『アイドルマスターシンデレラガールズ』7年の軌跡⑥(島村卯月編):大橋彩香インタビュー

アニメ

公開日:2018/11/9

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『アイドルマスターシンデレラガールズ』のプロジェクトが2011年にスタートして、今年で7周年。11月と12月にメットライフドーム&ナゴヤドームでの6thライブを控える『シンデレラガールズ』は、7年間で大きく成長を遂げ、多くのプロデューサー(=ファン)に愛されてきた。今回の特集記事では、2014年の1stライブ(舞浜アンフィシアター)に出演したキャスト6人の言葉から、『シンデレラガールズ』の軌跡をたどってみたい。彼女たちは、自身が演じるアイドルとどう向き合い、楽曲にどんな想いを託してきたのか――ラストは、島村卯月役・大橋彩香のインタビューをお届けする。

卯月が持っている笑顔の力や卯月がいるだけでみんなが安心する感じは、普通ではなく特別なこと

――11月28日で7周年になる『アイドルマスターシンデレラガールズ』に関わってきて、このプロジェクトについて今感じていることを聞かせてもらえますか。

大橋:とにかくメンバーが増えたなあっていう印象が強いですね。楽曲も増えて、プロデューサーの皆さんもすごく増えて。ゲームはもちろん、アニメもあって、今は幅広い人が『シンデレラガールズ』を知ってくださっているので、すごく嬉しいです。

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――大橋さんは長い時間、島村卯月と一緒に歩いてきたわけですけど、彼女に持っていた最初の印象と今の見え方って、どう変わってきましたか。

大橋:最初に卯月に会ったときは、年齢も一緒だったし、確か身長も一緒で(笑)。卯月とは、共通する部分がすごく多いなっていう印象でした。だけど最初の頃は卯月の深い部分がまだわからなくて、「ただひたすら頑張る女の子」の印象が強かったんですけど。アニメを通して卯月も悩んだり――私自身も、この世界に入っていろいろ悩むこともあって、卯月も同じことで悩んでいたりして。よく「卯月は普通だ」って言われるんですけど、卯月が持っている笑顔の力だったり、卯月がいるだけでみんなが安心する感じは、普通のことではなく特別なことなんだなあって思って。7年経つと卯月に対する印象もだいぶ変わった気がします。

――頼もしくなった。

大橋:そうですね。やっぱり卯月の存在感はすごく大きいなあって感じるようになりました。

――アニメでは、卯月はものすごく悩んでましたよね。それこそ、「特別じゃない自分」みたいな。

大橋:まわりにアイドルも多いこともあって、みんながどんどん成長していく中で「自分だけ変われていないんじゃないか」って卯月は思っていて。みんなには特別なキラキラした何かがあって、卯月の場合は笑顔を褒めてもらえるけど、「誰だって笑えるし」みたいな――まわりからしたら些細なことかもしれないですけど、卯月にとってはすごく重要なことで。私自身も、自分の音楽活動では笑顔をすごく大事にしてる部分があって、同じようなことを考えていたから、リンクする部分は多かったです。

――あれだけ精神的に沈んでいく様子を演じると、大橋さん自身にも影響はあったりしたんですか。

大橋:私自身は、普段からキャラクターに引っ張られることはあまりないんですけど、終盤の話数を収録するときは緊張感もあったし、ブースに入った瞬間にすごく気持ちが入りました。ずっとピリピリしていたわけではないけど、ずっと考えたりしてましたね。

――アニメの中で、卯月はいったん答えを見つけるじゃないですか。その卯月を演じてみて、大橋さんの中で何か変わったことはありましたか。

大橋:笑顔の大切さを、より感じるようにはなった気がします。『シンデレラガールズ』のステージに立たせていただくときも、最初の頃以上に「卯月としてステージに立つこと」が大事になった気がしていて。特に、“S(mile)ING!”を歌うときに、すごく緊張するようになりました(笑)。アニメでも、卯月が一歩を踏み出したあとに、ひとりで歌う曲だったので、“S(mile)ING!”は特別になりましたね。

――より大きな意味を持つようになった、というか。

大橋:そうですね。より泣ける曲みたいな感じになって、プレッシャーがすごくなっていて(笑)。最近はあまり歌ってないんですけど、今後歌うことになったらすごく緊張すると思います。

――卯月って、たとえばアニメの中でも「頑張ります」って何度も言うじゃないですか。何度も言ったり、年月を経た中で、大橋さんの中でこの言葉の意味は深まったりしてるんでしょうか。

大橋:卯月にとっては、おまじないみたいな言葉なのかなあって感じるようになりました。あまりにも言っているので(笑)。験担ぎじゃないですけど、言うことによって自分に安心感を与えたり、より頑張ろうっていう気持ちが入ったりする、そういう特別な言葉になっているのかなって思います。誰もが普通に言う言葉ではあると思うんですけど、やっぱり卯月にとっては特別ですね。

みんなでのびのびステージを使って、皆さんのところにたくさん会いに行けたら

――大橋さん自身が特に思い入れを持ってる楽曲って何ですか。

大橋:“GOIN’!!!”が好きです、ライブでも盛り上がるし、シンデレラプロジェクトとして、合宿とかも経ながらみんなで一生懸命練習した曲だったりするので、すごく好きですね。今でも、“GOIN’!!!”を歌うと感動するし、何回歌っても新鮮な気持ちのまま歌える楽曲です。

――佳村はるかさんに話を聞いたとき、「はっしーの存在が大きくて」って言ってたけど、毎週、毎月ライブをやっているわけではないので、「どうやってこの集団はまとまってるんだろう」と外から見ると思ったりするわけです。その中で、やっぱり卯月であり大橋さんが扇の要になってるのかな、と思うんですけど、レッスンやライブの現場はどういう居方で過ごしてるんですか。

大橋:え~っ? 普通にボーッとしてるだけです(笑)。私がまとめたりは全然していなくて、どちらかというと佳村さんとか松嵜(麗)さんが意見を言ってくださったり、ライブのときも引っ張ってくださってるので、私もセンターであることを重荷に感じず、安心して立っていられる気がします。でも、みんなにとってそういう存在にあれていられたら、すごく嬉しいです。

――他のメンバーを見ていて「『シンデレラガールズ』に思い入れを持ってやってるなあ」って実感したり、絆を感じたエピソードがあれば教えてください。

大橋:松嵜さんは、いつもすごく頑張ってるイメージがありますね。ライブの演出を考えるのが上手で、ライブ中の言葉やパフォーマンスも、きらりをすごく大切にしているなあって思います。まわりの人のいいところを見つけるのも上手で、そこがすごいなあって思ってます。5thライブのときはツアーだったんですけど、チームワークを育む上ですごく大きなライブになった気がします。今までのライブの中でも一番話し合いました。ライブがよりよくなるために何をするか考えたり、MCの内容も細かく話し合ったりして、深い部分までみんなで一緒に作り上げた感覚がありました。

――大橋さん個人の成長的な部分でいうと、客観的に歌の技術や表現力がものすごく向上している印象があって。それは確実に『シンデレラガールズ』の活動にも還元されてると思うんですけども。

大橋:ありがとうございます。表現の幅というか、いろんな歌い方を学んだ気がしていて。もともと、歌を歌うときはセリフみたいに歌いたいな、っていう思いがあって。特にキャラクターで歌う場合は言葉をしっかり伝えられたらいいなって意識していて、卯月として歌うときも気をつけるようにしてます。アニメのときに、改めて“S(mile)ING!”を録ったんですよ。最初の“S(mile)ING!”と新しい“S(mile)ING!”を聴くと、やっぱり全然表現が違っていて、幅も広がってると思います。最初の“S(mile)ING!”は初々しくて、そういう意味では卯月感が出てたのかなあって思うんですけど、同じ曲でも年月が経つと表現も変わるんだなあって実感したし、“S(mile)ING!”を聴くと自分の歌の成長を感じたりします。

――6thライブはドーム、大きな会場で行われますけど大橋さん自身はどんなライブにしたいと考えてるんでしょうか。

大橋:そうですね、今回は『MERRY-GO-ROUNDOME!!!』っていうタイトルなので、とにかく遊べたらいいなあ、と思ってます。会場の端から端まで駆け回りたい、そんな気持ちでいっぱいですね。今回は人数も多くて、それが『シンデレラ』の強みでもあるんですけど、みんなでのびのびステージを使って、皆さんのところにたくさん会いに行けたらいいな、と思います。会場が広いと「遠いな」って感じちゃう部分があるかもしれないですけど、できる限りたくさんきっと会いに行けると思うし、隅々まで行きたいです。

――では最後に、これまでともに歩んできた卯月に今かけてあげたい言葉、言いたいことは何ですか。

大橋:「一緒に頑張ろうね」ですね。デビューした年から卯月を演じることになったので、実質『シンデレラ』と一緒に私も成長してきたと言っても過言ではないなって思います。卯月とはデビューしてからずっと一緒、みたいな感覚で。これまでも一緒に歩んできて、一緒に頑張ってきたんですけど、これからも卯月と一緒に頑張っていきたいなあって思うので、「これからも一緒に頑張ろう」って言いたいです。

取材・文=清水大輔