いじめの代償は大きかった!? 被害者と加害者のバトルロワイヤル問題作登場

マンガ

更新日:2012/12/7

 衝撃的。そんな言葉しか見つからないような作品が、ついにコミックスで登場した。

「いじめっこは皆殺し。」という帯が巻かれたその作品の名前は『報復学園』(秋山弘行/角川書店)。

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 そう、帯とタイトルからもわかるように、「いじめ」を題材にし「いじめられっ子による復讐」を描いた問題作である。

 中学生の主人公、東安彦はいじめに遭い、人生に絶望しながら生きていた。そんなある日、何者かに拉致される。無人かつ脱出不可能な学校で目覚めた安彦の前には、小学校のころに好きだった水島愛沙を含む他校の中学生4 名が。そしてなにより、おびただしい数の武器が目の前に並んでいた。

 右往左往しているうちに、アナウンスが流れはじめる。「君たちは選ばれし勇者だ。武器をとり、日暮れまでに自分の獲物を殺せ!」「それができなければ殺す!」。

 怯えながらも武器をとり、校舎を歩く安彦たち。そんな彼らの前に姿を現したのは、手かせをはめられた、いじめっ子たち。

 そしてまたアナウンスが流れる。「さあ勇者たちよ、決戦の時だ!! あの悪しき者たちを、いや、いじめっ子どもを殺ってしまえ!!」

 逃げまどういじめっ子たちを追いまわす、タガが外れたいじめられっ子たち。狩る側と狩られる側。リアルでの立場が逆転する。ある物は刃物で惨殺され、ある物はトゲがついた鉄球のようなもので嬲るように殺される。そんななか、安彦は金属バットを手に校舎を徘徊する。本当に殺せるのか、いじめっ子に勝てるのか、そんなことを思いながら……。そんな彼に愛沙はいう。「本当は殺したいんでしょ」「こいつらはもう、いじめられる側なんだよ。もう我慢する必要はないの」。

 そしてとうとう自分をさんざんいじめていた、主犯格のいじめっ子を見つける安彦。怯える顔と、手かせを見て、安彦のなかで、なにかが崩れ落ちていった……。

 作品では、とにかく「いじめられっ子」の心理描写がリアルで、また、「いじめっ子」の憎たらしさもハンパじゃない。「やられたらやり返す」では何も解決しない。しかし、自分や、大切な人が、「いじめ」にあったとして、果たして理性的でいられるだろうか。

 そんな葛藤を、具体的な描写で作品として表したこの作品。過激な表現や心理描写が続き、読めば、心に大きい負荷がかかる人もいるだろうが、「いじめ」問題を一度でも考えたことがある人ならば、目を通してみてほしい。