ぶっきらぼう系という新しい“俺様”男子の魅力って?

更新日:2014/4/14

 俺様キャラといったら、『花より男子』(神尾葉子/集英社)の道明寺 司に代表されるようなわがままでオラオラ系のリーダータイプが一般的だが、ここ最近注目度が上がっているのが、ぶっきらぼう系の男性キャラだ。

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 他人を引っ張って行くタイプの従来の俺様に対して、このタイプはそもそもあまり他人に興味がないのが特徴。代表例といえるのは、今年完結したばかりの『VIVO!』(瀬川藤子/マッグガーデン)の主人公・ナカムラこと 仲村渠豊寛(なかんだりとよひろ)だ。

 ナカムラは、臨時で、しかも望まずになったとはいえ、高校の教師であるにもかかわらず、全くと言っていいほど生徒に無関心。不登校の生徒がいようと「放っときゃいいんじゃないですかね」「ダブろうが辞めようが本人の勝手でしょうに」と平然と言い放つ。よくいえば個人主義で生徒を大人と同じ一人の人間として扱っている、悪くいえばやる気がなく自分勝手だ。

 そんな教師としてはかなり型破りなナカムラだが、その身も蓋もない物言いが物語の魅力になっており、作品の人気にもつながっている。

 『図書館の主』(篠原ウミハル/芳文社)の主人公・御子柴もこのタイプ。児童書専門の図書館の司書という、子どもを相手にする仕事をしていながら、仏頂面でニコリともしない。大人相手にはもちろん、子どもにも「まとわりつくな 邪魔だ」と容赦ない尊大な態度で接するという“俺様”ぶりだ。

 ともに性格に難があって厄介なタイプだが、長所といえるのはある種の公平さ。ナカムラも御子柴も、相手が誰であろうと決して態度を変えない。ナカムラは生徒だろうが教師だろうが、過剰に干渉してきたり、自分の邪魔をする相手は全力で排除しようとするし、御子柴も本に対して真摯で、児童書だからといってバカにしたりするような人間や、自分の図書館で本を楽しむ気のない人間は誰であろうと許さない。自分のルールに決して嘘をつかず、そのルールの前ではいかなる人間も平等であるというすがすがしさは魅力だ。

 また、ナカムラも御子柴もあまりにふてぶてしいが、そんな彼らが他人に振り回されてイライラしている瞬間などは、ついニヤニヤしてしまうような一種のかわいさがあったり……。その点では従来の“俺様”的な萌えが基本にあるといっていいだろう。

 そういえば、昨年はじめの直木賞受賞会見でいかにも不機嫌そうに「もらっといてやる」「とっとと(会見を)終わらせましょう」と語って会場を沸かせた田中慎弥氏も、一部女子の間で「不機嫌メガネ男子」として“萌える”と話題になった。

 気難しそうだけど妙に萌える“ぶっきらぼう系”は、新しい“俺様”タイプとして1ジャンルになりつつあるのかも!?