2012年、書店でもっとも注目された文庫はコレだ!

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/25

 文庫化されて再ヒットした人気作品、文庫書き下ろしのベストセラーなど、2012年もさまざまな文庫が書店店頭を賑わせた。『1Q84』(村上春樹・新潮文庫)、『天地明察』(冲方丁・角川文庫)など大ヒット作品が文庫化。北方謙三の『楊令伝』文庫版(集英社文庫)完結、小野不由美「十二国記」シリーズ(新潮文庫)の完全版の刊行。書き下ろし文庫「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズ(メディアワークス文庫)はミリオンセラーを記録した。
 また、書店から“発信”されたヒット作も続々誕生した。そこで『ダ・ヴィンチ』1月号では、各書店が工夫を凝らして「売った&売れた」本に注目。それぞれの上位3冊を紹介している。

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■紀伊國屋書店新宿本店
1位『ザ・ウーマン』 ジャック・ケッチャム、ラッキー・マッキー/著 金子 浩/訳 扶桑社海外文庫 840円
ヒットを仕掛けた紀伊國屋書店新宿本店の文庫担当の森さんは、「ケッチャム好き」が縁で扶桑社の販促企画段階から関わり、店内で大プロモーションを展開。男性客の割合が多い同店で女性読者の獲得に成功した。
2位『ピース』樋口有介 中公文庫 720円
3位『営業零課接待班』安藤祐介 講談社文庫 630円

■ヴィレッジヴァンガード 下北沢店
1位『ボールのようなことば。』糸井重里 ほぼ日文庫 777円
「TwitterにはPOPと同じ効果がある」と語るのは、ヴィレッジヴァンガード下北沢店次長の長谷川さん。Twitter上でオススメ作品や在庫情報を流し、下北沢の書店独特のヒットを生み出している。一般流通していない『ボールのようなことば。』もTwitterで「ここになら在庫あり!」などの情報が広まった。
2位『さらば雑司ヶ谷』樋口毅宏 新潮文庫 515円
3位『桐島、部活やめるってよ』朝井リョウ 集英社文庫 500円

■book express エキュート品川サウス店
1位『箱の中』木原音瀬 講談社文庫 760円
箱の中』は、文庫担当の山本さんが著者のサイン色紙で大々的にアピール。普段はBLものを手に取らないような“普通の男性サラリーマン”が購入しているという。
2位『できる人の口ぐせ』菊入みゆき 中経の文庫 580円
3位『ラストダンス』堂場瞬一 実業之日本社文庫 720円

 同誌ではほかにも、ジャンル別に目利きが選定したこれからアツい3冊や、今年大ヒットした書き下ろし文庫など、様々な知られざる文庫作品に注目して紹介している。

(『ダ・ヴィンチ』1月号「文庫ダ・ヴィンチ」より)