実写化作品だけじゃない!三浦しをんの描く濃密な世界

更新日:2013/1/16

 実写映画化された『まほろ駅前多田便利軒』や『風が強く吹いている』など、そして今年映画化される『舟を編む』など、数々の名作を世に送り出している直木賞作家・三浦しをん。『ダ・ヴィンチ』2月号の三浦しをん特集では、数多あるその小説を、各作への著者コメントつきで、4つのカテゴリに分けて紹介している。

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〈関係性にたぎる! チーム・コンビの物語〉
 ただの友だちにしては濃密すぎる。恋人とも違うらしい。家族みたいに近くにいるけれど、一人ずつ自分の足で、ちゃんと立っている、そんな関係――。じゃれあったり、ケンカしたり、頼ったり頼られたりしながら、徐々に強く結びついていくチームやコンビの姿が丹念に描かれる。彼らの絆に、燃えるもよし、萌えるもよし。友情もの好き、「バディ」もの好き、「チーム男子」好き必読の作品群だ。

■『風が強く吹いている』新潮文庫
■『まほろ駅前多田便利軒』『まほろ駅前番外地』文春文庫
■『木暮荘物語』祥伝社
■『月魚』角川文庫

〈愛というもてあますべきもの〉
 単純に「恋愛小説」と名付けられるものは少ないかもしれない。けれど、ほとんどすべての作品で誰かが誰かを愛しているのも三浦作品だ。男と女、男と男、もちろん女と女、あるいは人と動物との間にも、愛や恋は存在する。笑えるもの、あたたかいもの、息苦しいもの、かわいらしいもの、恐ろしいもの……。バリエーション豊富な愛の形を、じっくりと味わいたい。今まで知らなかった「恋愛感情」に出会えます。

■『きみはポラリス』新潮文庫 
■「てっぺん信号」(『いつか、君へ Girls』集英社文庫 所収)
■『私が語りはじめた彼は』新潮文庫
■『ロマンス小説の七日間』角川文庫

 紙面では各作の細かい紹介に、三浦しをんのコメントも添えられている。ほかにも、「影をはらんだ日常」を描いた作品群や、林業や文楽、出版社など様々な“世界”の奥をのぞかせてくれる作品群などのカテゴリで、全22作を紹介。
 さらに小説だけでなく、妄想だだ漏れな身辺雑記から、伝統芸能への関心をかき立てるガイド本など豊富なエッセイ作品も合わせて紹介する。

(『ダ・ヴィンチ』2月号「三浦しをん大特集:自著コメント付き! 三浦しをん作品紹介」より)小説紹介=門倉紫麻