『サイボーグ009』『うしおととら』…名作が続々復活で話題

マンガ

更新日:2012/12/8

 「自分たちの作品(ヒーロー)で復興を支援できないか」マンガ家の細野不二彦の提案で始まった「ヒーローズ・カムバック」。8人のマンガ家が、過去の人気作を復活させる描き下ろし企画で、小学館の雑誌で順に発表。2013年3月頃に単行本化し、必要経費を除く収益・印税をすべて寄付するものだ。

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 第1弾は、発案者・細野の『ギャラリーフェイク』。まずは、趣旨を示すがごとく、被災地における文化財のレスキューなど、実際の問題も描く。読者は、7年ぶりに登場したフジタの活躍を楽しむとともに、支援への気持ちも新たにしたはずだ。第2弾では、「趣旨を深く考えず楽しく読んで」と、ゆうきまさみの『究極超人あ~る』。こうした企画はどうしても深刻になりがちだが、本作でゆるりと息抜き。その後の吉田戦車の『伝染るんです。』、島本和彦と石森プロのトリビュート『サイボーグ009』も、読者は純粋に楽しんだことだろう。12月には、藤田和日郎の『うしおととら』、1月以降も、高橋留美子、椎名高志、荒川弘と続く。大興奮のラインナップだ。

 3.11以後、マンガ家たちは、様々な方法で震災を伝え、支援を試みてきた。今回は、雑誌をまたいで発表する形も新しく、掲載誌は売り切れ続出。反響の大きさから、これまで以上の効果が期待できそうだ。マンガ家たちの復興にかける熱い思いを受け止めつつも、かつての作品たちが帰ってくるこのお祭りを大いに楽しもう!

文=倉持佳代子
ダ・ヴィンチ1月号「出版ニュースクリップ」より)