処女を捨てた方が辛い? こじらせ女子の自意識脱却の道は長く険しい

恋愛・結婚

更新日:2012/12/20

 『めちゃ×2イケてるッ!』をはじめ人気バラエティーに出演中の女芸人、たんぽぽの白鳥久美子が31年間誰とも付き合ったこともなく、男性経験もない“非モテ”人生をつづった『処女芸人』(扶桑社)を発売した。同書のみならず、近年では『30才、処女なのにエロ漫画描いてます。』(森田ゆき/メディアファクトリー)、『いい年して処女なの隠して生活してます。』(野島キウイ:著、マリリン満月/インフォレスト)など、多くの“処女本”が発売され、話題を集めている。

advertisement

 2010年の厚生労働省の調査によれば、30代未婚女性の4人に1人が処女。性行為の低年齢化が進む一方、「高齢処女」の割合も多く、彼女たちが“処女本”に共感しているのかもしれない。本来、性体験の有無は当人の魅力とは関係ないはずだが、当事者としては童貞・処女である事実が「重い」と感じてしまうことが多いようだ。特に、女子として振る舞えない自分に対する違和感・劣等感を長年積み重ねて来た“こじらせ女子”にとっては、処女であること自体が大問題。

 だが、「処女を喪失した方が不幸が増す場合がある」と警告するのが、雨宮まみの『だって女子だもん!! 雨宮まみ対談集』(ポット出版)。本書は、エッセイ『女子をこじらせて』(ポット出版)で全国の“こじらせ女子”の心を鷲づかみにした雨宮氏が、ライター・マンガ家の峰なゆか氏、マンガ家・エッセイストの能町みね子、タレントの小島慶子ら、女子としてのコンプレックスに悩んできた文化人との対談集だ。

 雨宮氏によると、「こじらせ女子ヒエラルキー」は下から「非モテ・喪女」「セフレ的存在」「テクニックモテ」「天然モテ」に分類され、セックスさえすれば誰でも「セフレ的存在」に“成りあがる”ことが可能だという。自身を“ゲロブス”だったと評する峰なゆか氏も「私はセックスすらできないかもしれない」と怯え、「処女だったころは1回でもセックスできれば完全に勝ち組だと思って」いたという。

 思春期を過ぎたころになると誰しもがセックスに憧れるとともに、自分だけが異性から性の対象にされないのではと不安になる。友人が早々と初体験を済まし武勇伝を語るようになると、「とりあえず処女を捨てたい」という正体不明の焦りが生まれてしまう。しかし能町みね子氏は「だいたい『やった方がいい』っていう義務感に追われてやる場合って、大破ですよね」と、こじらせたまま初体験に突き進む危険性を指摘。

 無事に処女を喪失したとしても、こじらせ女子の場合は「『セックスしてもらえるだけでありがたい』って気持ちがある」ため、男性からの誘いを拒まずにいるとセフレ認定されて本命彼女になれないというパターンに陥ることも。

 さらに、本命彼女になった場合も、相手に尽くしたりやきもちを妬いたりという「彼女プレイ」と本来の自分とのかい離に居心地が悪くなる、という新たな問題が発生することが少なくないという。

 処女を卒業すれば、自然と男性と向き合うことができ、自分に自信が持てるようになると信じていたはずが、思わぬ落とし穴があるのだ。そのことについて雨宮氏は「セックスできればリア充」になれると思いこんでいたことに原因があると分析。確かに長らくこじらせてきた自意識は、処女喪失だけでは解決できないのかもしれない。幸せになるためには自意識をうまく飼いならし、コントロールすること。こじらせ女子の幸せへの道はセックスや男性との関係によって解決するのではなく、自分自身の中にヒントがあるようだ。