強さと優しさがなければ務まらない! 彼女たちが魔法少女になった理由

マンガ

更新日:2012/11/26

 『魔法少女サリー』に『ひみつのアッコちゃん』、『おジャ魔女どれみ』や『魔法少女まどか☆マギカ』など、昔から少女たちに人気の魔法少女。そんな魔法少女になれたとしたら、あなたはどうする?

 11月9日に発売されたライトノベル『魔法少女育成計画restart(前)』(遠藤浅蜊:著、マルイノ:イラスト/宝島社)には、16人もの魔法少女が登場する。彼女たちは「魔法少女育成計画」という謎のゲームに強制的に参加させられることになるのだ。ゲームの中では、ひとり、またひとりと魔法少女たちが謎の死を遂げていく。そんな状況の中でも彼女たちが魔法少女を続けるのはなぜか? そもそもどうして魔法少女になったのだろう? その理由を見ていきながら、魔法少女の魅力を探ってみよう。

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 まず最初は、料理が得意な魔法少女ペチカ。現実世界の彼女は建原智香というごく平凡な中学生の女の子だ。彼女が魔法少女になったのは、魔法が使えるからとかずば抜けた身体能力を得られるからといったことではなく、「見目麗しい少女に変身すること」ができるから。人からブスと言われたことはなくても、可愛いとか美人と言われたこともない彼女は、自分の容姿が好きじゃなかった。それに、大好きな野球部のエース・二宮君にもっと近づきたかった。可愛くなって、自分の手料理を食べてもらうことが夢だったのだ。好きな人のために変わりたい。もっと自分に自信をつけたい。女の子なら誰もが1度は思ったことのある願い。その願いが叶えられるなら、ペチカのように魔法少女にだってなんだってなるだろう。

 また、ホームズを思い起こさせるような格好のディティック・ベルが魔法少女になったのは、探偵に憧れていたから。幼稚園児の頃に、小学生探偵が活躍するアニメを見た彼女は、殺人事件や犯罪を華麗に暴く彼の大ファンになった。それ以降は探偵小説を読みあさり、高校時代はミステリー同好会の部長を務め、短大卒業と同時に探偵事務所に弟子入りしたほど。その頃、ちょうど魔法少女選抜試験のメールを偶然受け取った。魔法少女になれば、きっと探偵活動にも役立つ。そう思った彼女は試験を受け、魔法少女になった。こんなふうに、特別魔法少女になりたかったからなったわけではなく、魔法少女になったら自分のなりたいもの、やりたいことができるという理由も当然あるだろう。

 そして、メイド姿ののっこちゃんが魔法少女になったのは、魔法少女に憧れていたから。4歳から魔法少女を続けている彼女は、周囲の人の気分を変えることができるのだ。しかし、彼女の魔法は自分の思い通りに相手の感情を動かせるということではなく、自分の感情を伝播させることができるというもの。だから、誰かが怒っていたら、それを落ち着かせるためにまずはのっこちゃんががんばって楽しいことを考える。そうやって、彼女は学校でも「良いクラス」を作るために力を尽くしていた。そして、放課後は入院中の母を見舞い、重くなりがちな心を軽くする。すべては、周囲の環境をよりよくするため。周りの人がケンカしたり、落ち込んだりしてるのは、見ていて楽しいものではない。そのために何か自分にできることがあれば、してあげたい。でも、人の感情を変化させるなんて普通の人にはできない。だからこそ、彼女は魔法少女に憧れていたのだ。

 初めは軽い気持ちで始めた魔法少女かもしれないが、彼女たちには魔法の力と同時に、人助けのために力を使うという任務も課せられていた。そんなふうに人のために力を使う彼女たちは、もともと心の中に優しさや思いやりを秘めている。そんな彼女たちが、目の前で仲間を次々に殺されて、自分だけ簡単に逃げ出せるわけがないのだ。仲間の敵を撃つために協力し合う。そもそもその強さと優しさがなければ、魔法少女は務まらない。彼女たちは密かな殺し合いの中で、どうなっていってしまうのか? 12月10日発売予定の後編が待ち遠しい。