真のだめんず・叶井俊太郎に学ぶ、言いわけの極意

人間関係

公開日:2012/12/27

 社会に出ると、日々さまざまなトラブルに見舞われる。自分に落ち度がある場合はもちろん、理不尽な目に遭いながらも謝罪が必要になる場合もある。謝罪とセットなのが言いわけだが、実はこれが難しい。間違えれば、相手の怒りに油を注ぐことにもなりかねない。同時に、言いわけがうまければ相手の心を掴むことができる。要は、言いわけ術に長けた方が社会をサバイブしやすいのだ。

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 そんな“言いわけスキル”を磨くのにうってつけなのが、『絶対絶命を乗り切る 超言い訳術』(叶井俊太郎著/双葉社)。著者の叶井氏はフランス映画『アメリ』などの映画宣伝プロデューサーで、『だめんず・うぉ~か~』(扶桑社)で知られるマンガ家・倉田真由美氏の夫でもある。女性関係600人斬り・自己破産・バツ3と、人生「言いわけ」の連続であっただろう、だめんずの中のだめんずである。

 叶井氏いわく、言いわけとは「怒ったり、非難してくる相手に対して、『こう考えることもできますよ』っていう提案」「ものを見る角度をズラす」ことだという。では、叶井流言いわけ術のポイントをいくつか見てみよう。

 まずは“ポジティブな理由を加えて、相手を気持ちよくさせる”。公開前から話題を集めていた『アメリ』劇場上映初日、普段は時間厳守で学生時代のバイトも無遅刻・無欠勤だった叶井氏がこともあろうに大遅刻し、1回目の上映に間に合わなかったそう。そのときに放った言葉が「すみません! コーフンして寝れなくて、寝坊しましたぁ!!」。素直に謝った上で、「楽しみにしすぎて」「嬉しすぎて」とポジティブな理由をつければ、相手も大目に見てくることが多いそうだ。

 無理難題を言われたら、“そのまま相手に返す”というのも言いわけ術のひとつ。仕事上のトラブルで先方が興奮し、「『切腹する』といま宣言しろ!!」と怒鳴られた時の一言がコレ。「あの~、ではやり方がわからないので、切腹のお手本を見せてください」。相手はこの発言にビックリし、叶井氏も長時間の電話から解放されたそうだ。相手に、理不尽なことを言っていると自覚させる意味もあるのかもしれない。

 “逆ギレのような強引さ”も身につけたいスキルだ。通信会社からの押し売りに対応するものの、相手も引かない状況が続いた叶井氏は「オレはね、NTTが好きなんだよ! 料金が高くてもNTTが好きなの! もう帰ってくれ!」と、無茶苦茶な論理で相手を追い返している。ここまで言い切れられたら、相手も何も言えないだろう。

 さらには“突飛な発言でなんとなく納得させる”というのも叶井流。娘と一緒に行った児童館で、アクセサリーをジャラジャラ身につけて高級ブランドを服を着た氏の姿にスタッフやママさんたちが引いていると、指輪の重さでパソコンのキーを早く打てると熱弁。「ボクは仕事のために指輪を10個してるんです!!」と勢いで相手を納得(?)させている。言いわけは口にしている本人の本気度がすべて、という叶井氏の考えが凝縮された一言だ。

 叶井氏の言いわけ術は、ものを見る角度をズラすだけでなく、理論を無視した強引さや突飛な内容で相手も思わず笑ってしまう高度な技術。もちろんこれをすべてマネするのは危険だが、言いわけを考える幅は広がりそうだ。