機械に強いのも「女子力」のうち!? 理系女子の時代到来

マンガ

更新日:2012/11/21

 世間では、女子が苦手なものといえば、「地図を読むこと」、「車の車庫入れ」、そして「自分でテレビの配線をすること」などと言われている。しかし、女性が仕事で活躍する今、就職の幅を広げるために理系の大学に進学する女の子たちも増えてきているようなのだ。そして、それを表すかのように、マンガにおいてもさまざまな理系女子が登場している。

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 たとえば、『数学女子』(安田まさえ/竹書房)には物事をすべて数学の計算式に当てはめて考えてしまう女子が出てくるし、『シバケン! ~柴田研究室における恋愛論~』(華谷 艶/小学館)では、ビーカーでコーヒーを飲む変人教授の研究室に入ったギャル系女子大生の日々を描く。さらに、化学系の会社に就職した普通の女の子が、年上の理系女子にいじられる化学のお仕事マンガ『博士の白衣女子攻略論』(香日ゆら/芳文社)などもあるのだ。

 でも、その中でもとくに注目したいのが、機械に強い理系女子。現在アニメも放送されている『Robotics;Notes(ロボティクス・ノーツ)』には、ロボットを作るロボ部の部長・瀬乃宮あき穂が登場する。また、『のだめカンタービレ』(講談社)で大ヒットした二ノ宮知子の新作『87CLOCKERS(エイティセブンクロッカーズ)』(集英社)は、いかに速くパソコンを操作できるかにこだわる女子大生・ハナが登場。彼女はパソコンの動作を早めるために行う、“オーバークロック”と呼ばれる行為に魅了されているのだ。そんな彼女たちの魅力とは、一体何なのか?

 まず、彼女たちの機械に対する知識や機械をいじる手つきはプロ顔負け。とても普通の女子高生や女子大生には真似できないのだ。

 あき穂は大のロボット好きで、ロボットアニメは高校生になっても欠かさずチェックしているというほど。自分の部屋の壁にはロボットアニメのポスターが貼られており、棚には今はもう発売中止になっているロボットフィギュアが並べられている。そんな彼女は、自らロボットを分解したり、組み立てることもできるのだ。パーツにはミリ単位で異なるネジが大量に使われているので、どれがどこのネジかわからなくなったら二度と元には戻せなくなるのだが、神経を集中させて作業する。バッテリーが切れている時は、代わりに直流電流を使って通電させるのだ。即座にこの対応をできる人なんて、男子でも少ないのでは?

 また、ハナは説明書なんてなくてもパソコンを自作できちゃうのだ。初心者の男子音大生・一ノ瀬にいろいろと解説しながら、テキパキとパソコンを組み立ていく様は見事。オーバークロックやパソコンについて無邪気に語る笑顔を見たら、なんだかこちらも楽しくなってくる。さらに秋葉原には“行きつけ”のお店があるし、パーツを見ると人格まで変わってしまうのだ。そんなギャップも可愛いらしい。

 しかし、彼女たちをより一層輝かせるのは、見た目なんて気にしないくらいの熱い情熱。あき穂は自作ロボットを完成させるため、お泊まりセットを持って学校にいき、眠くなるからと食事もとらずに作業を続ける。その表情は怖いぐらいに真剣なのだ。油まみれになりながら巨大ロボットを組み立ている時も「なんか勲章っぽいじゃない」と言い切れる彼女の姿は、やはりかっこいい。

 また、オーバークロックにかかる費用を捻出するためにパイナップル工場で働くハナは、冬場になると酸と寒さのせいで手がグローブのように腫れ上がる。そんな手でも、スピードを上げて熱くなったパソコンを冷やすため、ドライアイスを素手で掴んで機材に乗せたりするのだ。大学でミスコンに出てほしいと懇願されるほどの容姿を持つハナが、4年間その願いを断り続け、4年生を目前にしても卒論のテーマや就活だって後回しにしてしまう。それほどまでに彼女がすべてを捧げるオーバークロックの世界とは、どんなものなのか? 一ノ瀬じゃなくても気になるところだ。それに、そこまで一生懸命になれるものがある彼女に、惹きつけられない人はいない。

 現実の学校や職場では、まだまだ少ない理系女子。でも、実はそこにこそこんなふうに熱くてかわいい女の子たちが隠れているのかも?