濱田 岳「震災後の仙台で、いつも通り楽しく、面白い映画を作る。できることはそれしかない」
更新日:2013/12/19
「8日間で全部取り終えないといけなかったので、
物理的には大変ではありましたね。
でも、ホントに毎日楽しかったから、
辛かった印象はないんです」
この映画で震災後の仙台を元気づける…そんな思いを、過剰に意識することはなかったそうだ。
「考えていたのは、いつも通り楽しく。
僕以外のスタッフも、
みんなそういうつもりだったと思いますよ。
それは言わずもがなで、
意思の疎通が取れていたというか。
なんていうか、誰一人、
恩を着せに行っていないんですよ。
震災後の仙台で、いつも通り楽しく、
いつも通り面白い映画を作る。
できることはそれしかないっていう、
みんなの気持ちでしたね」
すべての謎が明かされるラストシーンで、濱田さん演じる主人公「今村」が見せた表情は、観る者すべての心を揺さぶるだろう。
「ラストシーンは、今村君のキャラクターであれば、
笑顔でたぶん成立するはずだったんです。
でも、地元のボランティアスタッフの方達の協力だったり、
あの環境と、あのストーリーと、
いろんなことがあいまってだったのか…
あんな表情になるっていうのは、
自分でも想像していなかったんですよ。
僕自身もびっくりしているし、一番印象的ですね。
不思議な体験でした。なんていうか…
いい映画だと思うんですよ(笑)。
ぜひ、楽しんで観てほしいですね」
(取材・文=吉田大助 撮影=武島 亨)
濱田 岳
はまだ・がく●1988年6月28日、東京都生まれ。98年にドラマ『ひとりぼっちの君に』で俳優デビュー。2007年、瑛太とダブル主演を飾った『アヒルと鴨のコインロッカー』(伊坂+中村の初タッグ作)で、高崎映画祭最優秀主演男優賞を受賞。『みなさん、さようなら』(久保寺健彦の同名小説が原作)が近日公開予定。
スタイリング=勝見宜人(Koa Hole inc.) ヘアメイク=大原佐智(Bellezza Studio)
『センゴク』(全15巻)
斉藤家の家臣・仙石権兵衛秀久は、織田信長の軍勢に敗れる。九死に一生を得た彼を見初め、織田将軍が言い放った言葉は「大軍を率いる武将になれ」。豊臣秀吉の預かりとなり、一兵卒から這い上がることになる。失敗しても心挫けそうになっても、何度でも立ち上がる“センゴク”の姿を、史実を基に熱く活写している。
映画『ポテチ』
監督/中村義洋 出演/濱田 岳、木村文乃、大森南朋、石田えりほか 配給/ショウゲート 仙台にて先行公開中、5月12日より新宿ピカデリーほか全国にて公開●舞台は東北・仙台。一人は空き巣で、一人はプロ野球選手─。同じ年、同じ日に生まれたふたりの青年の奇妙な運命を、個性豊かな隣人達を巻き込みながら、会話劇で描き出す。原作は、伊坂幸太郎の中短篇小説集『フィッシュストーリー』(新潮文庫)収録の「ポテチ」。