12月21日に世界は終わる? アセンション騒動を予見したマンガが!

マンガ

更新日:2012/12/20

 明日12月21日、世界が滅亡する!? こんな噂が世界中で広がっている。噂の元になっているのは、古代マヤ文明で用いられた暦が2012年の12月21日で区切りを迎えるという話。そこから、この日に「アセンション」という地球の次元が上昇する現象が起き、人類が淘汰されるといった話に発展しているのだ。

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 実際、中国ではこの噂を信じた男が子供を刺すという事件が、フランスでも「世界の終末が訪れても助かる」と言われている山に人々が殺到するパニックが起き、政府が対応に追われる事態となっている。

 いまどき、まだこんなオカルト話を本気で信じる人がいるのか、とびっくりするが、実は日本ではこの騒動を先取りしたようなマンガが出版されていた。それが『新次元アセンション』(渡辺瑞樹/メディアファクトリー)だ。

 ストーリーは、主人公の千年が、行方不明になった親友を探すうちに、次々と奇怪な事件に遭遇するというものだが、カギになっているのが、人類淘汰=アセンションの存在。中高生の間で「トリガー」なるCDがひそかに流行っており、それを聞いた学生たちはみな、近い将来、アセンションが起きるという啓示を与えられる。そして、自分が選ばれた人間となって生き残るために、奇怪な言動をとるようになり、人殺しまで犯すようになるのだ。

 たとえば、第2話「Philadelphia Experiment」第3話「The asention」では、甲田という少年が登場し、アセンションで生き残るためとして、次々と周りの生徒たちを殺していく。「この世界は近いうちに新しく生まれ変わる」「その前には大掃除が必要だ」「選ばれた人間だけがアセンションできるんだ!!」などと叫びながら千年に襲い掛かるシーンは、アセンション・パニックが引き起こしている最近の事件をほうふつとさせるものだ。

 また、第4話「The last day」では、トリガーを聞いたことで未来が見えるようになった少女・辻堂みゆが、ツイッターで人類滅亡を予言するのだが、同時に、大親友の葵が助からないことを知り、彼女を殺して自分も死のうとする。

 ちなみに、この時、みゆは「日月神示」というお告げを唱えるのだが、「日月神示」というのは、昭和19年頃、画家である岡本天明に高級神霊が“降りた”時に自動書記で書かれたとされる神のお告げで、オカルトの世界では有名な実在文書。その予言は的中率が非常に高いといわれ、第二次世界大戦についても「ドイツもイタリアもあてにならぬ、世界中一つになって神の国に寄せて来る」「江戸が元のすすき原になる」「日本は一度つぶれたようになる」などと、その後の展開をすべて言い当てたとされる。

 そして『新次元アセンション』はダメ押しのように、2012年人類滅亡説がマヤ暦だけでなく、ホピ族の予言やアステカの『太陽伝説』、旧約聖書にコーラン、易経、ミドラージュ、この「日月神示」にも残されていると指摘するのだ。

 その意味ではこのマンガ、フィクションと真偽不明のオカルト話を非常にうまくおりまぜて、迫力満点の終末論を展開しているのだが、だからといってくれぐれも、12月21日世界滅亡説なんてものを本気で信じないでいただきたい。

 これまでも、ノストラダムスの大予言、ハルマゲドン、惑星直列、太陽フレア爆発など、さまざまな終末論が語られてきたが、そのどれもが大騒ぎしたあげく何もなし。結局、ひと時、現実を忘れるためのエンタテインメントとして機能しただけだった。

 もちろん、今回も確実に同じ顛末となるだろう。だいたい『新次元アセンション』自体が未完で、来年以降も連載が続く予定なのだから。