なぜ“長い春”カップルはうまくいかないのか?

マンガ

公開日:2012/12/8

  芸能界でも、スピード婚からスピード離婚してしまうカップルは多い。そんなニュースを聞くと、やはりある程度相手のことを知ってから結婚したいと思うだろう。しかし、何年も同棲していたのに結局別れてしまったというカップルも意外と少なくない。そんな“長い春”の状態は、一体どんなものなのか。その心情を知るのにピッタリな作品がある。11月20日に発売された『喰う寝るふたり住むふたり』(日暮キノコ/徳間書店)だ。この作品には交際10年、同棲8年のアラサーカップルが登場する。そんな恋人以上、夫婦未満の町田りつ子と野々山修一の日常を描くこの作品の特徴は、同じ出来事を男性目線と女性目線の両方から描いたザッピングストーリーになっているというところ。

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 長く付き合っていると怒るポイントや笑うツボもわかってくるし、ケンカした後の仲直りの方法も決まってくる。りつ子と修一の場合、仲直りの方法はおにぎりを作ることだったりするが、そんなふうに2人だけの約束事が増えていくのも付き合いの長いカップルならではの魅力。しかし、お互いを知っているからこそ、分かってもらえると思ってすれ違ってしまうこともある。

 なんとこの2人、とっても大事なプロポーズにおいてすれ違ってしまっているのだ。クリスマスに指輪をもらったりつ子は、嬉しくてはしゃいでいた。だから、その横で修一が意を決してプロポーズしていたことにも気付かなかったのだ。修一は修一で、「プロポーズする」ということに精一杯で、相手の反応など全く見ていなかった。だから、りつ子はまだプロポーズされていないと思っているし、修一は返事待ちだと思っている。こんな結果になったのは、見栄や「今さら…」という恥ずかしさが邪魔をしてなかなか素直になれなかったから。もしかしたらあなたも、こんなすれ違いで結婚のタイミングを逃してしまっているのかもしれない。

 また、付き合いが長くなると相手が合コンに行くと言い出したときに揉めるポイントも変わってくるようだ。同棲8年目ともなると、今さら合コンぐらいでごちゃごちゃ言うのもかっこ悪いとつい意地を張ってしまう。りつ子が合コンに誘われ、心の中では「イヤだ絶対…!!!」と思いながらも余裕を見せたいがために笑顔で「行ってきなよ!!」と言ってしまう修一。一方、合コンに行ってもいいと言われたりつ子は「誰もお前なんか狙ったりしねーよw」ということかと思い、別に乗り気でもなかったのに、相手を見返そうと気合を入れて合コンへ行く。こんなふうに、お互い張らなくてもいい意地を張ってすれ違ってしまうこともある。

 そして、長く付き合っていると大変なのがプレゼントを選ぶとき。服、靴、時計、バック、財布……。イベントや記念日のたびにプレゼントをあげていたらネタ切れしてしまうので、一緒に買いに行ってお互い欲しいものを買ってあげるようになる。2人でプレゼントを選ぶのもそれはそれで楽しいし、その楽しみは付き合いが長いからこそ味わえる感覚だろう。でも、何をもらえるのかわからず、ドキドキワクワクしながら待つ気持ちも、やはりたまには味わいたいはず。それに、自分を思いながら相手が選んだプレゼントなら、ありがたみや喜びも増すというもの。そこで、リツコと修一もお互いのためにそれぞれ「真のプレゼント」を探すために出かけるのだ。プレゼントを選びながら相手のことを思い、どんなものが似合うか、喜んでくれるか、使ってくれるか。いろいろと想像する。そんな時間も幸せだ。

 長い間一緒にいると、相手は言わなくても自分のことをわかってくれているはずと思いがち。気兼ねなく付き合えるのはいいことかもしれないが、相手に対する思いやりや関係性もなあなあになってしまう。そのせいで相手のことがわからなくなったり、不安になることもある。そんな時はこの本を読んで、付き合い始めのころを思い出したり、もう1度原点に帰ってみてはどうだろう。りつ子と修一のように、何か新しい発見が見つかるかもしれない。