本のソムリエ・書店員オススメの“猫小説”

更新日:2013/1/10

 毎日膨大な量の本に接し、本の知識なら誰にも負けない“本のソムリエ”としてとっても頼りになる書店員さん。そこで今回は、大垣書店高槻店で文芸書を担当している有本純さんに“オススメの猫小説”をセレクトしてもらった。

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■『猫鳴り』 沼田まほかる 双葉文庫 550円
猫好きに辛い部分もありますが、ぜひ最後まで読んでもらいたい作品。穏やかな筆致で静かに描かれる飼い猫モンと家族の関係は感動です。特にラストの老いたモンの姿は、涙なしでは読めません。

■『猫を抱いて象と泳ぐ』 小川洋子 文春文庫 620円
11歳の体で成長を止め、猫を抱いて盤の下でチェスを指す少年。チェスを知らない人にも指す棋譜の美しさを感じさせてくれるところは、さすが小川洋子さん。ちなみに猫の名前はポーンです。

■『猫島ハウスの騒動』 若竹七海 光文社文庫 700円
コージーミステリの名手、若竹七海さんの描くほのぼのとしたミステリ。テンポの良いストーリーを楽しむと共に、登場する100匹以上の個性たっぷりな猫たちの姿に和んでしまいます。

■『犬は勘定に入れません あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎』(上・下) コニー・ウィリス/著 大森 望/訳 ハヤカワ文庫SF 各903円
同じく動物が登場するタイムトラベルもの。長いお話ですが、巧みなストーリーテリングとユーモラスな文章で一気に読めてしまいます。犬だけでなく猫も重要なキャラクターとして活躍します。

■『夏への扉』 ロバート・A・ハインライン/著 福島正実/訳 ハヤカワ文庫SF 777円
タイムトラベル小説として、また同じくらいに猫小説として有名な一冊。ストーリーの面白さはもちろん、登場する猫ピートにも夢中になりました。SFが苦手という方でも間違いなく楽しめます。

ダ・ヴィンチ2月号「本屋さんの時間 本のソムリエ」より)