インタビュー

安藤サクラ「10代で訪れた宮古島での思い出が、ロケ地の慶良間諸島でつながった」

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、映画『島々清しゃ』が間もなく公開される安藤サクラさん。薦めてくれたのは『花鳥風月の科学』(松岡正剛)。日本人の心がどこから生まれ育ってきたかを教えてくれる一冊だ。感覚的なものを大事にしている安藤さんが、本と映画の撮影現場から感じたものを語ってもらった。

『花鳥風月の科学』は日本文化を学術的に解説していく文化論だ。そういうと、やや難しそうに聞こえるかもしれないが、たとえば「山に畏怖心を抱くのはなぜか
とか、「風がなにかを“連れてくる”ような気がしてしまうのはなぜか」とか、日常で無意識に抱いている感情や感覚の理由をわかりやすく紐解いてくれる。

「自分がもどかしく感じていた曖昧な部分がきちんと言葉になっていて、とても心地がよかったです。読んでいて楽しくてしかたがなかった。ときどき、科学的すぎて難しいところもあるけれど、そこはじっと考えてみたり読み飛ばしてみたり、いろいろです(笑)。なるほどと思うものもあれば、わからないものもあるなかで、自分の信じたいものを選び取っていける気がして、少しほっとしました」

 安藤さんが今回出演する映画『島々清しゃ』は、特殊音感をもち、少しでも音のズレを感じると頭痛に襲われてしまう少女・うみが主人公。安藤さんは、うみの住む島を訪れるヴァイオリニスト・祐子を演じた。

「うみ役の伊東蒼ちゃんは、すごい女優さんでした。感覚が鋭くて繊細で、頭もよくて。あえて子供っぽい言い方をすれば、ものすごくがんばりやさん。それでいて、ちゃんと素直で子供らしい。女優にとって大切な、みんなが持ちあわせていたいと願うものを全部そなえているような気がしました。実は、私たちが一緒に芝居するシーンは少なくて、それがちょっと悔しかったんです。もっと二人でできたらよかったな、って監督にも伝えたくらいです」

 ちなみに安藤さん、実は沖縄にはちょっとした縁があるのだという。

「中学から高校にあがるころ、沖縄に興味があったんです。お金をためて、バックパッカーのように宮古島に滞在して、映画に出てくるおじい(金城実さん)みたいな方に三線を習いました。今回のロケ地は慶良間諸島でしたが、十数年ぶりにその三線を持ちだして、撮影のあいまに弾いていました。しかも、このおじい(金城さん)が、宮古島のおじいの知り合いで! 不思議な縁を感じましたね。
 月の景色、島の風景、風のにおいや音、すべてを感じながら、私は久しぶりに島で本当のいきものに戻ったような気がしました。この作品が東京国際映画祭で上映されて、日本の美しい風景と音楽が世界に届けられたことが、今はすごく嬉しいですね」

(取材・文=立花もも 写真=下林彩子)

安藤サクラ

あんどう・さくら●1986年、東京都生まれ。2013年『かぞくのくに』でキネマ旬報ベスト・テン史上初の主演女優賞、助演女優賞W受賞。16年『百円の恋』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞受賞。公開待機作に17年『追憶』ほかがある。
ヘアメイク=ASAMI NEMOTO スタイリング=Baby mix ドレス 15万2000円(MSGM TEL03-3239-0341)、その他すべてスタイリスト私物

 

『花鳥風月の科学』書影

紙『花鳥風月の科学』

松岡正剛 中公文庫 1095円(税別)

義経のように「あはれ」の宿命に追いやられた者を、見方を変えて「あっぱれ」の対象にしてしまう。「あはれ」も「あっぱれ」も語源は同じなのだ──。日本人でさえ明確に理解していない繊細で複雑な日本文化の根流を、歴史や科学などの観点から紐解いていく、安藤さんいわく「ポップな語り口で読みやすい」学術書。

※安藤サクラさんの本にまつわる詳しいエピソードはダ・ヴィンチ1月号の巻頭記事『あの人と本の話』を要チェック!

 


映画『島々清しゃ』

監督/新藤 風 出演/伊東 蒼、安藤サクラ、金城 実、山田真歩、渋川清彦 配給/東京テアトル 2017年1月21日よりテアトル新宿ほか全国公開 
●特殊音感をもち、音のズレを感じると頭痛がしてしまう9歳の少女・うみは、耳あてを手放せず、島でも変わり者扱いされていた。だが、ヴァイオリニスト・祐子との出会いをきっかけに吹奏楽部の演奏に参加することに。一方、ある理由から島を出たうみの母親もまた音楽を通じて変わろうとしていた。
(c)2016「島々清しゃ」製作委員会

 



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