめ人形』を上梓した。都市伝説の呪いを扱った本作は、ページ数もスケール感も前作に比べて大増量。勝負作と呼ぶにふさわしい、野心的な本格ホラーに仕上がっている。

澤村伊智

さわむら・いち●1979年大阪府生まれ。2015年「ぼぎわん」で第22回日本ホラー小説大賞・大賞を受賞してデビュー。同作を改題したデビュー作『ぼぎわんが、来る』は、怖さとエンタメ性を共存させた作風で、多くの読者に支持された。今後の活躍が期待されるホラー・エンターテインメントの大型新人。
 

「この話を聞いたら何日後に死にます、何かが来ますというパターンの都市伝説は、誰しも一度くらいは聞いたことがあると思います。話自体は他愛ないし、根拠がないと分かっているのに、小学生時代には眠れなくなるくらい怖かった。あの怖さを活字のホラーでちゃんと表現してみたいというのが今回の狙いでした。ある意味、幼稚でベタな題材であっても、工夫次第でまだまだ怖くできるんじゃないかという思いもあって」

 新人のホラー長編としては異例のヒットを記録し、評論家筋からも高く評価された『ぼぎわんが、来る』。そんな状況で書かれた今作、プレッシャーは感じなかったのだろうか。

「前作と違うことをやらないといけないな、というのは強く思いました。『ぼぎわん』が西日本のお化けだったから、今回は東日本のお化けにしよう、という安易なやり方ではなく(笑)、読んではっきり違うものだぞと伝わるようにしたかったんです。プロット自体は早い段階でできていたんですが、書き始めるまでにいろいろ迷いましたね。結局、現在時制の物語と作中作が交互に進行するという形にすることで、ベクトルの違いが打ち出せたと思います」
 

特定の誰かを想起した方が怖い作品になる気がします

 オカルト雑誌『月刊ブルシット』の若手編集者・藤間は、締め切りが過ぎても一向に連絡がつかないフリーライター・湯水の自宅マンションを訪れた。鍵を開け、部屋に足を踏みいれた藤間が見たものは、両目をくり抜かれ、仰向けに横たわっている湯水の死体だった……。

 不況にあえぐ出版業界のリアルな人間模様を背景に、物語はこうして不穏に幕を開ける。

「以前勤めていたのが出版社だったので、当時のことを思い出しながら書きました。執筆中、読者として意識していたのも、実は当時の先輩たち。特定の誰かを思い浮かべて書いた方が、作品がぶれずに済むんです。不特定多数の読者のためにと身構えると、逆に怖いものが書けなくなるような気がしますね」

 マンションの床に置かれていた、ところどころ焼けこげた手書き原稿の束。稀覯本マニアの大学院生・岩田は、そこに書かれた内容が、湯水の死と深い関係があると主張し、藤間にも読んでみるように勧める。

 半信半疑のまま原稿のコピーを読み始めた藤間だったが、ほどなく岩田はインタビュー仕事の現場から悲鳴をあげて逃走。そばに人形が立っている、と謎めいた言葉を残して、自宅で死亡してしまう。その死体にはやはり両目がなかった。
 

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